うさきとり

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大阪の友人Aが自殺した。

 先週の日曜日、大阪の友人Aが自殺した。一緒に住んでいた友人Bだけが残されて、精神疾患持ちだったこともあり何もできない状態だった。親や親族とも絶縁状態。後を追いかねないと思い、急きょ僕が駆け付けて葬儀や死後の手続き等をできる範囲で代行してきた。生活保護の実態や福祉葬についても勉強になったが、何よりの成果は。 「私が死んだらみんなが幸せになる」  という友人Aの言葉が大きな間違いであると気づけたこと。 「私が死ねばみんなが笑顔になる」 「私が死んでも葬儀に誰も来ない」  骨を取

    • エッセイ「けん玉と父親」

      前編「検定とその後」  十二月。僕はけん玉検定一級を受検した。  日本けん玉協会がオンラインショップで販売している、「けん玉検定をZoom会議で受けられる権利」を税込み千円で購入し、当日は「灯台ができれば一級に合格できるんですけど、なかなか成功しなくて」という事前連絡を済ませた上で、無理かもなという姿勢で臨んだ。  日曜日の夕方、晩御飯の支度を済ませた十七時。パソコンを起動して準備を進める。オンライン上の自分の名前が「クレイジー・マングース」というふざけたものになっている

      • 短編ホラー「霊感」

         これは僕が体験した話というよりかは、僕の彼女が体験した話です。  僕は一時期、大阪の都心部の学校に勤めていました。帰り道にはショッピングモールやらカフェやらがたくさんあって、僕はいつも、ゲームセンターに寄って帰っていました。正確に言うと、天王寺のキューズモール周辺にある小さなゲームセンターです。ショッピングモールというよりかは、ショッピングセンターと言うに相応しい昭和な建物の四階にあります。僕はそこに半年間通い詰めました。  ある日、遠距離恋愛中の彼女が今年の冬も大阪に来る

        • 短編ホラー「生駒山」

           これは、僕の友達が実際に体験した話です。皆さんは、生駒山って知ってますか? 大阪の東側にある山なんですが、有名な心霊スポットなんです。あぁ、その山全体ではなくて、山道の途中にある「生駒山トンネル」です。お札が貼られていたり、立ち入り禁止の場所があるそうです。  友達は、その生駒山の北にある交野市というところに住んでいるのですが、本当に何もない田舎で、いつも遊ぶ場所に困っていました。  夏休みに退屈していたその友達は、一緒にいた友人二人に、生駒山トンネルに行ってみないかと提案

        大阪の友人Aが自殺した。

          短編ホラー「足音」

           これは私が大学生だった頃に経験した話です。当時私はカラオケ店でバイトをしていました。  その日は7月上旬で、大学生は夏休みに入っていて、しかし中高生はまだ授業期間という、そんな時期でした。中高生がいないとカラオケ店の平日というのは、おじいちゃんおばあちゃんの溜まり場になります。学生の相手よりも楽なんじゃないかと思われるかもしれませんが、何せ彼らは機械に弱く、曲を入れるタッチパネルであったり、冷房を入れるリモコンさえも扱えず、たびたびフロントに電話を入れてきます。   そして

          短編ホラー「足音」

          小説「更新」

           鏡に映った自分の顔は、よく見ると左右非対称だった。  絵本から学んだような薄茶の髪は、幼稚で古臭く、薄ピンクの縁なしメガネも、こめかみ辺りの輪郭を歪めるだけでおしゃれとは言い難い。美しくない。それは恥ではなかったが、今の私にとっては生きる価値を貶めるほどの重大な欠陥だった。アンバランスに傾く眉と、左右それぞれで揃わない口角を眺めていると、自分が出来損ないのアンドロイドのように思えてくる。失恋したら泣くものだ、悲しくはないのか、好きではなかったのか。ただの上司ではなかったはず

          小説「更新」

          noteの目的

          自分のブログに掲載している作品を、こちらにも転載していきます。 自分のブログ「メメントモリ(死を想え)」 http://suicideusadei.blog.jp/