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ベルギー留学:グローバルな環境でディスカッションするために 1.

セカンド・セメスターから始まったSemminar Current Issue という授業では、三回のディスカッションがある。

1回目は3月、2回目はイースターブレイクが明けた4月、そして3回目はちょうど一昨日。

テーマは各回異なり、
1回目は政治学分野から「国会の多様性」、
2回目は社会学分野から「現代の人種差別」、
3回目はコミュニケーション分野から「監視資本社会」だった。

何れも20ページ近くの論文が3本ほど事前課題として与えられ、当日はこれらの論文を基にディスカッションが行われる。ディスカッションの時間は2時間。出席は必須で、発言量に合わせて学生に点数が付けられる。

今までアカデミックな議題で英語のディスカッションをしたことが無かったから、毎回とてもドキドキした。少しでも自信を持つためには事前にできることはしっかり準備するしかない。

ディスカッションまでの2週間は、課題論文に取り組んで、何度も読み返しながら自分の意見をまとめてみたりして過ごした。

けれど、1回目のディスカッションは以下の記事に綴った通り。
議論のテンポの速さと勢いにテンパってしまい、結果は散々だった。


一番痛感したのは、英語を「読む」能力と「理解する」能力は異なるということ。たとえ、大体の単語を理解できて、論文を読み終えたとしても、その知識が自分のものになっていて、さらにそれをアウトプットできるかはまた別次元の話なのだ。

今回は、私がこのコースを通して感じた、「日本人ならではのディスカッションの難しさ」について綴ってみようと思う。

日本人ならではのディスカッションの難しさ

私は、オランダ、マレーシア、オーストラリア、ハワイ、アメリカなど、世界各国に正規留学した友達がいる。そして彼らとの会話の中でよく話になるのが「ディスカッションは難しいよね」ということ。授業はついていくことができても、ディスカッションはなかなか慣れることができず、苦痛だと言っている友達もいた。私自身も経験してみて、日本人がディスカッションを苦手に感じてしまう理由は主に以下の4つにあると感じた。

その1.議論の環境に慣れていないこと

ヨーロッパでは中学・高校生の時から授業で議論をしているのは当たり前。(最低でも私の学部の)多くの学生は、自分の政治的立場を明確に持っていて、相手の意見に異論を唱えたり、支持したりすることが上手いように感じた。また、論文などをベースにしたディスカッションについても、論文に書かれていることを議論するよりも、筆者の考えについて自分の意見を自由に述べる方が議論しやすいと言っていた。

その2.ヨーロッパの議論の間合いに慣れていないこと

「いつ発言していいの?」
「相手が私の発言中に割って入ってきたんだけど!」
「議論が速くて全然ついて行けない…」

日本であれば、一通り全員の意見を聞いて、それから気になったことを中心に議論して、相手の話が落ち着いてから発言して…というような、相手が議論に参加しやすい雰囲気を作るための一定のリズムがあるが、ヨーロッパは「発言したい人は発言する、発言したくない人は話さない」スタイル。というよりも、基本的に意見があれば議論に入ってゆくのが当たり前。私は最初、その雰囲気に圧倒されてしまい、一言も発言できずに2時間のディスカッションが終わってしまった。帰り際、同じグループだった人に「どうして発言しなかったの?」と聞かれて「発言するタイミングが掴めなかったの」と言ったら「タイミングなんて気にしないで、意見があれば恥ずかしがらずにどんどん話せばいいんだよ~」と言われた。それはそうなのだけど、それが私には一番難しい。

その3.英語のレベル

ディスカッションで求められるのは、相手の言ったことを瞬時に理解して、自分の意見と参照して、異なる点や共通点を見つけ、関連知識と繋げながら発言すること。しかも、頭の中で全力で情報を処理している最中もディスカッションはどんどん進んでしまうから相当の能力が求められる。日常レベルの英語が使えても、ディスカッションはさらに上の英語レベルが求められる。

その4.英語に自信がないこと

上記と関連するが、英語のレベルに自信がないと、意見を述べるのが怖くなる。議論を正確に理解して発言できているか、不安になるからだ。この「不安」が、ディスカッションでは一番の敵。いったん恐怖に駆られて焦ってしまうと、ディスカッションが頭に入ってこなくなり、どんどん置いて行かれる。結果、私は一言も発言できずに授業が終わってしまった。

まとめ

海外の人が日本に来た時に、空気が読めずに浮いた発言をしてしまったり、少し変わった行動をすることがあるように、海外でのディスカッションにも独特の(暗黙の)ルールがあり、それに慣れていない日本人にはディスカッションはなかなかハードルの高いものに感じてしまう。

次回は、私がディスカッションの難しさを痛感した上で、克服するために試した方法を綴ってみようと思う。









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