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しろくまさんと僕

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しろくまさんの刑事モノです
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#しろくま刑事

しろくまさんと僕(3)

しろくまさんと僕(3)

第3話「しろくまさんとお葬式」

僕の住んでいるクニでの葬儀はいわゆる土葬が多い。ケイサツカンの葬儀はアメリカ映画に出てくる警察や軍隊のような堅苦しさはなくて、身内の葬儀のようにカジュアルなものだ。僕を含めた関係者は静かに、棺に花をおいていく。

僕はとても悲しかったけど、同時にしろくまさんに怒ってもいた。さらに自分のことも責めてもいた。そんな葛藤を理解してか、同僚も先輩も葬儀では視線を合わせてう

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しろくまさんと僕(2)

しろくまさんと僕(2)

第2話「しろくまさんと刑事」

廃工場での報告書をようやく署長に提出し終わりデスクに戻った僕は、かなりぐったりしてそのまま机の上に突っ伏した。銃撃戦からの3日間はとにかく忙しかった。

応援も待たずにしろくまさんと僕は犯人と銃撃戦をはじめたわけだし、挙句の果て犯人を撃って逮捕した。そのせいで、報告やら始末書に追われてもしかたがなかった。しかもその間に、大事な行事の予定が入ったりもした。それらがよう

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しろくまさんと僕(1)

しろくまさんと僕(1)

第1話「しろくまさんと銃撃戦」

キュンッ

それた弾丸が倉庫の鉄骨にあたってどこかへ跳ね返る。僕はコンテナの影から身を乗りだして応戦するが、どこに向かって撃てばいいのかわからない。この廃工場の出口は1つしかないことは確認済みだけれど、なにしろ犯人の姿が見えないからだ。

「これじゃらちがあかない。しろくまさん、援護を頼みます!」

一気に倉庫の奥へむかい犯人を捕らえてやろうと思い、通路を挟んで反

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