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「包帯パンツ物語」  文:嶋津亮太

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「包帯パンツ」って何なのか?どうやって開発したのか?その悪銭苦闘を新進気鋭のライター「嶋津亮太」さんに語り部となってもらい、野木志郎の苦労をおもしろおかしく、そして人様の為になる…
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#包帯パンツの本

第1話 あの時、みんな笑ろててん 〜小説「包帯パンツ物語」〜

「包帯パンツって何ですか?」 そう、それは、まだこの世界にない概念やった。 *** はじ…

第2話 何でも穿いてみる 〜小説「包帯パンツ物語」〜

伊勢丹新宿店。地下の紳士肌着売り場に私はいた。慣れない雰囲気に、背筋が伸びる。手に取った…

第3話 「課題」は新商品のはじまり 〜小説「包帯パンツ物語」〜

青い空、白い雲。お花畑の中で日向ぼっこ。そこかしこで蝶が舞う。 鏡に映るトロンとした表情…

第4話 汗と涙のサウナスクワット 〜小説「包帯パンツ物語」〜

「イッチ、ニッ、イッチ、ニッ」 滴る汗、悲鳴を上げる太もも。歯をくいしばり、パンツ一丁で…

第5話 包帯との出会い 〜小説「包帯パンツ物語」〜

「これ、どうや?」 その場にいた全員が親父の手に視線が集まった。そこには円柱状にくるまっ…

第6話 情熱に油を注ぐ 〜小説「包帯パンツ物語」〜

「…て、寺田さん」 親父が口にした名前に慄いた。それは業界では知らない者はいない生地卸商…

第7話 山は動くのか? 〜小説「包帯パンツ物語」〜

「お前が考えていることをやれるような場所は、日本国中探してもどこにもない」 寺田さんのその言葉に頭に来た。せやけど、それをひっくり返す言葉を知らんだけに悔しくて、悔しくて仕方がなかった。可能性があるとすれば、それは権力者である寺田さんの力でしか実現できないことも事実。寺田さんに協力してもらうほか、全ての道は断たれたと言っても過言やない。 「山は動くんやろか?」 ぽつり独り言ちた。 「らしくないわね」 ふと顔を上げると、妻がいた。家に帰ってからぼんやり遠くを見ている私

第8話 希望の光 〜小説「包帯パンツ物語」〜

翌日から寺田さんは包帯生地をつくってくれる工場を探してくれた。 誰もが恐れる業界のドン。…