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明日につながる

 多忙にかまけてnoteの更新をサボっていたら、ずいぶん経ってしまった。
 平日はほぼ帰宅するのが午前様で、自由に使える時間がほとんどない。
 あっても趣味の映画鑑賞やゲームで手一杯。映画は1時間、下手すると30分単位で区切って1本を見終えるのに2日から4日くらいかかるし、ゲームは1日1時間。
 ゲームは1日1時間。
 どこか懐かしい響きだが、いまどき、そんな小学生いるのか。
 最近は寝る前に10分20分ほど筋トレをするようにもなったので、疲れ果てて寝てしまう。
 そんなこんなで、なかなか本腰を入れて小説の感想を書こうと思えないのが現状だ。小説を読んで感想を書く、かんたんなようで、これが意外と難しいのだ。的はずれなことを書くわけにはいかないし、雑に批評してしまったら相手に失礼になってしまう。
 これまで読んできてくださった方には恐縮だが、来月になればこの忙しさも少しは落ち着くはずなので、また気が向いたら、感想の執筆のほうも再開していきたいと思う。気長にお待ちいただければ幸いだ。

 小説の感想を再開するまでのあいだ、リハビリを兼ねて、ぽつぽつと短いエッセイを書いていきたい。しばらくは一介のライターとして、自分のためだけのエッセイを書くことにする。

 昨日、プロ野球の日本シリーズ第1戦をテレビで観ていた。
 8回表、巨人の攻撃。
 直前の7回裏にソフトバンクの4点を挙げる猛攻があって、スコアは1-7と、圧倒的なビハインドの場面である。
 1アウトからキャプテンの坂本勇人がヒットを打った。
 実況のアナウンサーが言う。

「明日につながるヒットを打ちました」

 ふむふむ、そうか。
 このあと丸、岡本と、チームの「主軸」と呼ばれる打者が控えているとはいえ、あとアウト5つしか許されない試合終盤。この点差なら仕方ない。
 アナウンサーもそう思ったのだろう。
 公正中立を旨とすべきアナウンサーが、巨人にまったく望みがないと決めつけているわけでもないだろうが、そう考えるのが現実的といえば現実的。
 事実、後続の丸、岡本は凡退して、あえなくチェンジとなった。

 そして1-7のまま迎えた9回表。
 ソフトバンクの守護神・森が登場して、試合運びは磐石と思われたが、1アウトから伏兵の大城がソロホームランを放って2-7。
 またもアナウンサーが言う。

「明日につながる1発を打ちました」

 なるほど、絶対的守護神の森から1発を打てたのだから、これは明日につながるかもしれないな。
 試合自体はそのまま2-7で終わったものの、妙に納得してしまう。

 しかし、本当に「明日につながる」のだろうか?

 果たして巨人は、今日の第2戦、8回表までヒットわずか1本という深刻な打撃不振にあえぐことになる。

 なにもつながっていないではないか。

 そして、またしても0-6と圧倒的なビハインドのまま迎えた9回表の攻撃。ソフトバンクは、前夜に登板した森を温存すべく高橋をマウンドに上げるが、これが誤算で制球が定まらず、フォアボールを3つ出して、ノーヒットでまさかの1死満塁というピンチを招いてしまう。

 ここで堪らず森にスイッチ。

 すると岡本がタイムリーを放ち2-6。
 またも私の頭にあのセリフがよぎる。

「巨人の若き4番が明日につながるタイムリーを打ちました!」

 たしかに、大城が森から昨日ホームランを打ったからこそ、今日につながったのかもしれないな。
 いやいや、でも岡本自身は走塁死してるからね? これで2死。ぜんぜん試合にはつながっていないじゃないか。
「明日につながる」という気休めが、大いなる皮肉に聞こえてしまう。

 それでも巨人打線は諦めてはいなかった。
 引退を表明しているレジェンド阿部がタイムリーで続いて3-6。

「頼れるベテランが明日につながるタイムリーを打ちました!」

 そして代打のゲレーロも連打で、2死1・3塁。あわよくば1発ホームランで同点という好機を演出する。

「マジメな助っ人外国人が明日につながるヒットを打ちました!」

 私の頭のなかをグルグルと回る、同じような言葉たち。
 明日につながるヒット。
 明日につながる。
 明日につながるって何だ、明日につながるって。

 試合は、どうにも打てそうな気配のなかった山本がその通りに凡退して、あえなく終了。
 9回表にもぎ取った3点は次の試合のスコアボードには反映されないし、2死1・3塁の好機は持ち越されない。
 次の試合のスコアボードは、無情にも0-0から始まる。
 それが原理原則。
 結果が求められる勝負の世界とは、かくも厳しいものなのだ。

 日本シリーズは最大でもわずか7戦。
 100試合以上あるペナントレースならばいざ知らず、短期決戦である。
 明日につながるのを待っているうちに、終わってしまうではないか。

 明日につながる。
 その希望をまったく手放してしまうのも良くないかもしれないが、諦め半分の後ろ向きな意味で「明日につながる」という気休めは、やはり良くないのかもしれない。

 巨人には、本拠地に戻って、またフラットな状態で次の試合に臨んでもらいたいものである。

 もっとも、明日につなぎたくとも、明日は試合がないのだが(移動日)。


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