2021/02/27 vs浦和レッズ ゲームレビュー

昨年、ついにシーズンダブルを達成した...と思うと自ずと期待は高まるものですが、浦和のリカルドサッカーに非常に苦しめられた90分間だったのではないか。

スタメン

スタメンは以下の通り。

新加入の渡邊凌磨が右ウィングでスタメン、J1初出場。注目のアンカーにはアルトゥールが入り、古巣対決の青木はベンチスタート。昨年11月のACLで大怪我を負ったディエゴが復帰、本職の中央に。

前半

開始直後から浦和のペース。やや守備がぎこちないところを浦和の新戦力・明本小泉を起点として崩される。山中宇賀神の両サイドバックが高いポジションを取ってボールを運んでいたこともあり、自陣に押し込まれる時間が長かった。

5分、小泉に良い位置でボールを持たれると上手く抜け出した杉本健勇に縦の流し込み。ドリブルでDFが完全に引き離されてしまい、そのままシュートがネットに突き刺さった
しかし、今季から再導入されたVARによるチェックの結果、杉本が僅かに飛び出していたことによりオフサイドの判定が下る。結果的には失点を免れたものの、ディフェンスラインの課題が浮き彫りになったシーンだった。

前半はその後も小泉に苦しめられる時間が続く。前線に決定的なボールが流し込まれるも、ミスキックにより命拾いする展開の繰り返し。攻撃陣は渡邊が巧みなタッチやドリブルで敵陣深くに攻め込むも、なかなか決定機に持ち込めない。

攻撃陣で気になったのはビルドアップの展開力。それぞれ両サイドバックの小川中村がサイドを使って前線とのコミュニケーションを図るも、コースを封じられてしまい決定的なボールを出せず。シュートチャンスもなかなか作り出せず、苦し紛れのヤケクソミドルが精一杯だった。

結局このまま両軍ともに決定機をモノにできないまま、0-0で折り返しとなった。

後半

後半開始と共に東京は動いた。前線中央のポジションをディエゴ→アダイウトンに交代。元々コンディションに不安があるディエゴはこの時間までの予定だったのか、ワンタッチで局面を打開できるプレイヤーに出番が廻った。

後半は東京もいくらか攻め込む時間を作った。抜け出したがキーパーと1vs1になるシーンもあったが、シュート前のアイデアに欠けてしまい得点には結びつかず。渡邊→永井という交代も明確なチャンスメイクには至らず

ということをしていると74分に試合が動く。浦和のコーナーキックを明本が頭でフリック→槙野が押し込むも波多野がセーブ...というところまではよかったが、こぼれ球に対する東のクリアが中途半端になった先にいたのは阿部勇樹。反応したシュートはアダイウトンの内腿に当たり無常にもゴールへ
ついに入った先制点、ゴール前での守備に僅かな綻びができたシーンを見逃さない浦和の意識が勝った

直後の75分、東京は東→青木、アル→三田を同時に交代。東に関してはまだ故障個所の足元に不安があり、アルは前後半共にあまり絡めず、不本意な交代となってしまっただろう。一方の青木は先述の通り古巣対決となり、三田はセットプレーに備えた手数を増やす狙いもあったのだろう。
結果としては、三田の投入が試合のカギとなった。

81分にはレアンドロ田川に交代。スピードで揺さぶれる前線にすることで相手守備にプレッシャーを与える作戦に出た。

すると86分。敵陣中央あたりでフリーキックの機会を得ると、三田の長いキックは綺麗な放物線でゴール前に放り込まれる。これに反応したのは森重。激しいマークを受けながらも抜け出して頭に当てると、これがゴールの隅に吸い込まれた終了間際の劇的な同点ゴールどうにか追いついた東京。途中出場の選手がしっかりと結果を残した。

以降は両軍共にハードワークをこなしながらの時間。どちらのチームにしてもあと1点が喉から手が出るほど欲しい展開だったが、決定機は訪れずそのままタイムアップ。

リーグ開幕戦は敵地で1-1のドロー、勝ち点1発進となった。

振り返り①攻撃

昨年同様ブラジリアンへの依存度が高いチーム作りを進めているため、オフシーズンが短い一方で合流までの時間が長かったことは大きな痛手だったであろう。
しかし、前半に見られたようなビルドアップに手こずるシーン、サイドからの流し込みによる打開すら満足に行えなかったことは今後のシーズンにおける不安要素であり、毎年抱える「得点力不足」が今年も顔を出すことになるのはできれば避けたいはずだ。
浦和のディフェンシブな姿勢に抑え込まれたといえばそれまでだが、リカルドサッカーの完成度に太刀打ちできないようでは悲願の優勝なんてまだまだ遠い夢の話だ。「返す刀」を早い段階で見つけられるようにしたい

プラスな感想としては渡邊だろうか。ドリブルでタッチライン際まで攻めていくような場面もあり、まだまだ発展途上ではあるものの攻撃陣において重要なピースになり得る、ということを大いにアピールした。
正直良い方のコメントはこれくらいしか思い浮かばない。

振り返り②守備

前半、特に飲水タイムまではかなり慌ただしい&危なっかしい場面が相次いでいたが、徐々に試合勘を取り戻しリズムに乗って行ったと思われる。クリーンシートとはならなかったものの波多野のセービング(というよりキャッチング)は安定していることが伺えたほか、森重・渡辺の2バックも「攻撃の芽を摘む」期待通りの活躍を見せたと思う。


ただ、攻守両方に通じて言えることではあるが、中盤の選手、特に東・アルトゥールはお世辞にも良い出来だったとは言えないだろう。アルトゥールは後半になると消えるシーンが増え、東も不安な仕上がりのままピッチを去った。
交代選手が活躍したことによるバイアスも否定はできないが、少なくとも開幕スタメンとしての期待に応えるプレーではなかった

次節への期待

次節は3/6、ホーム開幕戦となるセレッソ大阪戦だ。どうやら大久保とかいうちょっと前に「東京」という名前のクラブにいたらしい選手がゴールを決めており、レヴィー・クルピの采配も侮れない。東京は攻撃での課題が山積した試合からどう進歩していくか、どのように選手コンディションを見極めていくのか注目される。

また、その3日前、3/3にはルヴァンカップ・グループステージ第1戦徳島ヴォルティス戦が予定されている。昇格組ながらも第1節では大分相手にドローと互角に渡り合っているため、決して気楽に見られる相手ではないはずだ。
東京にしてみれば、開幕直後から短い間隔で試合が続くタフなシーズンではあるが、裏を返せば多くの選手にチャンスを与えることができる。恐らくターンオーバー(に向けたテストのような試合)になるが、リーグ戦のスタメン争いに直結しているつもりで奮起を促したい。

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