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【気ままな読書日記】暴力とアディクション

注:『テセウスの船』のネタバレ含みます。ご注意を。

図書館でたまたま手に取ったこちらの本。
パラパラしつつ、目次に目を通してみるとーーー

『訪れる痛みと与える痛み
  心身二元論的倫理を超える』

うわーなんか・・・・タイムリー!

前回の記事の中でちょこっと触れたライル先生の分析的行動主義。

肝心のライル先生読めてないのにアレですけども、併せて読んどくと面白いかも!と、すぐさまレンタル。

真っ白な表紙のピカピカの本にはシミひとつなし! 
新刊って素敵だなー。

さて、アルコール依存症をはじめとする物質アディクションは、摂取された薬物が脳や身体に深い影響を与えていることが前提であり、先述のような酒害による身体の障害を伴っているのが常である。
私はもともとアディクションをフィールドとしてカウンセリングを実施してきたため、よくも悪くも心身二元論的倫理をやすやすと超えてしまっていた。アディクションにおいて痛みやその対極である麻痺はなじみの問題であったし、妻たちの多くは酔った夫の暴力を受けて身体が傷つけられていた。
80年代からアルコール依存症の妻や女性のアルコール・薬物依存者たちとのかかわりを続けてきたが、前者も後者も、つまり家族か本人かを問わず、女性たちは殴られていた。中には殴られる際に無自覚でいるために酩酊するのだという女性もいた。
そこには心と身体を二元的に析出することなどできないような混沌とした世界が広がっていた。

『心身二元論的倫理を超える』より

『現場のプロの体感、二元論ぽくなし』
・・・と、頭の隅っこにメモしてから本文を読み進める。

するとすぐさま新たな衝撃が。
信田先生って、もしかしなくてもきっとスゴイおひと。

DV被害者の多くは夫に対して深い恐怖を抱いているが、それは殴らみや怒鳴られた言葉の過酷さによるものではなく、突然に、彼女たちにとってはわけがわからない理解不能な文脈において生起することから生じる。虐待も同様で、子どもにとってはいつどのような時に親から食事を与えられないのか、蹴られるのかが予測できず、なぜそうされるのか理解不能だからだ。
予測不能性が恐怖を増すことは、今回の大震災や津波をみればあきらかであろう。

『暴力の非文脈性と痛みによる文脈化』より

先生っっ、たしかに!!
これ、ホントにそうですね!!

そういえば『テセウスの船』の黒幕がせ○○ってわかる前と後。あの時もこんな感じじゃなかっただろーか。

正体が明かされていないうちは、ムチャクチャ不気味で怖かったのに、犯人がわかった途端、予測不能性が解消されて・・・・

え〜〜〜、犯人せ○○サンだったの!? あっそう。そうですかあ・・・(がっかり)。
ついちょっと前まで感じてた不気味と恐怖が、ズドンと一気にダダ下がる。
(※個人の感想です。スミマセン!)

ーーーあ。
もしかしたらこれも予測不能性の解消なのでは。
『毒親の正体を正しく知る』こと。

だいぶ逸れてしまったけど、以下続き。

DV加害者のプログラムを担当していると、彼らの暴力に至るプロセスは彼らなりに文脈化されていることに気づかされる。
「妻の子どものしつけがあまりにひどいと思いながらも、ずっと文句を言わずに我慢していた。ところが夕食後これまでと同じヒステリックな態度で子どもを叱るのを聞いてかっと来たんです」
妻は夫の言語化していない思い(=文脈)に気づいていないので、夕食後宿題をやるように子どもに説得していたところを夫から突然殴られ蹴られたと思う。
(中略)
このような経験を重ねるうちに、家族内の暴力被害者たちは、予測不能性に伴う恐怖と、夫に「おまえが悪い」と言われ続け内面化された自責感、夫の怒りを誘発する地雷を二度と踏まないための緊張感で圧倒されるようになる。

『暴力の非文脈性と痛みによる文脈化』より

ハラスメントの種類は違えど、これ、私の経験ほぼそのまんま。

しかし長いっ。
とりあえずここまでにしておこう。


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