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【気ままな読書日記】Audible 政治学者、PTA会長になる

小学生の保護者たちの胸をざわつかせる「PTA」の存在。そんな場所にうっかり義憤に駆られて、政治学者が踏み込んだら……?政治学の思考のフィルターを通して、PTAを見てみたら浮かび上がってきた、「スリム化」を阻むものの正体、「やめよう! 」が言えない大人たち、「廃止」が必ずしもベストではない事情…。そして、コロナで学校が閉ざされた時、PTAが果たした役割とは?
今の時代に合うPTAの形とは、続ける意味とは何か?身近な自治の場「PTA」での著者の1000日を通じて考える、私たちの「自治」の話。

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スリム化を阻むものの正体、それは『ポイント制度』。

こちらの小学校が実施する『ポイント制度』とは、仕事のツラさを点数化し各人が提供した労力量を計測しようというシステムのこと。
この制度に「スリム化を阻まれる」とはどういうことなのか。
 ↓
それはですね、仕事を削減されると困る人が出てくるからなのだそーです。
どんなに無駄な仕事にもその仕事を担当している人がいる
いきなり廃止なんてされたら予定していたポイントが貰えなくなるわけです。なので「困ります!!とりあえず今年度はやめて!!」みたいな反対票が入ってストップがかかる。
おおう。いかにもありそうな話~~。

ここまで読み進めた時、この後の展開として、
「なんつーアホらしさ! やはりこんな制度は潰さなければならない!」と燃え上がった先生が制度廃止に向かってひた走る!
ーーーみたいなのを想像したのですが、そうじゃなかった。
この話が本っ当に面白くなるのは、実はこの後からなのです。

ポイント詐欺や無駄の権化のようにしか見えなかった古紙回収&ベルマーク事業。しかしそれらの活動にいろんな形で救われているお母さんたちがいた。あえて無駄を放置しておくことによって秩序に安定が生まれる非合理の合理。

数を減らすばかりがスリム化じゃない!

と、悟りをひらいた岡田先生の考察は更にナッジ理論編へと拡大。尊い気づきが延々と語られてゆきます。4章の厚みが物凄い。

実際に行動してみないとわからないことがある。
経験した先にしか見えない景色がある。
そういう実例と教訓のタッグみたいなモノがぎっしりと詰め込まれたスゴイ奮闘記でした。

先生、お疲れ様です!


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