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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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人生半分諦めていた俺が何気なく始めたエロゲーに性癖と人生観を大きく変えさせられた話

※このnoteは恋愛ADVゲーム「喫茶ステラと死神の蝶」のネタバレを含みます。
また公式サイトのリンクは18歳未満は閲覧禁止となっています。
当記事では性的な表現は極力排除していますが、性癖や性行為について言及している箇所があります。苦手な方は閲覧しないことを推奨します。


偶然の出会いが人生を大きく左右することがある。

15の夏に出会ったギター、16の冬に出会った毛皮のマリーズ、22の春に出会ったコーヒー、26のニート期に出会った重音テト、そして28の終わりに出会ったエロゲー。

・・・

1年半ぶりのnoteがエロゲーの感想でいいのかと思いつつ、なろう系みたいなタイトルをつけた志無です。

ボカロPの白乃秋さん主催の「架空アニソン祭2024」にて、恋愛ADVゲーム「喫茶カフェステラと死神の蝶」(以下「喫茶ステラ」)の明月栞那ルートがアニメ化した時の架空の挿入歌「夢見る蝶の唄」を投稿しました。

Full ver.

Short ver.

ショート版の概要欄には簡単なあらすじを書いたのですが、この曲のすべてを理解してもらうにはどうしても物語の核心に触れなければなりません。

字数的にもネタバレ的にも概要欄に書くわけにはいかなかったので、こうして筆を執った次第です。

この記事では、
・共通ルートの解説
・明月栞那ルートの解説
・曲についてとプレイした感想
の流れで紹介していきます。

公式サイトはこちら
(18歳未満閲覧禁止のためご注意ください)

Steam版は年齢制限なく遊べるようです


喫茶ステラのあらすじ

公式サイトのあらすじ

主人公、高嶺昂晴は何気ない学生生活を送っていた。
だがある日、不慮の事故で命を落としてしまう。
そこで予期せぬことが起きた。
死んだはずだった高嶺昂晴が、目を覚ましたのだ。

しかもそれは―死ぬ当日の朝だった。
わけがわからないまま、もう一度、同じ一日を過ごす。
予知夢やデジャブのようなものではなく、一日の流れが全く同じ。
あまりの事態に恐怖を覚えながらも、死んでしまった、事故の場所を訪れた。
そして事故の瞬間―
彼は“死神”と“人語を喋る猫”と出会った。

そして告げられる言葉。

「死はまだ回避できていません」

高嶺昂晴は死ぬ運命から逃れるために、死神の仕事を手伝うことになる。
その方法とは、何故か喫茶をオープンさせることであった。

世界を巻き戻し、“死”という現実を乗り越えた、高嶺昂晴。
だが引き寄せる“死”の因果からは逃れられない。
これは、己の運命と世界に挑みつづける1人の男の恋の物語―なのかもしれない?

公式サイト「ストーリー」ページより
https://www.yuzu-soft.com/products/stella/story.html

登場人物

主人公
高嶺昂晴(たかみねこうせい)(以下「昂晴」)

【プロフィール】
都内の大学に通う大学生。
就活や恋人がいないことなど将来を不安視している。
父は海外を中心に仕事しており留守がち、母は子供の頃に病死しており、一人で過ごす時間が長かった。

【ひとこと】
大学生らしい悩みや童貞っぽい思考など、普通にいそうな感じで感情移入しやすい。
だが、たまに出てくる立ち絵を見ると普通にイケメン。ずるいぞ。

ヒロイン

個性豊かな5人のヒロイン

左から紹介していきます。

①明月栞那(あきづきかんな)(以後「栞那」)

【プロフィール】
人間ではなく100年以上生きている死神で、多くの人の人生を見てきたという。
“人語を喋る猫”であるケットシーの「ミカド」とともに死者の魂を案内している。
親しみやすい性格で小悪魔的なところもありながらウブな一面も。
機械音痴すぎてスマホを持ったことがない。

【ひとこと】
今回の曲と記事でテーマにしたキャラ。
ジト目好きなので最高。
栞那ルートを攻略したおかげで敬語が新たな性癖に加わった。

②四季ナツメ(しきなつめ)(以後「ナツメ」)

【プロフィール】
昂晴と同じ大学に通うクーデレ美少女。
人と距離を取りがちで、言い寄ってきた男をことごとく振ってきたため、ついたあだ名が「孤高の撃墜王」。

【ひとこと】
黒髪クーデレロングメイドとかいう俺得性癖どストライク。
YouTubeでナツメを見かけたのがきっかけでこのゲームを始めた。
実際にキャラ人気も高く、ASMR作品が最近リリースされた。

③墨染希(すみぞめのぞみ)(以後「希」)

【プロフィール】
年下の幼馴染、たまに巫女の仕事をする。
子供のころから家族ぐるみの付き合いがあり、昂晴は墨染家が管理しているアパートを借りているため、よく部屋に来る。

【ひとこと】
希ルートも中々ストーリーが良くて泣いたし、エロゲーの概念が変わった。
料理上手で毎朝主人公に朝食作ってくれる幼馴染なんていないと分かりつつもめちゃくちゃうらやましい。昂晴そこ代われ。

④火打谷愛衣(ひうちだにめい)(以後「愛衣」)

【プロフィール】
元水泳部で健康的な見た目と明るい笑顔が特徴的な後輩系ヒロイン。
希と同じ学校に通っていた。

【ひとこと】
紫メカクレ後輩ってFGOのマシュかよって思いながら攻略したらめちゃくちゃかわいかった。
こう見えて可愛い物好きだったり照れ屋だったりで、登場人物の中で一番かわいいまである。

⑤汐山涼音(しおやますずね)(以後「涼音」)

【プロフィール】
昂晴の友人の姉であり、職場の上司。
こう見えて栞那を除いて一番年上。
パティシエとしての腕前は一流で仕事に一切妥協しない。

【ひとこと】
主人公の友人の姉が攻略対象という、ゆずソフトの守備範囲の広さに驚かされる。
ただサブヒロイン的な立ち位置だからかストーリーがちょっと薄かったような…深堀れば面白そうなキャラなんだけどな…


【ネタバレ注意】共通ルートの解説


↓ここからネタバレあり




「喫茶ステラ」では、青く光る蝶が物語の鍵を握ります。

この蝶は「生まれ変わる力が足りずに現世に零れ落ちた魂」であり、普通の人には見えません。

蝶は人々の感情に引き寄せられ、気落ちしている人はよりマイナス方面に引っ張られることがあります。

これを回収し魂を成仏させるのが死神の仕事です。


昂晴は、単位は取って余裕のある大学生活を送っているものの、将来のことも決まっていなければ彼女もいない童貞です。

事故の瞬間、(せめて童貞くらいは卒業したかった…)と思ったところに青く輝く蝶が見え、タイムリープを起こします。

そして2周目の世界で事故を回避した後に出会ったミカドについて行くと、後ろから鎌で一突き。意識を失ってしまいます。

その鎌を振るった人物こそ、死神の栞那です。

昂晴は意識を取り戻すと、どこかの店のバックヤードにいました。

そして何故か着替え中だったナツメとバッタリ遭遇。せっかく死を回避したのにナツメに殺されそうになりましたとさ。

そんなトラブルもありつつ、ミカドと栞那から昂晴の身に起こったことを説明されます。

昂晴が見た青い蝶は生まれ変わる力が足りずに現世に零れ落ちた魂であり、人々の感情に引き寄せられること。
事故の瞬間に昂晴は蝶を取り込み、それによって強い力を得た昂晴の魂が時間を巻き戻すという奇跡を起こしてしまったこと。
本来そのような奇跡は起こして良いものではないため、神から世界の均衡を揺るがす危険分子としてマークされてしまったこと。
そして、自ら前向きに生きる努力をしないと神によって消されてしまうこと。
ミカドと栞那は蝶を成仏させる仕事をしているが、最近蝶の数が増えてきたため、人が集まるような拠点を構えたいこと。

そんな中で、両親が諦めた喫茶店経営の夢を追うナツメと手を組み、カフェを開くことでナツメの夢を叶えつつミカドと栞那の目的を達成しようとしてることを説明されます。

突然のことに理解が追いつかない昂晴ですが、このままだと死んでしまうことを知らされ、まずはカフェを開店させることを目標に物語が動き出します。

海外で画家などの仕事をしている昂晴の父・和史(昂晴はちょっと苦手)の協力をはじめ、幼馴染の希やバイト募集を見て申し込んだ愛衣、人気のパティスリーで働いていた涼音と個性豊かなメンバーを揃え、カフェは無事に開業、SNSでも話題になり順調なスタートを切りました。

昂晴自身もキッチンスタッフとして涼音の下で料理やケーキ作りを学び、前向きに生きられるように努力していきます。

そして季節は移ろい、12月。

クリスマス当日の24日と25日は忙しくなることが見込まれる一方で、前日12月23日は定休日であることから、涼音に「気になる子がいればデートにでも誘いなよ」と声を掛けられます。

ここから、今までの選択肢を元にルートが分岐します。




【ネタバレ注意】栞那ルートの解説

ここでは、「夢見る蝶の唄」の歌詞が理解できる範囲での解説をしていくため、内容をだいぶ端折っています。
詳しく知りたい方は他の方の実況動画(あるのかな)を見るか、18歳以上なら是非DMM版を、または成人向けシーンがカットされている(らしい)Steam版をプレイしてみてください。

・・・

機械音痴すぎてスマホを持っていない栞那とスマホを買いに行ったり、メッセージでやり取りしたり、カフェの人たちと焼き肉に行くなどして、栞那と昂晴は親交を深めていきます。

そんな中、涼音の弟の宏人から「友人の悩みを聞いてほしい」という相談を受けた昂晴。

昂晴は宏人と共にその友人の悩みを解決することに成功しますが、魂にダメージを受けてしまったため栞那に治療してもらいます。

治療とは言っても、お互いのおでこをくっつけるだけ。
それでも経験のない二人は目の前に迫った互いの顔にドギマギしながら治療していきます。

そんな栞那との日々を過ごす中で、昂晴は栞那のことが好きだということに気づきます。

ナツメと宏人に相談し、まずは二人で出かけてみれば?という提案をもらい、定休日の23日に栞那と出かける約束をします。

二人が向かった先は、遊園地。

クリスマス直前の遊園地はカップルだらけ。
周りから恋人に見られているかもしれないという狙いもありつつ、二人はジェットコースターやお化け屋敷を周っていきます。

そして日が傾き、二人は夕暮れの街を一望できる観覧車に乗ります。

密室に二人きり、楽しそうに外を眺める栞那と、鼓動が早くなる昂晴。

お互いにプレゼントを渡しいい感じの雰囲気になったところで、昂晴は自分の思いを伝えようとしました。

しかし、昂晴の思いを察した栞那は、その告白を聞く前に突然死神についての話を始めます。

死神の仕事は、零れ落ちた魂の残滓である蝶を集めること。
その蝶は最終的には生まれ変わるが、その前に失われた生への執着を取り戻す必要があること。
そのためにある仕事に就き、いろんな人の人生に触れ、それらを通して人や世界への興味や執着を取り戻していくこと。

つまり、死神は蝶が生まれ変わるまでの準備期間として活動している一時的な存在であることが明かされます。

そして栞那は、カフェでの日々や今日の遊園地での出来事がとても楽しく、毎日がキラキラと輝いて充実していると言います。

つまり失われた生への執着を取り戻している状態であり、生まれ変わるための準備がもう終わっていることを示唆していました。

栞那は昂晴の幸せを心から願っていました。
だからこそ、もうすぐ消えてしまう自分では昂晴を幸せにすることはできないため、告白する前に死神について明かしたのでした。

・・・

そのまま家に帰った昂晴。しかし胸のモヤモヤは消えないまま次の日を迎えます。

しかし、そこは死にたくなくて時間を巻き戻すほど諦めの悪い男。引き下がることなくちゃんと自分の気持ちを伝え、栞那の本心を教えてもらおうと決心します。

そしてクリスマスイブの営業は無事終了。

カフェのバックヤードに栞那と二人きりになったところで、昂晴は自分の気持ちを伝えます。

「たとえ短くても悲しみを吹き飛ばせるような、最高の毎日を過ごさせてくれ」
「その代わり俺も頑張る」
「栞那が何の憂いなく生まれ変われるように、俺も最高の毎日になるように頑張るから」
「だから俺の彼女になってくれ」

その言葉を聞いて、栞那は「生まれ変われる時が来ても悲しみを吹き飛ばして笑っていてほしい。その先も笑い続けてほしい」という約束を交わし、二人はお互いの思いを伝えあい、付き合うことになります。

その後は仕事終わりに二人きりで過ごす時間を決め、ファーストキスや膝枕など様々な思い出を作っていきます。


そして、カフェの年内の営業が終わる12月29日。
栞那は翌日、昂晴とデートする約束をします。

集合場所は12時に職場のカフェ。
到着すると栞那はオムライスを作ってくれます。

オムライスは、まだ店がオープンする前に栞那が作ってくれた思い出深いレシピであり、昂晴もその味をとても気に入っています。

食後に二人が向かった先は、あの思い出の遊園地。

今回は恋人同士として行くからか、遊園地に行くまでの道中や同じアトラクション、列に並んでいる間さえも前回よりずっと楽しく感じられた二人。

そして夕方、二人は観覧車へ。

夕日が差し込む二人きりのゴンドラの中、恋人として過ごしてきた時間がとても楽しいと笑い合います。

そして栞那が「大好きですよ」と言い、昂晴は「俺だって好きだ」と返します。


しかし、その返事はもらえませんでした。

栞那はついに、青く光る蝶となって夕日の中に消えてしまったのです。


ついに別れの時が来た昂晴。
蝶が見えなくなるまでずっと眺め、一人でゴンドラを降り、喪失感を抱きながらも「栞那がいなくなった後も笑い続ける」という約束を胸に、遊園地を後にするのでした。

・・・

ほとんど眠れないまま迎えた次の日。

辛い気持ちを抱えながらも、外を歩けば少しは気分が変わるかもと外出すると、カフェのメンバーや店舗を貸している大家と出会います。

栞那にコーヒーの淹れ方を教えてもらっている最中だという愛衣、コーヒーが美味しいという大家、昂晴のことを心配するナツメ、カフェのメンバーで新年会やお花見をしたいという希と涼音。

栞那は実家の都合で帰ったということにしてあり、“みんな”という言葉に当然のように栞那が含まれているのが嬉しかったと同時に何も言えなくなる昂晴。

家に帰り、胸にぽっかり穴が空いたような喪失感を抱えながら、栞那が教えてくれたレシピのオムライスを作り、栞那が美味しく淹れてくれたブルマンのコーヒーを飲み、栞那の存在の大きさに改めて気付かされながらベッドに倒れ込むのでした。


そして昂晴は4つの夢を見ます。

いずれの夢も、昂晴が魂にダメージを受けた時に栞那に治療してもらったり、経過観察してもらったりした夜に見たものと同じ内容でした。

しかし、当時見た夢とは違い、最後に栞那とミカドが出てきます。


1つ目の夢は、親に泣いて謝りながら衰弱死した子供。
これは栞那が初めて死神の仕事をした時の記憶だということがわかります。

2つ目の夢は、両親と一緒にご飯を食べたいという些細な願いさえ叶わないまま死んでしまった子供の夢。
その子供は、一つ目の夢に出てきた子の転生先だったのです。

3つ目の夢は、汚れた部屋に一人放置された子供。
この子も、同じ魂の2回目の転生先だったのです。
見かねた栞那はその子に接触し、食べたいと言ったオムライスを作ります。
が、美味しくなかったらしく、栞那は次こそは美味しく作ると言います。
しかし、その約束を果たせないまま子供は死んでしまいます。


今で言うところの「親ガチャ」に3回も失敗し、親の愛を十分受けないまま死んでしまった魂。

このままではこの魂は零れ落ちてしまうのではないかと心配する栞那に、ミカドは、「幸せを求める力が大きいため魂が衰弱していないどころか大きくなっている」と説明します。

次こそは幸せを掴んでほしいという栞那。
そして4つ目の夢に移ります。

4つ目の夢は、昂晴自身にとって最も見覚えのあるものでした。

それは、病室で母親と笑う子供の頃の昂晴の姿でした。

ここに来て昂晴は気づきます。

今まで見てきた夢は栞那が諦めてしまった魂の記憶ではなく、栞那が見てきた昂晴の前世の魂ではないか。
だったら栞那は、昂晴が時間を巻き戻したあの日よりずっと前から昂晴のことを見守ってきたのではないか、と。

だから昂晴の幸せを何よりも願っていたし、オムライスも美味しく作れるようになっていたのです。

そして夢の中の時間は流れ、昂晴が奇跡を起こした時まで進みます。

幸せを掴みたいという強い思いを持った魂は、蝶を取り込んだことで奇跡を起こせるほどにまで大きくなってしまいました。

このままでは昂晴の魂が刈り取られるというところで、大きくなり過ぎた昂晴の力の一部を削り、ショックが収まるまで栞那が魂を補うことを提案します。

しかし、魂だけの存在である死神がそれをすると存在を維持できなくなるとミカドに忠告されます。

それでもこのままにはできないと、栞那は身を挺して昂晴のことを守ることを決めたのでした。


ここで目を覚ました昂晴。

夢にしては出来すぎていると考えていた最中、部屋に青い蝶が飛んでいるのに気づきます。

手を伸ばしてもその蝶は逃げず、指先に止まった時、この蝶は栞那なのかもしれないという直感が働き、昂晴は部屋を飛び出します。

部屋を出てもついてくる蝶。
そして昂晴が向かった先は、ミカドの所でした。

昂晴はミカドに夢のことやこの蝶について話します。

昂晴が見た夢は事実であり、その蝶は昂晴のことをずっと見守ってきた栞那の根っこのような存在であることを明かします。

幸せになるため諦めずに何度も生まれ変わった昂晴の魂、その幸せを掴むことを自分を犠牲にしてまで本気で望んだ栞那。

だからこそ栞那の思いを無下にしないためにも現状を受け入れろと言うミカド。

昂晴もそんなことは分かっているのです。
それでも大切な人がいなくなったという喪失感はとても大きく、そんな簡単に受け入れることはできません。

そんな中、ミカドと昂晴は無数の蝶の気配に気づき外に飛び出します。

また奇跡を起こして時間を取り戻せば…と考える昂晴に、ミカドは「やり直すというのは栞那と過ごした時間までも否定するのと同じだ」と強く𠮟責します。

栞那と過ごした日々やカフェでの毎日を無にしたいわけではない、しかし失ったものが大きすぎてどうしようもなくなった昂晴は、栞那に会いたいという思いを抱えて蝶を取り込んでしまいます。

・・・

昂晴が目を覚ますと、鎌で一突きされた時まで戻っていました。

目の前には怒るミカドと、約束を破ったことに呆れながらも少し嬉しそうな栞那がいました。

どうやら、世界をやり直すことはしたくないが栞那を諦めることはできないと思った結果、栞那ともう一度会うために意識だけが過去に繋がるという奇妙な現象を起こしたようです。

そして二人は本当に最後の会話をします。

栞那ともっと恋人でいて、もっと思い出を作って、もっと一緒にいたかったと泣く昂晴。

幸せになることを諦めないその魂の姿に救われたから、昂晴には幸せになってほしいと心から思う栞那。

これ以上泣き顔を見せられないと部屋を出た昂晴を追い、栞那は身にまとっていたマントを昂晴に被せ、後ろから優しく抱きしめ、約束を破ったことは怒りつつも、こうしてもう一度会えて嬉しかったと伝えます。

そしてお互い涙ながらに「愛してる」と伝えあい、昂晴の意識が消える寸前に二人はキスをし、元の時間へ帰っていきます。

・・・

気が付くと昂晴とミカドは元の場所に戻っていました。

しかし、大量に舞っていた蝶の姿がなく、不審に思いながらもカフェに戻ります。

すると、ミカドは人がいる気配を察知し、栞那とミカドが間借りしていた部屋から物音が。

恐る恐る様子を見に行くと、中から聞き覚えのある声。


そこにいたのは、栞那でした。


どうして戻ってこれたか分からない栞那と昂晴でしたが、過去へ飛んだ際にキスしたことにより、昂晴を通じて蝶の力が栞那へ流れ、栞那の魂を核として新たに人間として生まれ変わったのではないか、とミカドは推測します。

栞那は死神ではなく人間として生きることになり、それはつまり、昂晴と同じ時間を共に生きることができるということでした。

別れ際に悲しんだら昂晴を苦しめると思い我慢していた栞那は堰を切ったように涙し、それを受け止めた昂晴はずっと一緒にいることを約束するのでした。

・・・

一夜明け正月。

カフェの間借りしている部屋では人間として生きるのに不便ということで、ミカドは二人に同棲を提案します。

照れながらも、好きだからいつか一緒に暮らすことになるだろうと、二人は昂晴の部屋で同棲生活を始めます。

そして初夜を過ごし、昂晴は当初の目標だった童貞を卒業。
栞那も初めての経験に恥ずかしがりながらも、二人は快楽と幸福に包まれていきます。

その後もおそろいの食器を買ったり、栞那の手料理を食べたりと、一緒の生活を送っていきます。

しかし、昂晴には期待と同時に恐怖も覚えていました。

父は仕事で基本的に海外におり、母は病気がちで入退院を繰り返していたため、誰かと一緒に生活するという経験が少なかったのでした。

結婚して子育てして家族で一緒に生きることを望んではいますが、その光景をイメージすることができず、誰かを愛するのってどんな感じなんだろう、と不安に思います。

そしてベッドに入り昂晴が眠った頃、栞那は優しく語りかけます。

「勝手に自分だけで心配をしないで下さい。家族っていうのは1人でなるものではなくて、2人でなるものなんですから」
「幸せにするとか、しないとかじゃなく。2人で一緒に幸せを積み上げていくものなんですからね」


次の日、カフェの営業再開前に掃除を行い、その夜に栞那は昂晴に話をします。

昂晴の悩みは1人で考えたって答えが出るわけではないし、栞那自身は愛されていると実感していること。

そして栞那は続けます。

「人を愛すること。愛した人と家族になること。そして、家族を増やす事。子供を愛すること。家族と一緒に生きていくこと」
「その全部、嬉しさや楽しさに溢れた幸せを私が教えてあげます」

それは、死神として多くの人の人生を見てきた栞那だからこそ言える言葉でした。

栞那は、未来については約束してあげられる、だからこそ解決してほしいことがあると、昂晴にお願いをします。

それは、昂晴が苦手意識を持っている父と話し合うことでした。

仕事でいつも家にはおらず、母が亡くなった時もすぐに帰ってこれなかった昂晴の父。

父のことを憎んでいるわけでも恨んでいるわけでもありませんでしたが、昂晴は本当に両親は愛し合って幸せだったのかという疑問が胸にありました。

そこで父の口から直接、母との馴れ初めや二人で過ごした日々を聞き、無事わだかまりは解消。

不安を抱くのは普通のことで、その不安に怯えて尻込みし過ぎる方が問題だと気付かされます。

これにて昂晴と栞那の抱えていた問題は解決し、二人はこれからもずっと一緒にいることを約束します。


季節は巡り、春。

昂晴は二人の未来のためを考えて就活し、無事内定をもらいます。

初任給で婚約指輪を買い、その後結婚。
二人の間には女の子が生まれ、幸せに包まれた中で物語が終了します。




↑ここまでネタバレ


感想など

【微ネタバレ】「夢見る蝶の唄」について

ここで、もう一度「夢見る蝶の唄」を聞いてみましょう。

この曲は栞那ルートを元に作詞しているので、実は歌詞を追うと大体のストーリーがわかります。

1番:遊園地デート~付き合うまで
2番:最後の遊園地の観覧車
Cメロ:別れ
ラスサビ前:もう一度出会う
ラスサビ:これからずっと一緒
エンディング:3人家族

また、ショート版とロング版ではアニソンあるあるを入れています。

ショート版:1番のメロディで2番の歌詞歌いがち
ロング版:Cメロとかカラオケで入れたら歌えないところありがち

全体的な曲構成としては、ピアノとミュージックボックスをメインにしながらストリングスで華やかさを出し、そこにアコギとエレキを添え、どっしりとしたリズム隊が支えるといったイメージで作っています。

最近はギターメインの曲を多く作っていたのですが、久しぶりに打ち込みメインの曲にしてみました。

ピアノとストリングスの音源は、IK MultimediaのMiroslav Philharmonic2
結構リアルな音がする音源なんですけど、利用者が少ないせいか調べてもあまり使い方出てこないのが残念な所。

ギターはVOXのStarstream。
スンゲー昔にnoteに書いたことのある、アコギとか12弦とかいろんな音が出せる変態ギターです。

ベースはAmple Bass PⅡ。
最強の無料ベース音源ですね。
普段はMODO BASS2を使ってるんですけど、今回は打ち込み感のあるベースにしたかったのでこっちを採用しました。

ドラムはシンバル類はMODO DRUM、太鼓類はShino Drumという初の試み。
2番のA・Bメロでドラムにローパスフィルターをかけてるんですけど、ポンポンとした音を出しつつ輪郭が潰れない組み合わせがこれでした。

ボーカルは花隈千冬。
僕の中でバラードといえばこの女。
1・2番はテンション低め、ラスサビはちょっと高めに調声しています。
SynthesizerVをDAW上で直接動かしたら動作不安定になったからもうしない…

同時期にモミアゲヲさんの甲州弁コンピの曲も作っていたのもあり、完成までに1か月以上の時間がかかりました…

そして再生時間は7分超え、その上この12345字のnoteを読めと、どれだけ時間を取らせるつもりなんだ志村さんよ。


ゲームの感想

今までストーリーゲームというものをほとんどプレイしたことがなく、ましてやエロゲーなんて初めてだったので、とにかく衝撃的でした。
(「家族になる」とか「幸せになる」みたいなのに弱いんだ…)

恐らくCLANNADで涙した人ならハマると思います。

まず、舞台がカフェということもありますが、コーヒーや紅茶の淹れ方、料理やケーキなどの描写が丁寧だったのが印象的でした。

コーヒー豆の種類や味の表現、紅茶はあえて水道水を使うところなど、コーヒーや紅茶が好きで良く飲む僕でも納得できる描写でとても良かったです。

また、主人公の昂晴と自分が重なる部分もあり、感情移入しやすかったです。

プレイ中はとにかく(昂晴幸せになってくれ…)と思うばかりで、自分の現し身のような、友人を応援しているような気分になりました。

そして、なんといっても登場人物がいいですね。

若干ご都合主義で内容薄めなところがありつつも、涙あり・笑いありで各ヒロインの魅力が十分伝わるストーリーと立ち絵や言動の数々に、思わずPCの前で一人ニヤついていました。

個人的にはナツメが性癖どストライクなんですが、希ルートを攻略したおかげで幼馴染良いな…となり、栞那ルートを攻略したおかげで敬語が新たな性癖に加わりました。

(なんかやばい奴になってないか…?)

また、各キャラの声優さんも演技が光っていました。

エロゲーなだけあってHなシーンがガッツリ出てくるんですが、その時の喘ぎ声や普段なら言わなそうなセリフにドキッとさせられました。

もちろん通常シーンも演技が良く、やはり声優さんというのはジャンルの違いこそあれ、尊い存在であるのだと再認識した声豚なのでした。

(ナツメのASMRも買ったので、色々落ち着いたらゆっくり聞きます。)


人生観を大きく変えさせられた話

ここにきてタイトル回収です。

このゲームに出会ったのは2024年の1月。

YouTubeでたまたま見かけた四季ナツメに惹かれ、(エロゲーだけどどうせ咎める人もいないからやってみるか)と購入したのでした。


僕は過去の失恋の経験から、もう誰かに恋したりHなことしたりできない人生なんだろうな、とずっと思っていました。

男である以上性欲もなくはないし下ネタにも耐性はありますが、性行為に対してある種の苦手意識みたいなのがありました。

人体について若干の恐怖心があるというのもあるのですが、自分の欲望や感情を表に出すのが得意ではなく、恥をかきたくないという思いが強かったんだと思います。

しかし、ゲーム内のHシーンでは、お互いがお互いの名を呼び「好きだ」「幸せだ」と言い合っています。

そこで僕はふと気づきました。

性行為は互いの性欲を満たすためだけの行為ではなく、互いの愛情を確かめ合うという意味合いの方が大きいのではないか、と。

そう考えると、僕はもっと性に寛容に生きてもいいなと思えました。

また、昂晴とヒロインが結ばれてハッピーエンドを迎えるシーンを見ると、やっぱり誰かを愛するのって大切なことなんだな、と思わされました。

「愛」というのは生きる原動力であり、愛すること・愛されることは幸せにつながると感じました。

しかし、その愛はただ待っているだけではやってきません。

昂晴のように、自ら変わる努力をして積極的に動いていかないと人生は好転しないということにも気付かされました。

僕は3年前に転職に失敗して実家に戻り、不本意な生活をしていました。
特にこの1年は生きる希望が持てず、(このままここで年だけ取ってくのかな…)などと思う状態でした。

そんな気持ちでプレイしていくと、自分と同じように将来に悩んでいる主人公と、現世から零れ落ちた蝶の姿がありました。

僕はこのまま死んだら蝶となって現世に零れ落ちてしまうな…と感じたのと同時に、このままではマズいと必死に行動する昂晴の姿を目にしました。

そして、たった数か月で生活や考え方をガラッと変えることができた昂晴に憧れを抱きました。

所詮ゲームと思われるかもしれないですが、僕はあらゆることに影響されやすい性格。

昂晴を見習い、年内に独立するという目標を立てました。
(現在、水面下で進行中です。)

現実はずっと厳しく、ゲームのように上手くいかないことは百も承知です。

しかし、このまま何もせず悩み続けるくらいなら、いっそ無謀と思ってもやってみることにしたのでした。

両親は健在、僕には守るべき人も家庭もないので、成功しても失敗しても困るのは自分だけです。

フットワークの軽い今だからこそ、幸せを掴むために行動しようと思えるようになりました。

これから辛いことが待っているかもしれませんが、頑張っていきたいと思います。


このゲームの魅力を伝えるにはあまりにも拙筆ではありましたが、このnoteを読んで興味を持った18歳以上の方、是非ともプレイしてみてください。

また拙作「夢見る蝶の唄」もよろしくお願いします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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