「ギフテッド」?
はじめに
久しぶりにエッセイを書く。ざっと自己紹介。執筆現在47歳、独身、無職。元システムエンジニア。発達障害当事者(ASD>ADHD)。言語性IQ120、総合115、動作性100くらい(≒行動能力は並か少し下で、思考能力が高め)。7年前に大腸がん切除、手術予後不良で入院中に同箇所を再切除し、後遺症で腸が癒着。以降、慢性腹痛で半寝たきり。
得意だったこと
興味を惹くため、あえて流行りの「ギフテッド」という単語を拝借する。この単語の厳密な定義がわかっておらず、ちょっと意識高い印象もしてあまり好きじゃないんだけど「もしかして俺これだったかな?」って思うふしがあったので。
私は非常にくどい性格なので、同じことを何度も言う。よく人に話すのは「小学校では、授業を聴いてその場で理解してたので、予習復習なしにほぼ満点を取っていた」だ。「ほぼ」なのは、例えば、算数を解くのにメモった数字が汚すぎて誤読する等のミス。
写真記憶?
自分でも驚いた体験がある。ファミコンブームだった当時、友人の家で「キングスナイト」という縦スクロールのアクションRPGがあった。
プレイ前に攻略本で、ゲームのマップを見ていた。実際にプレイした時「何となく、ここにアイテムがあると全てわかったので」それらをすべて入手し、初見で全クリアできてしまった。
小学生だった私は、今ほど自分の考えを言語化できなかったので「アレッ?なんかマップが分かるな???」と自分でも驚いた。
この頃が自分の最盛期だったのか、特に、覚えてやろうと意気込んだわけでもなく「さっき見て自然と頭に入っていたらしい」。(歳を取った今は、意図しても知人の顔を覚えられないほどだ)
動画記憶
時を経て、20歳頃の大学時代。夏休みの「短期語学留学」に参加した。
オーストラリアを中心に短いホームステイや小旅行があった。
帰国後しばらく「頭の中で、自分の通った場所をグーグルマップみたいに3Dで移動する」ことができた。むろん行かない場所には行けないのだが、行ったところは、自由に散歩できた気がする。
卒業後2004年に、音楽留学でハリウッドに住んだことがあるのだが、こちらも帰国後しばらく、同様のことができた。自宅周辺や通っていた場所を3D動画で再生できた。
3Dで思い出したのだが、ファミコンの「女神転生」を始めとする3DダンジョンRPGが好きで、初代はマップ無しでもクリアルートくらいまでは記憶していたように思う。ただ、これは振り返ると「記憶するほどゲーム内を歩き回ったから」かもしれん。のちにダンジョンマスターというゲームにハマった時は、方眼紙にマッピングしていたので、記憶の上限があるようだ。
脳内ボカロ
まだボーカロイドという概念が世間に出てくる以前のことだ。ヘヴィメタル・キッズだった私は、エックスというバンドから始まり、彼らの源流となるような速くてメロディアスなメタルばかり聴いていた。
その中でもドイツのHELLOWEENというバンドが好きで、初期ヴォーカルの「マイケル・キスク」という人を特に好んだ。それで「キスクがこれを歌ったら」という想定で、彼の声で別の曲を頭の中に流す…ということをちょくちょくやっていた。こちらはできる曲とそうでない曲があったように思うから、完成度が高いとは言い難いけど、今思うとボカロじゃん!ってなる。
思いつかなかったせいか、マイケル・キスク以外の人でそれをした(できた)記憶はあまり無い。
ついでに…今に始まったことではないけど、私は脳のクセか何かで「イヤーワーム」に苦しむことがある。聴いた曲が勝手に頭の中に自動再生されてしまうものだ。いちおうミュージシャンなので利点もあるけど、寝られない時に同じ曲が止まらなくなったりするのはしんどい。
素朴な疑問として、イヤーワームの「聞き取れていない英詩」などがどう再生されているのかよく分かっていない。ギターの速弾きなども、先述の3D記憶よりは精度が低いかもしれない。(例えば、速弾きを耳コピするのに、脳内再生して音階を取る…ところまでは、私にはできないが、できる人が友人に居る)
できなくなったこと
音楽留学は「音楽のプロになって自分を認めてもらおう」と一念発起したのだが、自身の性質も災いしてか、志半ばで挫折して帰ってきた。以降、生きる目的を見失ってしまい、精神を病んで通院や投薬するようになった。
その影響や加齢もあろうし、また、世の中が便利に「なりすぎた」結果か、私のいろんな能力がどんどん失われてきている。
・「視覚優位」化→ 小中学くらいまでは「聴いてその場で理解」していたが、年々、聴いて頭に入れるのが苦手になった(活字中毒になった影響も大)
・写真や動画記憶→ 近年「目を開いているのに前が見えていない」感じがして、脳が録画や写真撮影をクッキリしていない感じ。たとえば公園を散歩していても、頭の中で喋っていて、そちらに気を取られるっぽい。なのでめっきり映像記憶系が弱っている。
・暗記→ たとえば高校時代、私はクラスメイトの顔と名前を一致させるため「クラス写真を見て、全員のフルネームを暗記」という訓練をしていた。なので全員の名前が分かる。こういうのを辞めてしまったので、社会人になってからはむしろ顔と名前を覚えるのが苦手だったと思う。
努力型の秀才タイプ
似た話で、少なくともスマホ以前は、友人知人の携帯・自宅番号はぜんぶ暗記していた。このあたりは「反復練習」をしており、自然に覚えるわけではなく、私が「天才型」というより「努力型の秀才」ていどであったということかと思う。
自分を秀才呼ばわりすると読者に反感を与えそうだけど、アスペルガーなのと「ギフテッド」に関するテーマを扱っていて、たまたま当事者目線で書いているので、悪しからずご了承いただきたい。
数年前までは「持ってるクレジットカード12桁と3桁の裏面コード」も暗記していたし、今でも自宅のwifiの英数字羅列は暗記している。ただ、パソコンやスマホが代わりに覚えてくれるようになって、クレカは覚えられなくなってきた。よく使う銀行の口座番号くらいまではギリ覚えている。
脳科学の記事か何かで読んだ気もするが、歳を取ると反復練習するための「根気」が衰えるんじゃなかったっけ。なので、面倒であっても何度も練習して「頭にしっかりインプット」してしまえば覚えていられそうだ。けれど、ガジェットが便利になって代わりに覚えてくれると、面倒になって忘れてしまいがち。
あとは、けっこうな割合で、向精神薬(ADHDのためのコンサータ、睡眠薬、安定剤など)を濫用するようになって、脳がボンヤリしたり、急にハイになったりと「自然な状態」を失ってから、異常に忘れやすくなった感じがある。
極端な話、きのう入浴したかを覚えていなかったり、今日の日付が分かっていなかったりする。(朝に「きょうは6月5日の月曜日だ」とインプットしないといけない)
まとめ
これは元々のクセで、頭の中にあることをそのまま吐き出すので、いちばん言いたいことがよく分からなくなってしまった。
ざっくり、過去の自分は「ギフテッド」と呼ばれそうな能力を持っていた気がする。けれど、天才型ほど激しいそれではなく、努力も伴って活用していたふしがある。さらに、加齢や、どちらかというと投薬などで脳がかなり弱ってきていて、しんどくなったなあ、という嘆きを感じている…というのが現状だ。
本稿に1時間くらい費やしたのだが、すでにスタミナ切れで、後半からボンヤリしてしまっている。。。おくすりを減らす方向で生きてゆけたらと思う。
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