絵が描けなくなった話。その2

なぜ描けなくなったのか、その時期と原因について考えてみた。思いつく原因は4つだった。

1つ目の原因は、おそらく『お金』だと思う。

20代前半。デザイン関係の仕事をしながら、たまに友人に頼まれてイラストを描いていた。正直、仕事にもまだ慣れず、疲れて帰宅をしてから絵を描くのはキツかった。

でも、あの頃はまだ絵を描くのが楽しかったので、熱中して取り組んだ。

ただ、社会人になったばかりの自分は、お金の話しが上手く出来ず、さらにクライアントは友人だったので、お金を貰いづらかったり、貰える予定が、貰えなくなってしまったりしていた。そして私は、少しずつ嫌な気持ちが溜まっていたのに、それに耐えてしまった。

2つ目の原因は、『消耗』だと思う。

当時、ちょっと距離の近すぎる友人がいた。ちょこちょこと相手の仕事を手伝っていたのだが、かなり横暴な人で、都合の良い専属イラストレーターの様に使われてしまっていた。

ある夜、イラストを渡して帰宅すると、私は座り込んでわんわん泣いてしまった。

その時唐突に、自分の中で「何かが消えてしまう」予感がした。それから少しずつ、絵が描けなくなっていった。大切なものを、無駄に消耗してしまった代償だと思った。

けど、それに気がついたのも、ずいぶん経ってからだった。手遅れってあるんだなと思った。けど、その頃も仕事が忙しかったので、たまに思い返すだけだった。

つづく

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