ヌートバー的発想、もっと早くあっても良かったじゃないの~?

 3月に行われたWBC、非常に盛り上がりましたね!特にマイアミに舞台を移してからの準決勝・メキシコ戦、そして決勝の米国戦は手に汗握る展開で、侍ジャパン14年ぶりの世界一に列島が大きく沸き上がりました!
 今回の侍ジャパンで注目を浴びたのは、カージナルスのラーズ・ヌートバー外野手でした!侍ジャパンでは初の日系選手。日本国内では馴染みが薄かったがゆえに、大会前は選出に懐疑的な声もありました。しかし、いざ大会が始まってみれば全7試合に出場して26打数7安打4打点、打率.269と現役メジャーリーガーの本領を発揮し、一躍人気者となりましたよね!
このヌートバーの活躍によって、彼を侍ジャパンへと選出した栗山英樹監督の慧眼にも賞賛の声が挙がりました!

ですが、私は思うのです。

 日系選手の侍ジャパン選出って、もっと早くあっても良かったんじゃないの~?

【WBC代表の出場資格は?】
 ご存じのとおり、WBCの各国代表の選出条件というのは、サッカーの代表のように国籍がマストというわけではありません。
現在のWBCの出場資格は以下のとおりです。

①当該国の国籍を持っている
②当該国の永住資格を持っている
③当該国で出生している
④親のどちらかが当該国の国籍を持っている
⑤親のどちらかが当該国で出生している
⑥当該国の国籍またはパスポートの取得資格がある
⑦過去のWBCで当該国の最終ロースターに登録されたことがある

 と、国籍がなくても②~⑦に当てはまれば選出できるわけです!
 2006年の第1回大会から2017年の前回大会まで、侍ジャパンに選出された選手は全て①に該当する人たちばかりでした。今回の第5回大会で初めて、①に該当しないヌートバーが選出されました。ヌートバーは母親が埼玉県出身の日本人であるため、④⑤に該当します。つまりは日系2世です。
上記のようなガイドラインは第1回大会からあるもので、これまでも②~⑦に該当する選手を選出することは可能だったわけです。だから、ヌートバーみたいな例がもっと早くあっても良かったんじゃないの~?と思ったのです!

【過去にもいるよ!日系2世選手】
第1回WBCが開催された2006年以降にMLBでプレーした日系2世選手といえば、ドジャースなどで活躍したデーブ・ロバーツ外野手が有名ですよね!ロバーツもヌートバーと同じで母親が日本人。しかも母親の地元・沖縄県で生まれているため、上記④⑤だけでなく③の「当該国で出生している」にも該当します!
ロバーツは1999~2008年にMLBでプレーしているので、第1回大会が開催された2006年の頃にはバリバリのメジャーリーガーだったわけです!第1回WBCが開催されたのは2006年の3月ですので、その前年となる2005年のロバーツの成績を見てみますと~?
2005年のロバーツはパドレスでプレー。レギュラー中堅手としてMLB115試合に出場して113安打、38打点、8本塁打、23盗塁、打率.275という成績を残しています。ちなみに昨年のヌートバーはカージナルスでMLB108試合に出場、66安打、40打点、14本塁打、4盗塁、打率.228という成績。2005年のロバーツの成績は同じく「WBC前年」である2022年のヌートバーと比較しても全く遜色はなく、今回ヌートバーが侍ジャパンに選出されたのであれば、第1回大会でロバーツが選出されていてもおかしくなかったはずですよね!
ちなみにロバーツは第2回WBCが開催された2009年の前年、2008年シーズンを最後に引退しています。現役最終年の2008年はジャイアンツでMLB52試合出場、24安打、9打点、0本塁打、5盗塁、打率.224という寂しい数字。ちょっとこの成績では第2回大会の侍ジャパンに選出するのは難しいかもしれませんね。

【日本生まれのメジャーリーガーは?】
また、日系2世ではないものの、③の「当該国で出生している」に該当するメジャーリーガーもいました!2003~2007年にダイヤモンドバックスとアストロズでプレーしたスティーブン・ランドルフ投手!2009~2011年には横浜ベイスターズでも投げていたので、日本でもよく知られた存在ですよね!
ランドルフは日系選手ではないですが、米軍人だった父親が嘉手納基地勤務だった時に沖縄で生まれており、③の「当該国で出生している」に当てはまるわけです!
そのランドルフ。第1回大会前年の2005年はMLBでプレーしておらず、マイナーの3Aでも36登板で3勝3敗、防御率6.03と振るわなかったため、第1回大会で侍ジャパンに選出するにはイマイチな成績です。しかし、第2回大会前年の2008年は同じくMLBでのプレーこそなかったものの、3Aでは46試合に全て救援登板して3勝1敗6セーブ、防御率2.32とまずまずの成績を収めています!第2回大会の侍ジャパンでメジャー経験があったのは、右の先発である当時レッドソックスの松坂大輔投手だけでした。すでにメジャー経験があり、貴重な左の救援投手だったランドルフを選出していれば、リリーフとして戦力になっていたかもしれませんよね!

上記の通り、2006年の第1回WBCや2009年の第2回WBCで、日系2世のロバーツや日本生まれのランドルフを選出することは可能でした。とはいえ、日本は第1回、第2回大会ともに①に該当するメンバーだけで世界一に輝いており、「この2人を呼んでおけばもっと好成績を収められたのに~!」というわけではありません。しかし、前回大会まで上記の出場資格の中で①以外の選手を選出するという発想そのものがなかったということに、他国に比べて遅れていたんじゃないの~?と思った次第です。

【日本から他国の代表に!】
 逆に日本の選手がルーツなどを理由に他国のWBC代表に選ばれたケースは過去にもあります。2012年の第3回大会予選では、当時中日の左腕・小川龍也投手が母親の母国・フィリピンの代表に選出されています。同じくフィリピン代表には昨年まで日本ハムでプレーした左腕の高山優希投手も、2020年の第5回大会予選に母親が同国出身ということで選ばれました。
 また、NPBの経験はないものの、茨城県出身で青森山田高OBの岡村秀内野手が母親の母国・中国の代表として第1回大会に出場しています。さらには今大会でも、前ソフトバンクで現日立製作所の真砂勇介外野手が両親の故郷・中国の代表としてプレーしたのは記憶に新しいですよね!

 このように、日本の選手が2世選手として他国の代表に選出された例をこんなにも目の当たりにしてきたわけですから、侍ジャパンだって「我々も海外から有資格者を探そう!」という発想にもっと早くたどり着いても良かったんじゃないの~?と思ったわけです!

【次回大会は3年後!】
 次回の第6回WBCは3年後の2026年に開催予定です。ちなみに3年前の2020年、ヌートバー選手は当時まだメジャー経験のないマイナーリーガーにすぎませんでした。それが3年後の2023年には現役メジャーリーガーとして侍ジャパンに選出され、ご存じのとおりの大活躍を披露しました!ということは、2026年の侍ジャパンにまだ私たちが知らないような未来の日系メジャーリーガーが選出される可能性もあるということでしょう!果たして3年後にNEXTヌートバーは現れるのか?とってもワクワクしますね!

 と、素人ジョシは思うのでした!

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