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わたしだって想像力が欠如してたのだ
自分も人々のこと,想像力の欠如なんていってるけど,
わたしだって想像力が欠如してたの,思い出してる
わたしには弟が4人いて
その中の1人がきれーに薬が効く統合失調症を持ってる
統合失調症は,病識がない(病気が自覚できない)病とかいわれるけどさ
私だって,手術で摘出後,
ホルマリンで乾かされて輪切りにされた自分のおっぱい写真見せてもらって,ここにあるのががんだよって目視しても,
病識,ぜんぜんないじゃん?
(先生はこういう私だから見せたのだろう)
病識ないっていうとちょっと違うか。
ちゃんと言うと,もちろん病気だってわかってるんだけど,
でもどこかで全然わかってない,実感できてないという感覚。
とくに私は術後すぐ無理矢理,職場復帰して
毎週,胸に水がたまるのを抜いてもらったり
ロキソニン・カロナールにリリカを盛って
ラムネのようにカジュアルに服用しながら痛みを抑え込んで仕事してたら
そのうち楽になったので(まだ水は貯まるが)
調子にのって3kmマラソンに出たり
調子にのって自転車や電車に乗ったり,
温泉やキャンプに行ったり
さいごには夜の9時やら深夜の1時やらまで研究残業するようになり
なんだ全部できるじゃん!
自分は元気だ!健康だ!
と錯覚するようになってきたのだ
自分が元気だという感覚がどこかにあれば,
具合の悪くなる薬,
自分が自分でなくなるような感覚をもたらす薬,
飲むの嫌なの,当然だよね
弟も,こんどこそ必ず薬飲む,続けるって言って退院しては
何回も何回もリラプスしてた,毎年の恒例行事くらいの勢いで
捕獲入院みたいな,警察も出動する派手な劇が繰り広げられてた
あの頃本当につらくて,大変だったけど
弟は,のたうちまわってたんだなと
なんで,俺元気なのに,こんなに考えるちからもあるのに
なんでこんな,頭にもやがかかるような薬,
のまなきゃいけないんだ?って
なんで分かってくれないんだ?って
薬減らしてよ,薬やめるよって
その瀬戸際みたいなとこ攻めたくなる気持ち,
いま,やっと理解できてきたというか
あの頃も,「気持ちは分かるけど」みたいにも思ってたけど
全然,ほんとには弟の気持ちなんて何にも分かってなかったんだなってことそれが,今ちょっとだけわかってきたよ
統合失調症の投薬は,注射でだいぶ続けやすくなるんだけど
「注射が嫌」という理由から,弟は何年も拒んでた
なんでだよ,何回入院するんだよ
ワガママいうなよ,注射しろよって
(そんな言い方しないけど)
正直,どこかで思ってたけど
でも弟には,やっぱりそれでも「注射が嫌」っていう権利あったと思う
何回も何回もリラプスして入院して,
やっと病気を自覚して,注射での投薬も受け入れて
リラプスまでの期間が延ばせてきてる,
いまのところ記録更新中
そうやってのたうちまわる権利がその人にはあったんだ
迷惑かけて,周囲の人が離れていくとしても
いろんな努力,財産,時間,自分で無駄にしたとしても
その人が思うように,その人がわかるまで
のたうちまわる権利があったんだ
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