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仲白針平
2024年3月3日 13:28
もう、ウナギなど食べたくないし、ウナギの顔も見たくない。 宵闇の底を這う水生生物のような、湿っぽい紆曲を続ける町道を歩いていると、そんな想念が再び押し寄せてくる。 この道は、どこにつづいているのだろう。蒲焼きをタレに浸したときみたいに、甘ったるい夜のしずくが、昼の熱を吸い込んだアスファルトの上でじゅわじゅわと音を立てる。 ウナギから逃れたい。 それは、絶体絶命の欲求として、存在の根源的苦