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楔状骨骨折…最後までわからない病名は…Ep7(1)

急いでいた
ATMの入り口の
足元には
ロープが張ってあったらしい…
私には見えていなかった
あった?かな?

私の視点の先は
足元ではなく
もっと水平の延長線

気づいたら
転んでいて
左足首は甲を下に
反対側に
ねじ曲がっていた

でも転んだとたんに起きた
転んでいられなくて
跳ね起きた
そして
普通に歩き出した

だって
私は急いでいたから
止まってられなかったから

しばらくすると
足首から甲、指先まで
パンパンに腫れ出した

転んだことが
ただ恥ずかしく?
なかったことにしたかった
だから
痛みのささやきを無視して
仕事した

ささやきは
つぶやきになり
ことばになり
無息になり
叫びになってきた

「痛い!」

これはケガ?
なら整形外科…
仕事を終わるまでは我慢
そして夕方
受診する

受診前、外来の問診で
私の左足を見た看護師さんは
そのとたん
目を見開いて

私の象みたいな左足を見て…
「帰る時は…松葉杖かなあ…」
と聞こえるように呟かれた

そしてDr.の受診
「レントゲンでは異常はないようですね」
「骨折は…ないですね」

診断名は
「打撲」

「しばらく安静にしておいては?」とのこと

痛み止めの薬も
湿布さえ出ずに
その状況に
「よかった…のかな?…よね」と
思いながら家路に着く

その日から「打撲」と
信じて疑わない私は

痛みの沼に落ちていく

「打撲」ではなかった
最後までわからない病名は

それは・・・