母を偲びたくて、フロランタンを焼く。
お家で久々にゆっくり過ごす時間ができた週末。
母がよく作っていたレシピで、フロランタンを作りました。
いつもどおりの、この気取らないお菓子は、香ばしくて止まらなくなる美味しさです。
家族はみんな大好きだったから、母は一度に大量に焼いていたのを思い出します。
お菓子の焼ける良い匂いは、吹き抜けを上って家中に充満して、一番遠くの部屋にいる父も、そのうち気がついてリビングに降りてくるのでした。
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2月某日、母は亡くなりました。
眩しいほど春の日差しが届き、優しさに溢れた、明るい病室の中で。
今はまだ、夢だったんじゃないかと思えて、思い出すと泣きたくなります。
服や雑貨の嗜好が近くて、共通の趣味があった母と私は、仲の良い友人のようでした。一緒に買い物に行ったり、料理をしたり、悩み事の相談をしたり。もう一生分の会話をしたんじゃないかと思うくらい、たくさんの時間を一緒に過ごしました。
父が亡くなってから3年が経って、ようやく穏やかな気持ちで振り返れるようになった矢先、母の病気が見つかりました。私の気持ちは気がつくと暗い深い闇へ落ちていってしまいました。何もやる気が出なくて、noteを書き始めてもしばしば途中で終わってしまいました。
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私にお菓子作りを教えたのは母です。
母がよく作っていたから私が興味を持った、自然な流れでした。noteで初めて記事を書いたとき、話題にした覚えがあります。
お菓子作りはいつも私を助けてくれました。
作ったお菓子がきっかけで、人との関係性が良い方向に変化したように感じたことも何度かありました。どこに住んでいても、いつもの作業が私の気持ちを落ち着けてくれました。
そしてこれからは、母のことを想うための方法の1つになるでしょう。
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母も大好きだったフロランタン。
作業をしていると不思議と気持ちが落ち着いて、作りながら悲しくはならずに済みました。
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いつもどおり、カリカリで香ばしくて美味しい、フロランタンの出来上がり。
でもやっぱり母の作るものとは、ちょっと違うんですよね。
母は、冷蔵庫にある材料で夕食を作る時と全く同じノリで、家にある材料でお菓子を作るところがありました。レシピに対してはわりと自由で、分量や材料のアレンジもアリでした。
出来上がったお菓子も、私が作る時より妙にラフな感じがあって、それが家庭のお菓子っぽくて良いんです。笑
料理でもお菓子でも、人に作ってもらったものって本当に美味しいなと思います。
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母のフロランタンのレシピ。ご参考までに載せておきます。
何度も作って改変され元レシピ不明ですが、手順は単純なので失敗は少ないです。
作り方
<事前準備>
・バター、卵を室温に戻しておきます。
・オーブンを180〜200℃に予熱しておきます。
・型にオーブンペーパーを敷いておきます。天板にそのままペーパーを敷いても焼けます。
サブレ生地を作ります。泡立て器でバターをクリーム状にし、砂糖を加えて混ぜ合わせます。
1に卵黄を加えて混ぜます。
泡立て器をヘラに持ち替えます。2に薄力粉とベーキングパウダーを加え、切るように混ぜます。
ラップでひとまとめにして折り畳み、均一になったら、冷蔵庫で休ませます。
ヌガーを作ります。ヌガーの材料をすべて小鍋に入れて沸騰させ、3分ほど煮詰めます。
火からおろし、アーモンドスライスを混ぜます。これでヌガーは完成です。
サブレを焼きます。綿棒で型の大きさに伸ばしてフォークでピケしたら、予熱したオーブンで13分程度、軽く焼き色がつくまで焼きます。
オーブンから取り出して、ヌガーを上に載せて広げます。(ヌガーが冷えて固まっていたら、少し鍋を熱して温めると緩くなります)
オーブンに戻して、15〜18分程度、焼きます。焦げやすいので注意しながら焼き、良い焼き色がついたところで取り出します。
完成!
ちょっと温かいくらいの温度のうちに裏返して切ると、ひび割れずにうまく切れます。完全に冷めてから切ると、割れやすいです。
<アレンジ>
・アーモンド以外のナッツでも美味しくできます。大きいナッツの場合は、広げやすいように刻んでおくと良いです。
Schönen Tag noch! 😄