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「イカゲーム」シーズン1

韓国のTVヒューマンドラマ「イカゲーム」を見ました。

最初の記事に相応しい新しい作品です。ネタバレを含みますので、ご容赦ください。


最終話まで見た感じ「カイジ」と「SAW」を足したような感じでした。

莫大な借金をしたことも犯罪を犯した経験も無く、追い詰められた人間が実際どのような行動に出るのかは想像の域をでません。しかし、それにしても裏切り方が酷かった印象を受けました。出てくるゲームは昭和を思わせる懐かしい遊びです。めんこ、だるまさんがころんだ、綱引き、ビー玉。ガラスを渡るのはVIPの観賞用のような感じで、最終決戦でありタイトルにもなっている「イカゲーム」は韓国独自の遊びです。やんちゃな男の子向けというイメージ。

【登場人物】

主人公のギフンは最初なかなか嫌な奴です。いい歳のおじさんなのに年老いた母親の脛を齧り、競馬にお金を注ぎ込んでは借金を繰り返す。そりゃあ離婚されて娘の親権も奪われるだろうし、悪影響だからもう関わるなって言われますよね。娘の立場からしても、こんな父親とは関わりたくありません。

しかし話が進むにつれてお人好しな部分が見えてきました。良い奴なのかもしれないと思いましたが、結局最後まで良い父親にはなれませんでした。娘を大事にして欲しかったですね、本当に。不特定多数の人間のために動くより、家族や仲良くなった人の家族のために行動を起こす人であれば好感が持てたと思います。主人公なので生き残りますが、この手の話に「ハッピーエンド」はありませんね。

ギフンが当初から高学歴ハイスペックを主張していたサンウという男。頭脳派は必要ですが、持つ物が多いと転げ落ちた時の落差が激しくて本当のドン底までいくものですね。警察が来た時の母親の気持ちを思うと、辛くて仕方なかったでしょう。サンウも自殺しようとするほど追い詰められていましたね。自分が生き残り金を手に入れる為に手段を選ばなくなっていく度にどんどん嫌いになっていきました。周りの人たちも同じように家族が居て、様々な状況で苦しんできてるんですよね。自己中心的で見ていられませんでした。最終決戦で自決を選びましたが、あの状況ではそれ以外有り得ないと思っていました。ギフンもサンウも他人を犠牲にして生き残ってきたんですから、無駄にしない為にもゲームをやり遂げるべきです。他人を殺した上にお金も手に出来ないなんて、それこそ死んだ方がマシ。ギフンとサンウは子供の頃から仲良しだったみたいですが、サンウの行動は目に余ります。ギフンがサンウのために流した涙は全く共感出来ないものでした。

脱北者の女の子セビョク。この子も苦労してきたんでしょう。表情筋が殆ど動かず気の強い子です。誰も信じないスタンスで居るのは正解だと思っていましたが、少しだけ心を開いてくれたのは嬉しかった…幸せになれなくても、せめて生きて外に出られたら良かったのにと本当に思いました。小さな弟のことも心配です。ギフンが勝ち取ったお金とサンウの母親が居たとしても、お姉ちゃんが居ないのは辛い。ペアを組むことになった女の子との出会いは彼女の凍ったような心を溶かしたんだと思います。別の場所で出会っていたら、普通に友達になって仲良くお出かけして欲しかった…ビー玉の話は、なかなかに心を抉ってきます。

許せなかったのは彼女に大怪我を負わせたガラス板爆破の仕掛けです。嫌な予感はしていましたが、まさか本当にアレが刺さってしまうなんて。そういえばカイジでも、ブリッジを渡りきった後に突風で落ちるシーンがありましたね。あの時も「そんな事で…!?」と衝撃を受けたものです。

パキスタン人のアリ。だるまさんがころんだの時から終始一貫して良い人です。カタコトな話し方が可愛くて、一度ゲームから解放された時のサンウとのやり取りも微笑ましいものでした。サンウを社長さんと呼び、電話を貸してもらって交通費をくれた時も何度もお礼を言って。恩返しのトウモロコシも、サンウを兄貴と呼ぶようになったのも可愛らしくて、何だか純粋な雰囲気が漂っています。働いている工場は給料未払いで社長も感じ悪い人です。アリは労働に対する正当な対価が欲しかっただけで、社長の手が潰れたのは事故です。美人な奥さんと生まれて間も無い赤ちゃんを残して逝くなんて、しかも信頼していたサンウにとんでもない裏切られ方をして死ななければならないなんて…さすがに涙が出ました。信じて慕っていた相手に裏切られた絶望の重さに心が潰されました。本当に悲しいです…生き残れるタイプでは無かったけれど、あんな退場のさせ方は酷すぎます。

可愛いおじいちゃんイルナム。このおじいちゃんもゲーム退場までは本当に可愛い人でした。周りで人が死んでいくのにすごく楽しそうにしているのは、認知症のせいだろうかと思っていましたが…そうじゃなかったですね。ゲームをクリアしたギフンに花売りのおばあさん経由で名刺が届くまで、おじいちゃんがラスボスだったとは気付きませんでした。改めて見ると撃たれて死ぬ瞬間は映っていないので、勘のいい人は気付いたでしょうか。大きな部屋で寝たきりのイルナムが語り始めた時にSAWのジョン・クレイマーと重なりました。ただ、カイジ要素が強いので脱出は1人だけですし、イルナムは楽しむ為にゲームをしたがっているので理不尽で自分勝手な人だったんだと残念な気持ちになりましたね。「ゲームをしよう」と言うこと、「水をくれないか」と言うこと、余命が短い病気だということ、おじいちゃんっていうこと、ジョンと内容は違いますが自分勝手な考えはSAWから持ってきたんでしょう。最初はあんなに可愛いおじいちゃんだったのに、複雑な気分です。

さて、忘れてはいけないのがこの二人です。ソバージュのおばさんミニョと、ボス猿タイプの刺青野郎ドクス。ミニョはうるさいおばさんで、男に媚びて上手くやってきましたね。ドクスはずっと嫌な奴でしたが、こういう奴に限ってわりと長生きです。お互いに利用し合っていましたが、ガラス板を渡るゲームは2人の最高の見せ場です。VIPが女の恨みは恐ろしいと言っていましたが、ああいうタイプの女は度胸があって気持ちいいですね。ドクスに好意を抱いているとは思っていませんでしたが、落ちていく時に彼女の腕が彼の背を抱いていました。都合良く利用していただけの相手なら、さっさと手を離すか腰をがっちり掴んだままだったんじゃないでしょうか。もしかしたらちょっとだけ好きになっていて、本当に最後まで一緒に居て欲しかったのかも…ちょっとだけ好きだったから、裏切られて余計に悔しかったのかも…だから、最後の瞬間は背中に腕を回したんじゃないかなと、そんなふうに思いました。


長々と各人物について思うことを書いてきましたが、血液や内臓の描写もあるので少しグロテスクかもしれません。イカゲームっていう名前だけで子供が見てしまわないようにした方が良さそうです。

【総評】

友人に見るようにオススメするかと言われると、微妙なラインです。やはり他の作品の名前がチラつくと内容に集中出来ません。

韓国の俳優さんに明るくないのは私の勉強不足です。吹き替え版の声優さんには榎木淳弥さんと諏訪部順一さんが出てきますよ。

【?】

刑事のお兄さんは、何故あちら側の人間になってしまったんでしょうか。刑事の死体は出てきませんでしたが、本当に死んだんでしょうか。

ギフンは何故、髪を赤くしたんでしょうか。何故、娘に会いに行かなかったんでしょうか。何故○△□へ電話して再びゲームに参加しようとしているんでしょうか。

ギフンには何の力も無いのに、大きな組織の大きな力に立ち向かおうとしているんでしょうか。

シーズン2ではどんな展開になるのか、気になるので続きは見ようと思います。

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