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【詩】溶けだして漂う


日陰にいてね小さな頃から
自己紹介が迷子でかわいそうに
誰かを好きになるたびに
お葬式で流す予定の曲が増えていく
味わう暇もなく甘く

どうしても許せない人を許したくて
放浪するプレイリストを翻訳機にかけると
あなたの聖書で私の病名を当ててよ
と彫られてあった
指でなぞると糸を引く明朝体

いつか二人を括りつけていた
言葉が血まみれになって
さようならに置き換えられても
わたしたちじゃない
誰かのために書かれた言葉を祈る
真夏の黒いゴミ袋
火葬場の香り溶けだして漂う

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