見出し画像

【質問箱】最近読んで面白かった漫画4選


こんにちは。皐月です。

※今回紹介する本は全て画像をクリックしていただければ、Amazonリンクに飛ぶようにしてみました。

今日はお昼に渋谷に出る用事があったので、電車の中で本を読みながら向かいました。壇蜜さんの『どうしよう』というエッセイ本です。

画像1

壇蜜さんの文章は、小さいけど自分にだけ聞こえる声で語りかけてくるような書き方でとても美しく、好き。
こういう文章が書けるようになりたいな。一朝一夕には無理だけど。

その中でも特に印象が残った一節をここで引用してみたいと思います。

「好き」を仕事にした時、その者の口から出てくる「仕事の魅力」は本当に体温の高いことばかりだろうか。好きなことを仕事にして、好きなところだけを見ていられるほど、「食べていく」というのはぬるいはずがない。大変な思いもするし、逃げ出したくなることもあるけど、総合的に見て好きが「少し」勝っているという落ち着いた状態……それが「好きを仕事にした者のその後の姿」だろうと私は思うのだが。

最近質問箱でいただく質問には、「脚本家としての楽しさ・面白さ」についての質問が多く届く。きっと、いつか脚本家になってキラキラな毎日を送りたいと思っている人は多い。でも、私は壇蜜さんの上記の文にものすごくうなずいてしまう。

「好きなことを仕事にする」というのは、普通に、辛くてしょっぱくて苦くて、でも、たまにある嬉しいことがあるからなかなか辞めることができない。と同時に、これ以外にできることもないから、食うためにも走り続けなきゃいけない、ってことの方が大きいと思います。

さて、このnoteは、私の質問箱のアカウントに送っていただいたお題に沿ってつらつらと私がしゃべっていく場所になります。
最近質問にコンスタントに答えていたため、お題がどんどん減ってきました。すべて消費した後、何を書くかがとても難しくて、未だに決められていません。

もしよければ、もうすこし延命するためにこちらに質問を投げていただけると嬉しいです。

===

===

今日のお題は

「最近読んで面白かった漫画ってありますか?」

でした。

漫画、活字の本ほどは読んでいませんが、以前BLEACHについて語っていたように、好きな漫画はたくさんあります。Twitterで時たま見かける「皐月彩を構成する漫画五冊」みたいなものにもちゃっかり手を出していたり。

画像2

以前はコミックナタリーさんにて書評というか、特集記事のようなものも書かせていただきました。

基本的に漫画は「好きな作者」か「ジャケ買い」が多く、電子書籍ではほとんど読まない私。購入はAmazon、啓文堂書店、ビレッジバンガードが多いです。

ということで、今回は最近読んで面白かったなーと思った漫画4作品をご紹介します。

まず一つ目は、谷口菜津子さん『彼女と彼氏の明るい未来』です。

画像3

谷口さんの作品はイラストをメインにやられていた時代から大好きで、エッセイ漫画なども精力的に発売日に購入して読んでいる作者さん。なので、この場合は「好きな作者だから購入する」という類に入りますね。

長年イラストをやられている方なので、その絵のすばらしさはもちろん垂涎ものなのですが、それよりも私が惹かれているのは「キャラクターの人間臭さ」です。

今回ご紹介する『彼女と彼氏の明るい未来』、あまりネタバレはしないようにしつつ、大枠のあらすじをご説明すると、

清純派だと思っていた彼女が実は元ビッチであったと知った彼氏が、彼女の処女を奪うためにタイムスリップしようとする話。

なのですが……。
この、どうしようもない欲求に最初は呆れていた私も、この物語を構成している「彼氏視点」「彼女視点」の交互の動きに、いつの間にかぐっと引き込まれてしまいました。

女からすると、過去の恋愛をどうこう言われたって、もう自分にとっては過ぎたことなのに……と思うの、めちゃくちゃ分かるんです。自分の心の中に少し残っているからこそ、あえて他人にほじられて思い返すのは嫌というか。

そして、彼氏目線で語られる「最初の男になりたかった」という気持ちも、分からなくはありません。自分に自信がないからこそ、「過去のことを思い出して、今よりもそちらの方がいい、と判断されたら捨てられるのでは」みたいな葛藤、付き合っていたらついしてしまうもの。だから元恋人に嫉妬する人が後を絶たないのでしょう。

そんな、あるある、でも普通はやらない、やれないよね、みたいな葛藤を、谷口さんはいつも深く深く切り込んで描いてくださる作家さんです。読むと毎回心が痛むのですが、ついページをめくる手がとまらない……。
そんな、魔性の魅力を持つ谷口菜津子さんの作品、毎年何冊か出ているので、ぜひ皆さんにも読んでいただきたいです。

個人的には、最近刊行された『教室の片隅で青春が始まる』は、一冊で完結する単行本漫画史上最高傑作だと思います。(それをあえて紹介しないのは、私が駄文であらすじを説明しても、魅力が伝わらないと思ったからです)

画像4

二冊目にご紹介するのは、丸顔めめさん『スーパーベイビー』です。
こちら、私が大好きな「ギャル」が主役のラブコメ漫画になります。

画像5

平静にはかなり人口を減らしているガングロギャルの玉緒ちゃんは、ある日スーパーで働く冴えない文系男子・山田にべたぼれをしてしまう……という、ギャル好きからすると夢みたいなシチュエーションの物語。

ラブコメと言いつつ、やっぱりこの物語も「これまで彼女・彼が生きてきた時間」が感じられるような物語構成になっているのが、日常のコメディをより愛しく思える大切なトリガーになっていきます。

過去の恋愛との向き合い方、20代になるとついどんな人とお付き合いをしてもよぎってしまうもの……こういうのに刺さっていることで、自分の脳内がバレそうではずかしいのですが、私の周りの人全員に読んでほしい神作品なので、ご紹介しました。

この作品でなによりも魅力なのが、主人公のギャル・玉緒の人間性です。

ギャル=攻撃力が高そう、というイメージはどうしても付きまとってしまうのですが、見た目は派手でも、ギャルだって人を思いやるし悩むし、誰かに対して「怖い」と思うことだってあります。

玉緒ちゃんはいつも元気で笑顔、皆をハッピーにさせる発言しかしない最高の女の子ですが、だからこそ彼女が悩む姿を見ると、読者は山田と一緒になって「玉緒に笑顔になってもらいたい」と本気で願ってしまうんですよね。

友人間も恋人も、それぞれに大事に思っている人間関係のドラマが一番いいですよね。
丸顔めめさんの作品、他も読んでみたいなと思いつつ、永遠に『スーパーベイビー』を連載していてほしいという気持ちが止まらない……感情が難しいです。

三つ目は、研そうげんさんの『中野ブギウギ』です。

画像6


ビレバンでジャケ買いした「猫(?)漫画」。一つ目猫というジャンルがあるのかと思って開いてみると、まったくどういう生き物なのか分からないけれど、皆に「猫」として扱われているオメメちゃんが、最初はちょっと怖いのに、どんどん街の人たちと関わっていくうちに可愛く見えてきちゃう不思議な作品。

藤本タツキさん『ルックバック』のように、美大を目指す女の子が主役のこちらのお話の舞台は、私が中高六年間通い続けた中野。中野ブロードウェイを中心に、近隣で働く人々の生活模様と葛藤が描かれています。

中野に通いなれている人はもちろん、中野に行ったことない人にも、完璧に再現された中野ブロードウェイの空気を楽しんでいただいて、ぜひ足を運んで聖地巡りしていただきたい。私もまた、この漫画を片手に行ってみようかしら。

自分の夢に向かって走ることは辛く、生活をすることはもっとつらい。創作活動を夢に持っている人にはきっと刺さる!と思うんです。

ただのペットとのほんわか日常というにはもったいない、青春群像劇『中野ブギウギ』。高校生の時に読んでたら、きっともっとがむしゃらに学生時代を過ごしていただろうなあ。と、刊行された2020年にすでに26歳だった私はぼんやりと若者に嫉妬をするのでした。

最後は、ばったんさん『いてもたってもいられないの』です。

画像7


上記の3点とちがい、恋愛短編集のこちら。テーマは「女の性欲」ということで、処女について、40を超えた頃の性欲について、好きな人とのセックスの楽しさを知らない人……などの女性たちの恋愛・友情模様が5作展開されています。

自分ごととして5作すべてを共感するのは難しくても、「これからあるかもしれない」「友人がこんな話をしていたな」「私もこんなことあったな」など、細胞がくつくつと沸騰するようなときめきが溢れる短編集です。

個人的には「それは、初めての」という、32歳のバーテンダーが主役の話が好きです。自分のことを達観できていると思っている女性が、好きな人ができるのに、距離の爪方が分からなくなって、自分が達観して見ていた人たちと同じようになってしまう話。

身につまされるんだよなあ。偉そうなことを女子会で言っていても、結局私も雑魚ガール。こういううまく立ち回れない恋愛物語を見るたびに私は救われた気持ちになります。

でもね、恋愛ドラマのように長い物語だと、結局最後にはみんな報われてしまうから、難しい。短編だからこそ、「この後どうなるかしら」で終わってくれる気安さとやわらかさが、私は好きです。

恋愛漫画はね……長いものだと、アラサーの胃をぐさぐさぐちゅぐちゅといじめてくるんですよ。こういう、リアルだけど、一緒に悲しんでくれるような物語が好きです。

共感してくださった方はきっと「にくまん子先生」も好きですね?ようこそ、同志たちよ。

画像8

というわけで、今回は4つの漫画をご紹介させていただきました。(派生していくつか載せましたが、画像をクリックすればAmazonリンクに飛べるのでぜひチェックしてみてください)

基本的には単行本単位で終わったり、3-4巻で終わる漫画が好きです。大人の漫画ってそういうの結構多いですよね。

きっと、日々忙しすぎて、多くの漫画を長きにわたって追うのはむずかしくなってきたからなのかもしれない。作者さんたちにはもっと長く連載してほしいとは思いつつ、短編漫画好きの私は、いつも楽しく様々な物語の海を泳がせていただいております。

それでは、また。(小説は読まないので、おすすめできません、あしからず)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?