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学生さんがゲーム会社向けに企画書を書くコツをまとめてみるよ ゲームコンセプト編

こんにちは。仕様です。(@shiyoumasayume)という名前でSNSをやっているゲームプランナーです。

普段はプロジェクトの一員として色々な遊びを考えたり、セクションリードとしてディレクターやプロデューサーが旗を振ったイメージを意図を汲んで具体化する仕事をしています。

ここ数年は新卒採用にも関わるようになり、学生さんの作品を見させてもらったり、この企画内容なら企画書はもっとこう書いた方がわかりやすいのでは…!という話をさせてもらうような機会も増えてきました。

そんな指摘はだいたいが過去の自分へのブーメランになるのですが、せっかくなのでこれからの自分へおさらいになるように企画書を書く上でのコツのようなものをnote上で言語化しておこうと思います。

結論としては、ゲームコンセプトは企画の最終目的地であり、その到達方法としてゲームシステム(遊び)がある、ということです。

以下、僭越ながらゲームプランナーを志望して就活中の方や、これからゲームの企画書を書いてみようという方の参考にもなれば幸いです。

企画書の構成要素

社内向けにプランナーが出す企画書はゲームを作る許可を得ることが目的ですが、就活のような場面では考えた面白さを意図通りに伝えられたかをみるというのが大きな目的になります。

光るアイデアを持っていることも評価されますが、思考した内容をきちんと言葉にして人に伝えることができるかどうかも同じくらい評価されるところになります。(プランナーの仕事において”正しく伝える”という能力はかなり重要であるため)

企画書のフォーマットはジャンルによっても様々ですが、概ね共通している要素としては以下になります。

・ゲームタイトル
・ターゲット
・想定するハード
・ゲームコンセプト
・ゲーム概要
・画面内容+操作イメージ
・ゲームサイクルイメージ

個人的な目安感ではこれらが表紙込みで5ページ以内にまとめられていると良いのかなと思います。

表紙(1ページ目)
・ゲームタイトル
・ターゲット
・想定するハード

2ページ目
・ゲームコンセプト
・ゲーム概要

3ページ目以降
・画面内容+操作イメージ
・ゲームサイクル

この中でも、企画書にほぼ必ず書かれるにも関わらずなんだかふわっとしがちなのがゲームコンセプト。今回はそこの書き方について触れてみようと思います。

ゲームコンセプト=キャッチコピーというわけではない

"一人で大勢を相手に立ち回る、歯ごたえのある侍アクション"

わりとよく見かけるのは、こういったゲーム内容や世界観を説明する言葉だったり、それらを一言で言い表すようなキャッチコピーのようなものだったりします。ですがそもそも「ゲームコンセプト」って何を伝えるために書くのでしょう。

以降の企画内容に興味を持ってもらうため?
フレーズ化することでプレゼン内容への取っ掛かりを作るため?

先にも書いたとおり企画書の主な目的は、考えた面白さを意図通りに伝えることです。キャッチコピー的な文章でもいいですが、この要件は最低限踏まえられていると良くて、さらに企画書内にある他の項目もコレに収束していくと良いでしょう。

その観点でいうと、「一人で大勢を相手に〜」はプレイヤーが行うことの説明にはなっていても、何に面白さを感じるのかの提示にはなっていません。せっかく紙面冒頭に据える項目なのに非常にもったいないと思います。(プレイヤーが行うことのイメージが盛り込まれるのは悪いことではありません)

その企画の目的地を書こう

コンセプトは企画意図を端的に言い表した内容、つまり、その企画で達成したいことや最終目的地と捉えると書きやすいです。僕の場合、プレイヤーにどんな感情を持ってほしいのかをここで明確にするようにしています。

実は前段で出したコンセプト文の例はGhost of Tsushimaの内容をイメージして書いたものでした。

"一人で大勢を相手に立ち回る、歯ごたえのある侍アクション"
間違ったことを言っているわけではないけど…って感じです。

これを改善しようと思うと、例えばこんなふうになります。

"中世の侍となり蒙古の襲来から故郷を守る、歴史と興奮を追体験する"

キャッチコピーのように考えた場合は野暮ですが、少なくとも企画者が何をさせたいのかはわかります。プレイヤーはどんな立場で、結果としてどんな感情を得るのか。コンセプトで目的地が提示され、それを達成するためにゲームシステム(遊び)が続きます。

・侍ならではの「待つ」という動作からくる心理的な駆け引きを伴うアクション
・一騎打ち
・多勢相手の潜伏と暗殺
・中世の対馬を再現した没入感のあるオープンワールド

目的地(コンセプト) と 到達方法(ゲームシステム)

この関係性を意識して書くと企画書の内容に連続性が生まれ、企画者の考えた面白さが伝わりやすいものになります。

目的地を伝えるメリット

目的地を明確にすることでその先の遊びがどのような思想で用意されたものなのかがわかります。また、目指す目的地に感情を明示することは共感性を出しやすく、否定されにくいというメリットもあります。

ダメ出しを受けてもコンセプトが否定されなければ遊び部分の手直しで済みます。白紙撤回よりはよっぽど良いですし、方向性は了承されたという収穫もあるでしょう。

また、企画書を通してあなたの目指す物を伝えることでより具体的な指摘やアドバイスを相手から引き出すことができます。

「中世の侍になるなら、こういう操作にした方が没入感あってよくない?」といった具合に。

こちらからコンセプト達成のために改善できるところはないかとたずねてみるのも良いでしょう。コンセプトが明確であれば質問を受けた側も正確に意図を汲み取って返答できるはずです。

まとめ

ゲームコンセプトには企画書の最終目的地を書くと良い、目的地(コンセプト)と到達方法(ゲームシステム)の関係が大事だよ、というお話でした。

こんなことを言われても、実際には「先にやりたい遊びを思いついた」とか「とにかく課題でアクションゲームを作らないといけなくなった」など色々あると思います。

そんなときはまず、そのまま素直に自分の面白いと思う遊びをまとめてみてください。そして次にそれを自分がどうして面白いと思ったのかを言葉にしてみてください。

面白いと思ったのならあなたにとって何かしら心が動かされる部分があったということで、その感情をコンセプトに落とし込めば大丈夫です。

ほら!これでコンセプトと連動したゲームシステムができました。


しれっと例題に使っていたGhost of Tsushima。
面白いのでおすすめです!

既存ゲームの要素を分析して自分なりの企画書にしてみると勉強になるとかそんなこと言うつもりはありません。ただ楽しいからプレイしてほしいだけですね。

ここまで読んでくださりありがとうございました!

書いた人
https://twitter.com/shiyoumasayume


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