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リスの税金【お題:木の実このまま税理士#毎週ショートショートnote】

 リスの世界にも税金はある。と言っても労役だが。

 どんな種類の木の実をどのくらい食べたのか及び保管庫に貯蔵しているかを申告書にまとめて税務署へ提出しなくてはいけない。そして、1年間に食べた量と年末時点の貯蔵量に応じて、植樹を次年度に行うことが義務付けられている。

 度が過ぎると山から木の実が無くなって色々な影響が出てしまう。そこで、この税制が定められた。

 しかし制定された年の大晦日、何と両方のほっぺた一杯に木の実を詰め込んだリスが現れたそうだ。税務署は当然課税しようとするが、当のリスは「食べてもないし保管庫に貯めてもない。」と口の中の分は無税だと主張する。

 事態は揉めに揉めて、ついには公聴会が開かれることになった。そこで、当時の税理士協会南の森支部長から「このまま24時間キープして、それから食べたのなら無税としてはどうか」という案が出され、議会の審議を経て採用されるに至った。

 それ以来、全国中のリスが年末は両頬をいっぱいに膨らませるようになった。しかし、ほとんどのリスは我慢できず年を越す前に食べてしまって結局は課税されているようだ。

 解決案を出した南の森支部長といえば、「木の実このまま税理士」と呼ばれるようになり、銅像が立てられたそうな。


了(520文字)


 今回のお題は「木の実このまま税理士」でした。どうしても文字数が抑えられず520文字となってしまいました。自分の力量ではこれ以上削れない。でも思いついてしまったので、このアイディアで書きたい。葛藤のすえ、410字を超えていますが、このまま掲載することにしました。


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 サムネイルは「ぱくたそ」さんのフリー素材を使わせていただきました。


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