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読書メモ プロダクトマネジメント

リーンスタートアップに続いて、プロダクトマネージャーになるにあたり読んだのが『プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』。もっと実践的で読み返したい1冊になりました。


概要

リーンスタートアップがビジネスの立ち上げ期を中心に述べていたのに対し、WEB・システムなどのプロダクトマネジメントにおける顧客への価値の届け方が学べる本。

「マーケットリー」という架空の会社のプロダクト開発の現場で発生する問題を追体験しながら、PdMの役割、戦略の立て方、実行プロセス、組織の作りかたなどが説明されている。

プロダクトマネジメントで陥りやすい罠、推進する上での障壁はプロダクト組織の外にあるというような「あるある」と思うような場面説明と共にそこを乗り越えるための適切な問いやフレーム、ツールなどを教えてくれるので、こんなことで困ったら使ってみようというPdMの引き出しを作ることのできる本だと思った。

以降で私が学び、覚えておきたいと思ったことをいくつか抜粋して紹介する。

- ビルドトラップとは?

生み出された価値ではなく機能の開発とリリースに集中してしまい、成長が行き詰まってしまうこと。ビジネスや顧客のために想像したいアウトカムや価値と作ったものの数は関係ないから混同してはいけない。

- プロダクトマネージャーの仕事とは?

・バリューストリームを管理すること。バリューストリームとは価値を顧客に届ける上で必要になるすべての活動。問題発見、目標設定、アイデア創出、デリバリーなどすべて。
・学習に重点を置いてリスクを減らすこと
・役割はプロダクトのステージやコンテキストや立場で変わる

💡  役割は変わるものだということを踏まえ、組織やビジネスの環境をよく見て現状を把握して、謙虚に学び続けることを大事にしたい


- 戦略とは?

・意思決定を下すのに役立つもの。特定の時間軸における目的とアウトカムを説明するもの。
・ストーリーを伝えて足並みを揃える行為=戦略展開。各組織のレイヤーごとに適切なレベルの目標があることでチームが行動できるようになる。
・プロダクトマネージャーはプロダクトイニシアティブとオプションが既存のプロダクトやポートフォリオのビジョンと確実に一致する責任を持つ

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💡  プロダクトが取り組むべきことは、事業・ビジネスから独立したものになることはあり得ず、企業の目指すところや戦略に紐づいて決められる。言葉にすると当たり前なんだけど、解決策=HOWを抽象度高くまとめただけのプロダクト戦略が立てられてしまっているのは何回も見てきた気がする。。そこに対して「目指す方向に対してプロダクトがやろうとしてることちぐはぐじゃない?」「解決策ありきの戦略じゃない?」と違和感を感じたりディスカッションしたことはあったので、この図の整理のされ方や使いたい場面がありありと想像できた。使えそう。


- 戦略レベルにあったコミュニケーションとその頻度

・戦略は特定の時間軸における目的とアウトカムを説明するものというのは上記で説明されていた通り。戦略レベル(ビジョン、戦略的意図、プロダクトイニシアティブ、オプション)によって、異なる時間軸を持っているのだから、それに対応した「アウトカムに対する進捗」を伝え、すり合わせなければならない。
・コミュニケーションの核となる会議(参加者は「戦略展開」の図参照)
 ・ビジネスレビュー:四半期/戦略的意図とアウトカムと財務、戦略的意図に対するプロダクトイニシアティブの進捗整理
 ・プロダクトイニシアティブレビュー:四半期/プロダクトイニシアティブに対するオプションの進捗整理
 ・リリースレビュー:毎月/リリース予定とロードマップを伝える場

💡 この話は第5部のプロダクト主導組織の章で語られていたが、戦略を立てるときに肝に銘じたいと思ったので並べて書いた。戦略は実行され成果が出て始めて意味を成すので、このコミュニケーションのあり方・組織運営の仕方に近づけるように努力したい。


- プロダクトのカタ:より良いプロダクトを作る化学的かつ体型的な方法

・自分の現在地を把握し、その段階で何が必要なのかを理解するためのツールで、下記の問いに答えることで、明らかにしていく。
 1. 目標は何か
 2. 目標を踏まえて、今どこにいるのか(現状把握)
 3. 目標に到達する上で最大の問題や障害は何か
 4. どうやって問題を解決するか
 5. 何が起こると予想されるか
 6. 実際には何が起こったか、そこから何を学んだか

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- プロダクトの指標を考えるフレームワーク

・プロダクトの指標はプロダクトの健全性だけでなく、ビジネスの健全性を示すものでないといけない→虚栄の指標だと謝ってしまう。生産性の指標と混同しないこと。
・指標を考えるフレームワーク
  ・海賊指標(AARRR)
   →プロダクトにおけるユーザーライフサイクルを扱う指標
    Acquisition:獲得
    Activation:開始
    Retention:継続
    Revenue:収益
    Referral:紹介
  ・HEARTフレームワーク
   →ユーザーがどのようにプロダクトと関わっているかを示す指標
    Happiness: 幸せ
    Engagement: 関与
    Adoption: 採用
    Retention: 保持
    Task Success

💡  リーン・スタートアップを読んで、やるべきことは理解したけどどうやって指標を定めればいいの?とちょうど疑問が残っていたので、フレームワークを学べたのはよかった。実際のサービスで当てはめることや計測することは別の難しさがあるとは思うけど、道が開けた気がする。


終わりに

プロダクトマネージャーに求められているのはいくつものレイヤーを行き来して整合性を取ること。この時、細部にこだわると全体を見失うことがある。そのためにフレームワークや型を使い、現在地を把握することに拘る必要が出てくるので、そんな時に本書を開き、ブレないようにしていきたいと思った。
全部実行するのは難しいと思うけどちょっとずつ取り入れていきたい。


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