ジャレド・ダイヤモンドが語る結婚で一番大事なこととは
ピューリッツァー賞を受賞し、ドキュメンタリーにもなったベストセラー「銃・病原菌・鉄」の著者であるジャレド・ダイヤモンド。
12か国語に通じ、専門の生理学や地理学の他にも考古学や人類学、鳥類学にも精通し、しばしばパプア・ニューギニアで調査研究を行っている、多才な人物。
それだけ多方面に長けている人物ゆえ、「銃・病原菌・鉄」では、どの方面からの考察を通しても、たった一つのシンプルな答えにたどり着くことを証明してみせた。
それは、「西欧の覇権は、民族の能力の違いによるものではなく、単なる地理的な有利性の結果に過ぎない」ということだ。
つまり、西欧の成功というのは、いくつかの幸運な地理的条件が偶然重なったから成り立ったのであり、ヨーロッパ人本来の能力が他の地域の人々よりも優れていたのではない、ということを明らかにしたのである。
正直、上下巻ともやたらと長いのがネックなのだが、主張は拍子抜けするぐらい、いたってシンプルだった。
承太郎さんもびっくりの、「たったひとつだぜ...たったひとつの単純な答えだ.........」。
そんなジャレド・ダイヤモンドが、結婚についても語っている。
よく人は、「幸せな結婚生活を送るために一番大事なことは何か」と聞く。
それに対して彼は、
幸せな結婚にとって一番大事なことは、「結婚における一番大事なこと」を探さないこと、だという。
なんと哲学的。
でもこれを読んで、私はストンと腑に落ちてしまったのだ。
幸せな結婚生活のためには、コミュニケーション、家事、セックス、子ども、経済面、相手の家族といった様々な要素がそれぞれうまく機能していかなければならないからだ。
同じくベストセラーの「文明崩壊」では、過去の歴史を分析し、たった一つの要素だけでも、社会は簡単に崩壊することがあると言っている。
文明崩壊の要因には、環境に対する取り返しのつかない人為的な影響、気候、近隣諸国との対立、友好国からの疎遠、環境問題に対する誤った対処という5つの要素があるそうだ。
たった一つでも崩壊する可能性はあるわけだが、そのどれか一つにだけに注意していればよい、というわけではない。
ある社会がうまく機能していくためには、色々な事柄がうまく機能していく必要があるのだ。
結婚生活も、社会も、文明も、一番大事な一つのことには絞り込めないのである。
ジャレドダイヤモンドは、いつだってクリアでシンプルな答えを私たちにもたらしてくれる。
いつだって単純なのだ。