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🇨🇳#6 ラーメン発祥の地・蘭州でいろんな汗をかく

どうやら、北斗の拳に出てくる、武が日常の「修羅の国」というのは実在するらしい。
わたしが乗車している敦煌発蘭州行きの夜行列車がまさにそれである。

23時過ぎ、途中駅から上段に乗り込んだ夫婦が喧嘩をして、わたしの頭上で物を投げ合っている。
先ほどは、白酒の匂いを漂わせる下段の男性が隣で寝ている赤の他人のいびきを注意して、こちらも一触即発状態だった。
敦煌の莫高窟196号室で見た、法華経図に描かれた人々の飽くなき争いそのものである。

朝の蘭州駅周辺は大渋滞

朝9時、なんとか修羅の国(列車)を潜り抜けたわたしは、甘粛省・蘭州に到着した。
人の争いごとで眠れぬ夜を過ごしたため、元気いっぱいで始めたい月曜の朝だというのに、わたしのチャージは20%に満たない。
うん、とりあえず、何か食べよう。

蘭州大学の近くにあるラーメン屋

蘭州といえば、ラーメン発祥の地である。
そこでわたしは、地元の口コミNo.1、行列ができるというラーメン屋へ駅から直行した。

朝とも昼とも言えない時間なのに店内は満席の大盛況であった。

牛肉ラーメン9元(180円)。西は物価が崩壊している

もちろん麺は手延べ。
コシはないが、その分食べやすく、飲むようにスルスル入ってしまう。
そして香辛料にむせるを繰り返す、間違いなく地元民ではない食べ方をするわたしである。
辛さは見た目ほどではないが、体は正直で、汗がどんどん出てきた。
始業時間になり、各所から仕事のメールがガンガンきているので、冷や汗かもしれない。

市内は発展していて、スタバがたくさんある

その後はスタバで仕事。
市内はデパートやカフェがたくさんあり、コンパクトでありながら発展している。
カシュガルと敦煌で見たレンタル電動バイクは見当たらず、自転車になっていたので、蘭州がバイクと自転車の切り替わり地点なのかもしれない。

階段で山頂の寺を目指す

2時頃、仕事がひと段落したので、蘭州を一望できる白塔山に登った(橋から山頂まで20分)。
若い女の子たちがキャッキャとスカートをひらめかせて自撮りしながら登っているのに、わたしは40ℓのリュックを背負って額に汗をかき、赤子も老人も登るような山でひとりで重登山の雰囲気を醸し出している。
中国一周している事情を知らない人たちからしたら、もはや不審者でしかない。

蘭州の街並み
1909年に開通した中山橋(戦争で壊れて40年代に再建)

ちなみにこの橋こそが、長さ5464mの黄河にかけられた一番初めの橋、中山橋だ。
それまでは、浮いている橋が主流で、固定されていなかったのだそうだ。

水辺で遊ぶ人がたくさんいる

偉大な黄河文明を遺した黄河は、今は蘭州市民の憩いの場所になっている。

新幹線で青海省へ向かう

蘭州西駅から新幹線で青海省・西寧へ。
新幹線で1時間だからと、上海ー無錫感覚で見ていたら、山岳地帯のためほとんどがトンネルで、電波が全く繋がらなかった。
案の定、駅に着くと同時にファイルを再送するようお客さんから催促のメールが2通入った。
今後は移動手段だけでなく、地形にも注意が必要なことがわかった。

西寧のホテルは140元(2800円)でこの広さ

西寧は市内でも海抜が2300mくらいあり、なんとなく頭痛がして調子が悪い。

とりあえず、荷物を置いて高山料理のレストランへと向かう。

牛すね肉のスライス

羊肉はボリューム満点なので牛にしてみたが、ひとりでは食べきれない量が出てきてしまった。
ちなみにこの唐辛子の粉、辛味の中にも、うまい棒明太子味のまわりについている粉みたいな旨みがある。
とてもグルメレポとは思えない発言だが、体調不良のため、何卒ご勘弁をいただきたい。
食べ切れず、半分は持ち帰り。

ハダカムギ特有のほんのりとした甘味がある

いつもしょうもないことを書いていながら、下ネタ好きの下品な人間だと思われるのがいやで紹介を悩んだのが、この食べ物。
「狗澆尿(犬のかけション)」と呼ばれる青海の重要な主食の一つである。
使われている材料と犬のそれとは無関係で、小麦粉とハダカムギの粉で作られている。
呼び名の由来は諸説あるが、作り方の工程にそのような動作があるかららしい。
こちらも食べ切れず、持ち帰りすることに。

藏参苗いため

藏参苗という、チベット自治区と青海省の海抜3800m以上で採れる植物。
ブロッコリーと菜の花が結婚して産まれた子のような食感と味わいである。
シャキシャキとした歯応えがやみつきになり、三人前くらいあったのにペロリとたいらげた。

青海ヨーグルト

陶器のうつわごと発酵させたヨーグルト。
表面を酥油(牛または羊のミルクで作ったバター)でコーティングをすることによって、ヨーグルトの変質を防いでいる。
クリームブリュレみたいでおいしい。

食後、明日は海抜4000m以上の日月山へ行くので、高山病予防の薬を買いに来た。

わたし「高山病予防の薬で、一番効くやつが欲しいです」
店員さん「あるよ、これ。これしかないね。あとは、酸素ボンベ」
わたし「いつから飲めばいいですか? 今からですよね?」
店員さん「うん、いつ飲んでもいいよ」
わたし「あの…これ、ほんとに効きます?(サプリだから効果を保証するわけではないって書いてある…)」
店員さん「それはわからないけど、みんなとりあえずはそれ買って飲んでるよ」
わたし「…」

ということで、プラセボ効果が大きく損なわれた状態ではあるが、もう一仕事したらサプリを飲んで寝ます。
おやすみなさい💤

現在の総移動距離 約8620km
現在の33地域クリア率  33分の4
降り立った都市 7
①上海②新疆ウイグル自治区(カシュガル/ウルムチ/トルファン)③甘粛(敦煌/蘭州)④青海(西寧)
飛行機  2回
新幹線  1回
寝台列車 2回
普通列車 0回


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