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信じるものが たとえ違ってても そう平等に・・・ 〜櫻坂46の2年間を信じている〜

昨日、「第73回 NHK紅白歌合戦」の出場歌手が発表され、乃木坂46(8回目)、日向坂46(4回目)が紅白出場を決めた一方、櫻坂46は選ばれませんでした。

欅坂46時代から続いた連続出場記録は6回で途切れることになりました。

今月8日・9日の東京ドーム公演をもって、初代キャプテンの菅井友香が卒業。2代キャプテンに松田里奈が就任してまだ日が浅い中、文字通り大きな転換点を迎えることになりました。

どうして彼女たちはこうも試練ばかり与えられるのか。

同じ日、日本レコード大賞優秀作品賞のノミネート作品が発表され、坂道シリーズは3組とも名前がなかったことでザワついてからの「櫻坂紅白落選」の報は、流石に応えました。

紅白も、レコード大賞も、歴史を重ねている分だけその評価は二分されているように感じます。ありがたがってみると白い目で見る人がおり、軽んじれば痩せ我慢だと言われる。年末にかけての大型特番が生まれては消えていく中、これだけの歴史を重ねてきた二大巨塔の存在感ゆえだろうと思います。やはり、重みが違う。


悔しい。単純に。

こうしたメジャーな番組や賞レースとは無縁ながら、根強い支持を受けて、息の長い活動を続けているアーティストはいくらでもいる。とはいえ、これまで選ばれていたものが急に途絶えるというのは、嫌でも「凋落」を意識しないではいられなくなる。グループが巨大化すればするほど、この運命は避けて通れない。彼女たち自身にとってはもちろん、ファンにとっても、それは過酷な現実だ。

変わらなければいけない。そういう時期に差し掛かった。

運命の時計は、ずっと時を刻んでいた。晴れの日も雨の日も、残酷なほど同じリズムで極めて正確に。

強い風が吹いている。先刻までの驟雨は去ったが、草原は曇天の下で不安げに揺れている。方向が未だ定まらないのか、それとも見つけられずにいるのか。遠くの空からなお響く雷鳴が不安を呼び覚ます。

その最中、確かに聞こえた。

オマエは何処へ向かう?


2020年7月16日、欅坂46が改名を発表した日。
キャプテン菅井友香の言葉。

「私たち欅坂46は、この5年間の歴史に幕を閉じます。

そして欅坂46とは前向きなお別れをします。

もちろんこの決断をすぐに受け入れられるメンバーばかりではありませんでした。わたしたち自身も欅坂46に対する思い入れがすごく強いですし、ここまで半端な気持ちでこのグループとして続けさせていただいたわけではありません。

でも、このグループとしてもっともっと強くなるための決断だと、今日までスタッフの皆さん、そしてメンバーのみんなと話し合った結果、今は前を向いています。欅坂46だからこそ叶えられた夢がたくさんありました。

本当に今まで、欅坂46に出会ってくださって、欅坂46を好きになってくださって、欅坂46を支えてくださって、本当にありがとうございました。

たくさん楽しい思い出があった一方で、正直悔しい思いもたくさんしてきました。なかなかこの2年は特に、出口の見えないトンネルを彷徨っていたような状態だったと思います。予測できないようなことがたくさん起きて、思うように活動できない日もありました。応援してくださってる皆さんの期待に応えられないんじゃないかと思う日もありました。そしてメンバーの卒業・脱退も続きました。グループの名前が一人歩きして、耳を塞ぎたくなるようなことに悩まされた日もありました。

今、グループとして強くなるために、新しく入ってきてくれた2期生、新2期生、そして1期生の28名でここから新たなスタートを切り、もう一度みなさまとたくさんの夢を叶えていけるように頑張りたいと思います。そしてここから強くなるために、今まで大切にしてきたものを今一度手放すことで、空いたスペースには本当に大事なものでまた満たされるんじゃないかなと思っています。

ここからのリスタートになるので、相当な茨の道が待っていると思います。でも、色の無い真っ白なグループを皆さんと一緒に、染めて行けたらいいなと思っています。欅坂46で培った経験が、きっと私たちを鍛えてくれています。ですのでこの経験を信じて、また新たに強いグループになることを約束いたします。」


(画面スクリーンショット)

そしてこの約3ヶ月後、欅坂46は櫻坂46として生まれ変わった。欅坂の終焉とともに何人かのメンバーが去り、新生・櫻坂46は文字通り真っ白な衣装で時を刻み始めた。


危ぶまれたその年の紅白に出場。翌年、欅坂の聖地・富士急ハイランドコニファーフォレストに櫻坂としてカムバックを果たし、2年連続、通算では6回目の紅白出場を果たした。

2期生を中心としたフォーメーションが主となり、1期生が少しずつ去っていった。そこには旅立つ者への慈しみと惜しみない愛情があり、巨大な嵐を乗り越えた先の、穏やかさがあった。

そして最大の功労者とも言える、初代キャプテンの卒業。万感の思いを込めての東京ドーム卒業公演だった。いつの間にか逞しく成長していた2期生にバトンを託しての旅立ちだった。


トンネルを脱した。長い長いトンネルを。その先にあるはずのまばゆい光を期待しながら。


けれども、そうではなかった。

ああ、運命の扉は果たして厳然と立ち塞がっていた。天を突くような巨大な扉だった。

「相当な茨の道が待っていると思います」

あの日の言葉は、運命の歯車の軋んだ音が耳元で聞こえたからこそ発した言葉かもしれない。けれども、同時にその先に待ち受けているものを正確に見抜いていた。

忘れかけていた。明るい光に目が眩むと、不意に周囲が見えなくなってしまう。

「ここから強くなるために、今まで大切にしてきたものを今一度手放すことで、空いたスペースには本当に大事なものでまた満たされるんじゃないかなと思っています」


今更思う。あの日、菅井友香が涙を流しながら、それでも目を逸らすことなく語ったあの言葉に、嘘偽りは微塵もなかったのだと。

今のこの現実を乗り越えた先に、本当の新生・櫻坂46がある。

それは明日の朝、太陽が昇るのと同じくらい確かなことだ。

彼女たちはきっと新たな姿に生まれ変わる。

だから我々も変わるしかない。変わるためのヒントは、彼女たちがこれまで何度となく体現してきた。我々はそれを光を浴びるように吸収してきた。大丈夫。

「この経験を信じて、また新たに強いグループになることを約束いたします。」


今、目の前の扉は固く閉ざされているかもしれないけれど、開かない扉であるならば、そもそも扉の前にたどり着いたことが矛盾だ。



強い風が吹いている。

その最中、確かに聞こえた。

何処へ向かうか、僕にはわからない。ただ、向かった先に、光があると信じている。



2022年11月17日


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