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いつの間にか物分かりの良い社員になっていたなあという感慨

常識の移り変わりの速さとか、その変わりみ加減とか、つまり基準ってめちゃくちゃ動くよねと感じることなど。

新卒の頃の常識


まあ、30年以上働いてるわけですから、新卒の頃なんて隔世の感なわけですよ。
なんかね、オフィスの中にテレックスルームっていうのがあったよね。海外との急ぎのやり取りはテレックスというものを使ってたらしい。
らしい、というのは私の仕事には関係なかったから。

関係あったのはお茶汲み。
社員のためのお茶汲みはそれでも早々に消えたんだけど、お客様向けは女子社員がお茶出しするのが常識だった。
そして出したお茶碗の洗い物。これが当番で、山盛りのコップや湯呑みを洗ってた。忙しいのに山のような洗い物をしないといけないのが嫌だったなあ。

その頃の常識は「お客様へのお茶出しは女性でないと失礼」だったんだよね。かつ、男性がその後の洗い物に時間をかけるのは合理的ではなかった。なぜなら男女の給与差がはっきりしてたから。厚生年金保険料の料率にも男女差があったし。

マナーのように考えてた習慣


パンプスを履かないといけないと思ってた。就活の時に女子社員がスニーカーを履いているところは受けなかった。おかげで巻き爪になっちゃって一時酷かったな。結局スニーカーで会社に行くようになって全快しました。

部署への封書などは1番下っ端の女子社員が封を開けた上で該当社員の机の上に配ってた。
コピーをとるのも下っ端女子社員の仕事だった。コピー機のコマーシャルは若いOLっぽいタレントが使われてる時代だった。

仕事を始める5分、10分前には仕事が始められる体勢になっていることが常識だった。
こういったマナーが身についてない女子社員を「教育されてない」と思ってた。

ルールや正義は常に変わる


10分前準備なんて、労基法上待機時間は勤務時間だとわかっていたけど、マナーとしてそういうものでしょ?と思ってた。

でも、いまそんなこと社員に言えないもんね。
そんなマナー通りやってたら、コンプライアンス上引っかかる。
待機時間からしっかり残業申請してくれ
サービス残業なんてやめてくれ
休憩はしっかり取れ

先日読んだ健康保険組合の冊子の相談コーナーでも、「身を粉にして働いてきた昭和な上司に従う義務はない」とか書いてあって、確かにそうやけど!
健康保険の冊子だから健康第一なんで、確かにそうなんやけど!

そりゃあ確かに30年経ってるけど、30年でひっくり返るもんなんだね。常識って。いや、もう「時代だね」くらいのレベルじゃなくて、もう完全に基準線が動いたんだな、ゴールポストが反対側に動いたんだなってレベルです。

いつのまにか物わかりの良い社員になってた


会社には、まだやっぱり昔のマナーに捕らわれた人も多くいて、それを頑固だなと思ったりするんだけど、自分だってそうじゃん、と。

他人に対して「その考え方は古いんじゃない?」とか批判するのは簡単なんだけど、常識の変遷を考えるにつれて、「あれ?わたしって、会社にとって相当いい子ちゃんになってたんじゃない?」とも思ったんですね。

10分前スタートとか、うん、もちろん約束としての常識はあるかもしれないけど、でも、本当にそれが必要な状況だったか?
なにも考えずにマナーとか常識とか考えてなかったか?
他人の評価をそういった基準で測ってなかったか?

この話をまとめるのは難しいな。
基準が動くっていうのは恐ろしいけど、いや、動くもんなんだと。
いまの常識・基準だって、また変わっていくと思っておいたほうがいいなというお話です。
自戒を込めて。

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