読書メモ さよならインターネット/家入一真

家入一真さんのさよならインターネットを読みまして、インターネット大好きっ子だった私が今後どのようにインターネットと関わっていくかを考えてみたくなりました。

ということで、「私とインターネット」で振り返りつつ、今までそしてこれから心がけたいことを「インターネットのサービス、プロダクトをつくるにあたって大切にしたいこと」を記していきます。

本書はこちらのnoteで全文公開されていますので、お時間と興味のある方はぜひ。

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私とインターネット

私は家入さんから一回りほど下の世代だが、4歳からパソコンに触れ、10歳で自分のサイトを立ち上げていたので、世代の中で割とインターネットデビューが早い方の人間だと思っている。この本でいう「ギークのためのインターネット」に触れて、世界への広がりとその自由に魅了された1人だ。

それが変わっていった実感はあったが、改めて日本のインターネットを時系列で振り返ったとき、私の心もインターネットの変化に影響されて生きていたのだと実感した。インターネットが好きになったり熱が冷めたりするタイミングがわりと家入さんと一緒だったので、私は古き良きインターネットが好きなオタクっぽい人間なんだと思う。

<時代を振り返る>
一番インターネットが好きだったのは、小学生〜中学生時代無料のレンタルサーバー借りてお笑いサイトを運営してた時。アクセス数がどんどん伸びて、置いていた掲示板に毎週数十コメントがついて楽しんでくれるのがわかって、インターネットから得られる自由に感謝して生きてた。年齢を公開してなかったので子供扱いされることもなく、一人の人間として扱われることが嬉しかった気もする。

SNSは最初そんなに好きじゃなかったけどmixiにはハマった。
リディラバという団体で初めてサービスを運営する側になった。社会問題の現場に行くスタディツアーを作り、Webでそれを広く届けるということでインターネットを使いこなすという視点ができた。
ソシャゲはなんかハマれなくて、ソシャゲ全盛期のインターネット業界には新卒で入る気にはならなかった(インターネットは好きなので、インターネットのインフラを作る会社は良きと思っていた)

そこから数年が経ってインターネット企業数十社と深く関わるようになって、やっぱりインターネット業界に流れる「自由を求める空気」「もっと楽に、もっとなめらかにを実現するサービス」「ロングテールむきの仕組みづくり」という要素に惹かれ、やっぱりインターネットって良いなぁって思った。

なので、ここ3年間ほどは、所属する会社のサービスを通して、「ロングテールに価値を返すのはどうするべきか?」を考えてサービスをつくってきた。

そしていまコロナによってさらに多くの人の生活にインターネットが染み込んでいき、インターネットでしか自由を得られない環境になった。だからストレスの捌け口のインターネットという色はまた濃くなってしまっている気がする。
だからこそ、優しいインターネットの世界を創りたい、と私は思う。


インターネットのサービス、プロダクトをつくるにあたって大切にしたいこと

優しいインターネットの世界を作るにあたって私が大切にしたいと思ってることがある。人・組織にまつわるサービスに携わる中で、2019年ごろから言い始めて、機会があればまわりの人に伝えて価値観だ。

居場所を作る人になりたい。そして、多様性を認め、発揮できる世界に。人と組織の可能性を最大化したい。

これは私がサービスに携わるなかで生まれてきた感情で、何かに影響を受けて言語化した訳ではない。だから、家入さんが同じく「居場所を作る」ことを志していると聞いてとても興味を持った。そして今回本を読んで共感できることが多く、「居場所を作る」に込めている思いもきっと近いのだろうと思って嬉しくなった。


この価値観をサービスで実現するにあたり、悩んできたポイントがパーソナライズ・機械学習だったので、この一節はまさに、、だった。

いずれにせよ、向かう先の目標の一つにパーソナライズ化があるでしょうから、そうなったときに冷蔵庫から表示されるメニューは、そしてテレビから流れる番組はどうなるのか。それは、おそらく皆さんのご想像どおりのはず。
 この結果として失われるのは、偶然性です。情報だろうと知識だろうと、そして経験だろうと「あなたのために分断された世界」の外へ意識して抜け出さない限り、未知との遭遇はない。そして、分断された世界に閉じこもるということは、新しい可能性との出会いを、あらかじめ拒絶していることとほぼ同義です。


人や組織にまつわるサービスは気づきを与えることや視野を広げることがとても大事だ。人の心は常に動いているし、考え方で見えている景色が180度変わってしまうようなこともある。
この気づきを与えることや視野を広げる事は、自分1人で物事について考えていることの延長線にはなかなかないことが多い。他者との対話や本を読んてメッセージを受け取ること、あるいは適切な問いのもとに内省することなどなどで、今までの指向と異なるものが導き出されることがある。そしてこれは基本的に是正すべきものではなく、良い変化だと思う。

一方で機械学習のモデルは変化を前提にはつくられていない。人の変化との関係で言うと、パーソナライズされた世界の中でいると人は変化しにくくなるし、人の変化にパーソナライズがついていけないことがある。だから変化の機会をつくるサービスと機械学習の相性について悩んだ。
機械学習はスーパーマンじゃない。学習により精度が上がるがその学習は果たして正しいのか?と懐疑的になってしまったのだ。

その中で自分の出した結論はレコメンドや自分の希望に依らず、新しい選択肢に出会えるコンテンツをつくることだったので、家入さんのいう「エクスターネット的」な思想の結果のアウトプットなのかもしれないと思っている。


今後、私は今までとは異なるプロダクトをつくっていくことになる予定だ。
それでもこの大切にしたいことはぶらさずにプロダクト作りに取り組みたい。まさに、こんな素敵な関係が築ける兆しがあって、とてもワクワクしている。

自分と共有する哲学を持つ仲間を見つけつつ、それでいて多様性が維持されるような、そんな理想的な関係を構築するためにはどうすればいいかといえば、それは自分が望む形でプラットフォームを創ることが一番手っ取り早い。

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全文公開を読んだ後に、手元に置いておきたくなってポチりました。




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