![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/49304852/rectangle_large_type_2_ee633121551e85c75790e0f4d6d99f72.jpg?width=800)
やる気の見られない旗振り係
「PTA今年度お手伝い」をした。
わが家は旗振り係。春と秋、交通安全週間の登校時間に通学路に立ち、旗を振って児童の安全を見守る役だ。
お知らせを読むと、旗を振る時に着る黄色い上着と旗を、前日までにPTA役員室まで取りにくることとなっていたため、夫は前日、出社の前に取りに行った。そのまま黄色い旗を会社に持って行くのは恥ずかしかったのか、いったん家に持ち帰っていた。
当日、娘が家を出るよりも前に、夫は出かけていった。しばらくして戻ってきた夫に「どうだった?」と聞くと、「別に何ということはなかった」という返事だった。
夕方、娘に「パパ、ちゃんと旗振りしてた?」と聞くと、娘は眉間にしわを寄せて首をふった。
「ううん。ガードレールに座ってた」
「えっ、旗は振らないで?」
「振ってない」
「やる気なさそうに?」
「うん。もう、パパってホントにいやだよ。みくちゃんに『おはようございますって言わないとここを通さないよ』とか言うしさ。恥ずかしかったよ」
確かに、いつも娘と一緒に登校するみくちゃんは、家の前で私が声をかけても挨拶してくれない。「みくちゃんに通せんぼしたんだって?」と再び夫に聞くと、「小さな声だったけど、一応、『おはようございます』って言ったからほめてあげた。ほめられて結構うれしそうだった」とすました顔で答えていた。
他の旗振り係の人たちはどうしていたかというと、夫の班の他の2人は5分ほど遅刻して現れたそう。それぞれ離れて立っていたので、会話もないまま解散したとか。やる気の見られない旗振り係たちなのだった。
2009年10月11日
☆2009年から2012年まで子ども向けの新聞につづった連載を改編したものです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?