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【感想】 1日1コメント残します

 昨日公開した『小説の書きかた私論』では10万字近い長文を書いていますが、もともと私はハンドルネームのとおり編集を生業とする「読む側」の人間であり、書き手としては平々凡々です。

 書きたいことは書ききって、ひとまず落ち着いたことだし、今日からは読んで面白かったnoteにどんなに短くても1日1コメント以上を残して、一方的に書くばかりでなく感想を語り合えるnoteの文化に、ほんの少しでも参加していけたらと考えています。

 試しに昨日は、はつみさんの『駆け込み投稿』にコメントを残させていただきました。

「一駅ぶんのおどろき」企画に投稿された野心作です。

 賞の締め切り間際になって応募しようと殺到する人々を、最終電車への「駆け込み乗車」にたとえた隠喩というか風刺が攻めていて面白いですね。

 電車と比べて異なるのは、客が「次々と投稿物を車内に放り込み、満足そうに帰っていく。やがて彼らの作品を載せた電車は発信」すること。投稿したらそこで終わりで、どうしても一方的になってしまいがちなんですね。だからこそ「そんな様子じゃ、他人の作品を読む暇もねえ」と皮肉られる。私自身の反省と自戒を込めて、もっと感想を言い合える文化が活発になるといいですよね。一見誤字かと思われる「載せる」「発信する」という言葉の選びかたも面白いです。

「締め切り」を巡る人間の行動とは、不思議で厄介なものです。この仕事をしていると、原稿の締め切りをきっちり守る人は毎度きっちり守るし、締め切りを破る人はたいてい次も破ることがだんだん判ってきます。原稿のクオリティーが高いか低いかはまた別の話として、早い人は一週間前、いや一月前に原稿をいただけることもあってとことん早いし、遅い人はあの手この手で言い訳を用意してあってとことん遅い。しかしボリュームゾーンは、たいてい締め切りの直前に集中します。最後の最後まで推敲してクオリティーを高めようとしている気概が伝わってきますし、その締め切りを設定したのは他ならぬ編集の私なのですから、ギリギリに送られることに文句などあろうはずがありません。

 競馬や競輪といった公営競技の投票券も、締め切り直前になって買い込む人が大半のようです。日本の公営競技がブックメーカー方式ではなくパリミュチュエル方式といって、オッズが随時変動する方式を採用していることで戦略上の読み合いも加わって、最後の最後まで、どれに賭けようか悩みに悩むのでしょう。大事なお金を賭けるわけですから、それは悩んで当然です。

 文学賞に応募するタイミングは早いほうがいいのか遅いほうがいいのか、戦略上そんなノウハウがまことしやかに語られているのを見たりしますが、賞の運営に関わったことのない外野の身で好き勝手にいわせてもらえれば、そんなことはどうでもよくて面白ければなんだっていい、そのひとことに尽きると思います。もちろん、締め切りを破るのはご法度ですけどね。悪印象ですから絶対にやめてください。

 その意味で、はつみさんの『駆け込み投稿』は投稿時間「2019/12/10 23:58」にまで企みが行き届いていて、キレがあって面白かったです。ネットならではの風刺、皮肉ですよね。

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