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人の"ミス"はなぜ起こるのか、という話。

こんにちは。

今回は、休憩のあいだにふと目についた「ヒューマンエラー学の視点」という本が意外とおもしろかったので、そのメモを書いていきます_φ(・_・

ざっくりこの本は、

・人が起こすエラーってどんなの?
・人のエラーはなぜ起こるか?
・エラーが起きやすい組織の特徴

みたいなものが書いてありました。(実際は事例とかもたくさんありました。)

「意図せず起きたミスはどう対処するか」

まずヒューマンエラーとは、人が「意図せずに」引き起こしたこと(ミスや事故)です。ざっくり一般的に言われる「ミス」のイメージ。

たとえば、「車のブレーキを踏んだと思ったらアクセルを踏んでいた」とかは意図していないことが起きていますよね。そんな感じ。

そして、そのヒューマンエラーを「事前に回避すること」と「エラーが起きた時の対処法を定めること」を目的とするのがヒューマンエラー学だそうです。

エラーが起きるのは3つのパターン

意図せずに起こるエラーには3つの種類があるみたいです。

①勘違い・思い込み(思考段階)
人の認知システムによる見違い・聞き違い・勘違いで起こるエラー。小さなエラーに気づきにくいというキケンがある。

【エラーを見落とす例】
にげんん は さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる
→読めてしまうから小さな文字の間違いに気づきにくい例。

「いつもやってるから大丈夫!」みたいな正常性バイアスがかかって、小さな間違いをしやすい。

②スリップ(行動段階)
環境が変わっても変化に対応できず、いつもやっている行動をとってしまってしまうことでエラーが起きてしまうパターン。癖が抜けないことで意図せずミスしちゃう、みたいな。

なので、回数を重ねたベテラン職人も「少し環境を変えるとミスしやすくなる」みたいなことがある。

③し忘れ(記憶段階)
これは単純に「忘れること」で起こるエラー。メモやチェックリストを使ったりする対策が有効。

「エラーは"なぜ"起きたか」が重要

エラーを見たら、その事実だけでなく"原因"に目をやることが大切。

それと、「精神論だけではエラーは回避できない」ということもポイント。

"人はどれだけ意識してもエラーは起きてしまうもの"なので、仕組みや環境などを変える必要がある。

エラー原因①そもそもエラーを気にしていない

「管理・組織の価値観」の問題。

「バイアス(思考の偏り)」や「不適切なリスク評価」でエラーをそもそも気にしない思考になっている。気づいたら大ダメージを食らうなんてことも。

そもそも「これくらいは大丈夫でしょ!」みたいな甘めのリスク管理が組織に広まっているようなイメージ。

「どこまでリスクを取るか」は組織の価値観によるけど、"起こりうるエラー・リスクを正しく認識すること"はどの組織でも大切。

対策は「リスク管理の強化」とか「リスクに対するスタンス(行動指針とか)共有」とかかな。

エラー原因②そもそもエラーが起きやすい構造

「環境」の問題。

「間違ったオペレーション」、「エラーによる教訓が入ってないマニュアル」といった、そもそもエラーが起きやすい設計になっている状態。これも個人のがんばりではどうしようもないパターン。

"そもそものエラーが起きやすい部分の設計を見直したり、エラーを教訓としてカイゼンする仕組みがあるか"が大切。

対策は「オペレーション見直し」とか「エラーの教訓化を徹底」とか全体的なカイゼン。

エラー原因③個人の能力・機能低下してる

「個人のスキルやモチベーション」の問題。

「慣れ」や「スキル不足」、「疲労・ストレス」、「動機付けの不十分」によってエラーが起きてしまっているパターン。

基本的に組織内の場合は②との関連性が大きくて、それぞれ対策が違う。悪い職場環境によってストレスが溜まっていたり、責任感やモチベーションがない状態はキケン。

"できるだけ慣れやストレスが悪化しないような環境作りであったり、責任感が持てる体制にしたりするようなこと"が大切。

対策は「組織としての仕組み・制度改善」とか「個人の自己管理意識アップ」とかかな。

エラー原因④システム使いこなせてない・使いにくい

「システム」の問題。

システムを人間が使いこなせてない場合に起こるエラー。操作間違いなどで問題が起きてしまうパターン。

"あらかじめシステムを使いやすい・ミスが起こりにくいように設計したり、研修を行ったりすること"が大切。

対策は「システムのUXカイゼン」とか「教育」とか。

エラーが起きやすい組織の特徴

こういう組織はエラーが起きやすいですよ、っていうエラーあるあるみたいなものが載っていたのでこちらもメモ_φ(・_・

・効率重視の組織
「成果へのプレッシャーが大きい」や「個々の行動が孤立している」、「感情排除」といった極端に効率重視の組織はエラーが起きやすいパターン。

大きくなるとお互いの仕事内容の把握などができなくなり、エラーの確認がおくれる。またエラーが共有・教訓化されることも少なく、防げるエラーを防ぐことができない。

・議論なし、批判なし、思想なし
トップダウン的。構成員が思考停止するのでエラーが起きやすくなる。さらに自主性を失うだけでなく、モチベーションまでなくなって、いろんなところに悪影響が。

「みんなでいい仕組みを作って、正しい方向性でやっていきましょう」というのが大切かも。

・社会的使命感の欠如
「作業をこなすのが仕事」となってはいけない。これも思考停止の原因であり、エラーを引き起こす。自分の仕事がどう社会的な意義があるのか、を明確に持つことが大切。仕事へのモチベーションにも影響するし。

・責任があいまい
責任がどこにあるかわからないと、だれも責任を取らないのでエラーに対する意識が薄まる。

責任者が明確になることで、エラーに対する意識が高まって、さらにエラーを教訓化するような工夫が増す。

余談:最近遭遇したエラー。

昨日、ある店舗の重要データが入ったメールがぼく宛に誤送信されました。流出するとなかなか問題になるくらいの内容だったので、誤送信の旨をお店の方に伝えると、

「今後は再発防止に努めますので、何卒ご容赦いただければと思います。」

と返信がきました。まさに、こういう時にどう対策するかが大切なんですね。

(お店の方は実際に精神論ではない何かしらの対策をしている、と思っています。)

おしまい。


***

読んでいただいた方、ありがとうございました😊ミスやエラーは「精神論」で片付けるのではなく、その根本となる原因を突き止めて、起きる確率をできるだけ抑えるようにがんばりましょう!


▼今回、読んだ本です。図書館でなんとなく選んだやつだったけど面白かった。

▼参考にさせていただいた資料たち。ヒューマンエラー面白かった。




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