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エッセイ+川柳「ピースごはん」

1年で1番好きな季節が今年も来た。桜、藤、ツツジ、蜜柑、等々、さまざまな花が次々と咲き、新緑のあの独特の匂いがして、風が気持ちがいい。草木や花の生気を感じながら散歩するのはこの季節の何よりの楽しみだ。

ピースごはんを炊くのもこの季節の楽しみの1つ。ピースごはんを炊く楽しみは、さやにおさまったエンドウ豆の愛らしさを愛でるところから始まる。炊き上がる時の豆の匂いもよい。小さい頃はこの匂いが苦手だったのだが、金時豆、黒豆、大豆といった豆全般が好きになるにつれてこの匂いが好きになった。炊き上がったピースごはんは豆の甘さとお米のほんのりとした塩味がおいしい。普段ごはんをあまりおかわりしないけど、この時だけはおかわりをする。

ところで、エンドウ豆を炊き込んだごはんのことを「ピースごはん」と言ったり「豆ごはん」と言ったりする。私は、母が「ピースごはん」と言っているその影響を受けて「ピースごはん」と言うことが多い。でも、「豆ごはん」という言い方がかわいいから、「豆ごはん」と言う時もある。以前、作家の江國香織さんが「クウネル」(リニューアル前の)の「江國香織姉妹の往復書簡」で妹さんに宛てた手紙の中で「豆ごはん」のことを「まめご」とおっしゃっていた。「まめご」!  なんてかわいいんだろう。まめご、というその不思議な語感と共に強く印象に残った。

グリーンピースのシーズン中、ピースごはんを作るのは最初で最後になることが多い。つまり、1年に1回しか作らないことが多い。こんなに好きなんだからもっと作ればいいのだが、スーパーや八百屋さんでグリーンピースと上手く遭遇するのが年に1回くらいなので、自ずとそうなる。ピースごはん、今年はもう1回作れるだろうか。


五月の句点はグリーンピース        

/白水ま衣





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