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「フラット化する社内」での言葉の使い方。お互い”さん付け”は十分か。

パラレル人事ワーカーの人見シンタです。本業は某グローバルカンパニーで人事マネジャーをしています。

今年、担当部門が、過去3年で最高の売上・利益を記録しました。社内で一番低かった部門別engagement surveyの結果は大幅に改善され、現在は一番高くなりました(ヨカッタ)。

その部門のマネジャーは外国人で日本語を話せません。それでもメンバーと上手にコミュニケーションをとり、みなマネジャーのことをRespectしていて、よい雰囲気になりました。

engagement surveyが改善された理由を振り返るなか、部門長と話すときにファーストネームで呼ぶことで意見が言いやすくなり、よい組織風土の醸成が(少しは)後押しされたのでは?と考え、本記事を書きました。昨今の企業は役職に関わらず、お互い”さん付け”が主流ですが、それでも対等にコミュニケーションするには不十分なのでは、と思った次第です。

1.フラット化する社内とは

トーマス・フリードマンの大ベストセラー「フラット化する世界」のオマージュ(パクリ)として、フラット化・オープン化しつつある昨今の社内の様子を一言で表現してみました。フラット化やオープン化、ダイバーシティマネジメント等々の必要性は昨今よく言われていることですが、そうは思っていない方もいると思うので、まずは私の考えをざっくり以下に記載します。  
 ※様々な書籍等でよく言われている話なのでデータ等は割愛します

まず、世界では人口爆発による余剰人員→専門職の増加、それに伴うテクノロジーの急速な発展により、ビジネスでは近年破壊的なイノベーションが継続的に発生しています。今後も指数関数的に技術進歩は進み、外部環境の変化が激しくなることで(VUCAです)組織にはさらなる適応能力が求められるでしょう。そのため、自らイノベーションを生み出す、または変化に強いダイバーシティマネジメントの必要性が昨今叫ばれています。

次に、日本単体で見ると、労働人口は減少し、ダイバーシティマネジメントのスコープのなかでも特に女性・外国人の登用が求められています。また、日本人のシニア男性がその人件費に見合ったパフォーマンスを発揮できるよう、新しいことを学び続けるマインドを醸成することも課題です。

しかし、日系企業の社内には旧来の”日本人男性の年長者を称える/気力・体力の衰えを労わる様々な仕組み”が未だ多く残っています。こういった仕組みから脱却し、年齢・性別・国籍にかかわらず社員を登用・活用する、そのためには立ち位置に関わらずお互いを尊重する社風を醸成すること=社内のフラット化、が多くの企業で求められているように思います。

2.なぜお互い”さん付け”では不十分なのか

お互い”さん付け”をする場合の特徴は、「メンバーはマネジャーの話を聞きやすくなる。しかし、言いやすくなるわけではない」だと考えています。

”さん付け”そのものはよいことです。マネジャーがメンバーに話しかけるときに敬意をもって接するため、お互いの対等感が醸成され、メンバーは話を聞きやすくなるでしょう。

しかし、メンバーがマネジャーに発言するときは変わらず”さん付け”であり、(マネジャーに”さん付け”されたからと言って)とても発言がしやすくなるものでもないように思います。お互い”さん付け”の状態では、フラット化する社内を目指すためには破壊力にかける印象があります。また、「慣れてくるとマネジャーが呼び捨てをしてくるようになった」という話もチラホラ聞きます。マネジャーは大抵の場合、距離感を縮めるつもりで呼び捨てにするらしいのですが。

一方で、マネジャーをファーストネームで呼ぶと距離感が違います。マネジャーを"Hi George!"と呼ぶことで、目上の人(=「上司」)ではなく、個人としては対等・役割でピープルマネジメントを担当している人=「マネジャー」のように感じ、発言がしやすくなりました。

日本だけで仕事をしているときは何とも思わなかったのですが、外国人にまで”さん付け”されると結構違和感があり、呼ばれるたびに違和感が増大していきます。同じように思っていらっしゃる方もいるようです。

3.”さん付け”をやめた会社は

記事を書きながら、楽天さんがニックネームで呼び合っていることをふと思い出しました。英語化などグローバルカンパニーへ脱皮しようとする中での施策の一つのようですが、”さん付け”をやめて、職場の雰囲気がよくなったようです。また、同じ記事にて、他にもさまざまな企業がチャレンジしているようで、製薬会社として副業を解禁したロート製薬さんでも「ロートネーム」で呼び合うとのこと(ロートネーム+”さん付け”しているかもしれませんが)。

フラット化に関するものを調べていくと、たびたび同じ企業や同じ先生(例えば、以上のリンクにでてくる太田先生)が出てきます。フラット化・オープン化を突き詰める企業が繁栄するのか、そうではないのか は、自分のチャレンジを含め、もう少し見ていく必要がありますが、日本社会・経済が厳しくなっていくなか、よい効果があるといいな~と思います。

今後も「フラット化する社内」に関することにアンテナを立て、経験し、発信していきたいと思います!

追伸:
年始に日経新聞に記事を掲載頂きました。遅ればせながらCOMEMO さん、ありがとうございます!(ずっとCOMECOと勘違いしていてすいませんでした。。)




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