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[本・レビュー] 日本一やさしい税法と税金の教科書

「担税力に応じて」「不公平感なく」課税をするのはけっこうだが、その利用に「公平感がない」のはいかがなものか。税法や税金は「当たり前」のものではなく、社会による産物である。メリット・デメリットを理解し、正しい運用を呼びかけるべき。税金の不適使用は脱税よりも重罪とはいえないか!?
 
源泉徴収だけのサラリーマンだから、税金の勉強など必要などないと思っているそこのあなた!大損しているかもしれませんよ!?
 
 
今回、COVID-19感染拡大に伴う半ば強制的な自粛の中で、給付金等の国の補償が重要であることを痛感させられました。
東京と、その他の地域では補助金に差が出るなど、地域によって財力の差が存在することも浮き彫りになりました。
また、国民皆保険制度をとっていない各国と比較して、わが国の医療体制は非常に手厚いことも実感できました。
普段は「え、税金にこれだけとられんの!?」と思っていましたが、税金によって国家を成り立たせることで、結果として国家より恩恵を受けていることが認識できました。
 
 本書では、税法や税金について非常にわかりやすく記載されていると思いますが、そもそもの税法や税金のもつ特性からそれでも非常に読むのが疲れました。
 
 税法や税金についての知識をつけるのは非常にややこしくて、めんどくさいが、たくさんの本の中では「かなりまし」といった感じでしょうか(他を読んだことがないので、読み比べたことはありませんがパラパラめくってみた限りでは…)。
 
 税金のポイントは「税金を払える能力(収入や資産:担税力)に応じて」、「不公平なく」徴収するというところにあるようです。
 
「節税」に対して「租税回避」というものが存在するようです。「節税」は税法にのっとった妥当な行為であるのに対し、「租税回避」は法の抜け道などをうまく利用し、国家の意図に反して納税を逃れるずるい行為のようです。
 
本書では「不公平感がないように、しっかり税を徴収する」的なニュアンスが度々でてきましたが、「不公平」な部分にかなりの違和感を覚えました。例えば相続税です。
もともと日本に相続税が導入されたのは、日露戦争の戦費調達のためだったようです。それが、戦後そのまま残ってしまったようです。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどでは相続税は廃止されており、シンガポールや中国にも相続税はないといいます。
 
財を築いたのは社会のおかげだから、亡くなったらそれを社会に還元する。まあ、一理あります。しかしながら、納税額のトータルが多かったからといって、失業したらより多くの補償がもらえるものでもありません。所得税や住民税についても、今年の収入が0になっても、前年の収入に応じて課税されてしまいます。
 
個人が所有している分には何の税金も発生しないのに、個人が無くなった瞬間に他人に渡る前に半分(ここも累進課税のようです)徴収する。
 
しかも”借金だったら自己破産することでなかったことにしてもらえますが、納税義務は破産しても消えることがない”そうです。
 
また、”各相続人は、自分がその相続によって得た利益分を限度に、相続税の連帯納付義務を負う”という記載もあります。つまり相続人の一人が「俺は税金なんか払わない!」と逃げ出した場合に、その他の相続人が連帯責任を負わされるそうです。
 
国は税金を徴収するのに固執するあまり、納税者の負担など一切おかまいなしです。「おまえらの都合なんかしらんが、金目のものがあるなら出すものは出せ」的な態度です。
 
そこにきて某議員への政治資金の振込です。
振り込んだ金額の一部が、買収に使われたかどうかの前に、使徒が不明な多額の税金使用自体がすでに許せないのは私だけでしょうか。
 
因みに日本共産党は政党助成金を受け取っていないようです。だから「日本共産党がいい」というわけではなく、「それなら政党助成金自体がなくてもやっていけるのではないか」という疑問がわいてきます。
 
国家のためになる政策のために必要な資金なら仕方がないと思います。しかしながら、「我が党が選挙を有利に進められる」ために税金が使われるなら、それは税金の私的流用と何ら変わらないのではないでしょうか。
 
さて、確定申告の必要がなく、源泉徴収でほぼ自動的に税金が徴収されている方の中には、そこまで税金を意識されていない方もいらっしゃるかもしれません。
 
私も数年前までそうでした。副業をしたために、確定申告が必要になったときも、ただ複数の源泉徴収票をもって、いわれるままに記載していくだけでした。
 
そこに住宅ローン減税が加わり、税金の勉強をしてみると、様々なことを考えるようになりました。
 
源泉徴収だけのサラリーマンだから、税金の勉強など必要などないと思っているあなた!
損しているかもしれませんよ。
 
"現在では、サラリーマンの方も、通勤や転居、研修、資格取得、図書、衣服、交際費などで自腹を切ったときには、その年の給与所得控除額の2分の1を超える支出分は概算控除後の所得からさらに控除できるようになっています(これを「特定支出控除」といいます)。
 控除するには、事業者と同じように支出を証明する書類などを揃えたうえで、確定申告を行うことが必要です”
 
いかがでしょう。こんな制度があるなんてしりませんでした。 
 
その他にも
[還付申告できるケース]
①医療費を年間10万円以上支出した場合(医療費控除)
②新築住宅を取得したり既存住宅を増改築したりした場合(住宅ローン控除)
③配当所得がある場合(配当控除)
④国や地方公共団体、公益法人、認定NPO等に寄附をした場合(寄付金控除)
⑤災害や盗難・横領にあった場合(雑損控除)
 
いかがでしょうか。あなたに当てはまる部分はなかったでしょうか。
 
お金はふってわいては来ません。税金は私達の血潮ですし、無駄な税金の利用のつけを払わされるのは、他でもない私達一人一人です。例年、国債を刷って国家を運営している自転車操業状態の日本。COVID-19で国民の多くが職を失い、収入を失うなか、国家公務員のボーナスが増額するのはどういうわけか。政府にもとめられるのは、もはや説明ですらなく、迅速な是正です!

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