【コラム】指数関数のグラフを見たときの錯覚
お久しぶりです。投稿する期間が少し空いてしまいました。
久々の投稿は、数学コラムで始めたいと思います。
今回は高校数学Ⅱで学ぶ指数関数y=x2のグラフの形について、皆がよくする勘違いについてお話しようと思います。
グラフの錯覚
定義域が大体0≦x≦13の範囲では下のようなグラフになります。このとき、y座標は約8000あたりまで描図されています。
このグラフを見ると(人によって判断は区々でしょうが)xの値が大体7あたりを境にx軸から離れ、その後に急激に増加しているように見えます。
(日本語における表現にも「指数関数的に増加する」というものがありますが、これは「ますます増加のペースを速めていくさま」を表しており、必ずしも指数関数の増え方に完全に一致している必要は無いみたいですね。)
本題はここからです。上記のグラフを眺めていて、「x≦7では指数関数の値が全然増えてないなぁ」「x=7あたりを境に急激に増え方のペースが上がったなぁ」などと思ったりしたことはありませんか?
実はこれ、グラフの性質に惑わされてしまっています。
この勘違いを正すために、先ほどと同じy=x2のグラフを、今度はxの値についてもう少し小さい範囲で、そしてyの値を8あたりまで描図してみることにしましょう。
最初に示したグラフとすぐ上のグラフを見比べてみると、形がそっくりだとは思いませんか?
1つ目のグラフでは増え方が全然大したことないなと思われがちな範囲においても、縦軸の描図範囲を変更してあげるだけで、途端に急激に増加するかのようなグラフを描くことができます。
そして再度確認ですが、1つ目のグラフも2つ目のグラフも扱っている関数は全く同じものである(y=x2)ということが何よりも重要なのです。
今回、2つのグラフを用いて示したように、指数関数は表示範囲のとり方によって、視覚的に急激に増加しているようにも、そして逆に全く増加していないようにも見せかけることができます。
何かデータとして提示されたグラフを読むときには、グラフが本当に急増するようになったのか、或いは本当に全く増加していないのか、非常に冷静に、かつ注意して判断せねばならないのだということを知っていただけたらと思います。
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■国公立大学の数学問題を、思考法を含めて解説しています。
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