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価値観の違う母へ


うちの母はしばしば、友達の娘さんや息子さんが○○に就職したとかを報告してくる。

その時の基準は、だいたい大企業かどうかだ。でも、大企業かどうかで良い悪いは判断できない。

しかし、やっぱり私の親世代、つまり50代前後の人の価値観では、大手=いいが固定してるように思う。

だから、母へ向けて(まあ母がこれを読んでいるわけではないのだけれど)、言いたいことを書きたい。


まず、もちろん、大手企業はいいところだと思う。つまり、このnoteは、大手企業や大手に就職することに対して意義を唱えるものではない。

ただ、大手がいいというのは、その安定感とかいろいろな制度とか、事業の規模とか、そういうのを考えれば、の話だ。

大手じゃなくてもいいところはたくさんあるし、大手にするかしないかは、人それぞれ、どういう企業が合っているかによる。

それら全ての良さを比較した上で、大手がいいと言っているなら納得できるけれど、特に何も考えずに「大手=就活成功組」みたいな話をしてくるところが考え方がちがうなと思う。

そもそも就活の成功ってなんなんだろう。いい企業ってどこで判断するのだろう。

母の基準で言うなら、就活の成功は、名の知れた企業に入ること。いい企業も名の知れた大きい企業。

しかし、本当にそれは成功なんだろうか。名の知れてるからいい企業なんだろうか。

そもそも名の知れた企業がいいという価値観は、どこからやってきたのだろうか。それは母の価値観であり、母が育ってきた時代の、社会の価値観だろう。

その価値観での判断が本当にいい場合なのは、母が就活をし、働いていく場合だけだ。でも、本当に働いていくのは、私。そして友人の娘さんや息子さんだ。

そして、いい企業かどうかというのも人によってちがう。その人が何を重視し、これからどう生きていきたいのか、それを実現する手段としての就職だ。

ただお金が十分にもらえて、解雇もされず、会社も安定した業績だからといって幸せになれるわけではない。

だから、1番に優先されるのは本人の意思であり、就活においての成功は大手かどうかじゃなくて、自分の行きたい企業や業界だったのか、そして自分のやりたいことや人生設計、もしくは自分の適性や能力に合う企業だったのかという点だと思う。

これから働いていくという視点を見ずに、名前だけで就職先を判断するくらいなら、いくら世間話だとしても、そういう話はしないでほしいとすら思う。そこまで強制する権限もないけれど。


ただ、親だから、子供の幸せを願って、安定しているところに、名の知れた企業に入ってくれたら安心だと思う気持ちもわかる。

けれど、安定だけが子供の幸せではない。親にとって安定が幸せでも、子供にとっては挑戦が幸せかもしれない。子供が何を幸せとするかを親が規定することはできないのだ。

だから、子供の判断を信じるしかない。子供が悩み、考え、選択した道を応援するしかない。

その先にたとえ失敗が見えても、その失敗を今未然に防ぐことが親にならできたとしても、そこで失敗を回避したら、子供が得るものがなくなってしまう。

自分の子が悩み苦しむ姿を見るのはつらくても、きっとそれが彼/彼女が経験すべき痛みであったのだから、そっと見守るしかないのだ。

あなたが親として、痛みがわかるのも、それを回避させたいと願うのも、実際に痛みを経験してきたからで、だから子供に伝えることができる。

しかし痛みを経験しなければ、子供は痛みのわからない人になってしまう。そしていつまでたっても親離れできないだろう。


最後に、1番母に言いたいことは、選んだ道を、表面上のことで否定するのではなく、なぜ選んだのか、これからどうなりたいかを聞いてから判断してほしいということ、そして、自分で、自分の価値観を元に選択したことそのものを評価してほしいということだ。

これから自分の決めた道を生きていくのも、そこで起こる苦難を受け止めるのも、責任を取るのも全て自分である。

そんなことは子供だって、まだ浅はかな思考しかできなくたって、わかっているのだ。

その上で、何かあっても人に責任を押し付けないように、自分で困難を乗り越えていけるように、自分の道を自分で選んでいるのだ。

何もできない赤ちゃんを、ここまで育ててくれたこと、愛情をたくさんくれたことは、多分感謝とかそういう言葉だけでは言い表せない。

あなたが自分のことを差し置いて私のことを考えてくれていることもわかっているけれど、私が生きていくのは、私の人生だから。

だから、あなたとはきっと価値観も考え方も違くて、理解に苦しむかもしれないけれど、私は絶対に幸せになるから、自分で自分を幸せにする道を選ぶから、それだけは信じておいてほしい。


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