前職はミュージシャン!異色のキャリアを持つエンジニアがShirofuneから得たもの 〜エンジニア 稲月剛志の場合〜
Shirofuneでは当初より、ツール開発からセールスや広報・マーケティング、ユーザーサポートなどのサービス展開に至るまで、積極的に社外のプロフェッショナル人材とのチーム作りへ投資し、Shirofuneのプロダクト・サービス両面での成長に取り組んでいます。
Shirofuneの社員として社内に入るわけでもなく、他とはちょっと違ったチームビルディングとその取り組みに、どのような想いを持って参加しているのか、自身の働き方やキャリアへの影響も含めて、チームメンバーに直接聞いてみました。
3人目は、ミュージシャンからエンジニアへ転身したという異色のキャリアを持ち、Shirofuneのリリース当初から開発を担っている稲月剛志さんのインタビュー内容をお届けします。
ミュージシャンからエンジニアへ。
異色のキャリアで株式会社アンテクに参画
―Shirofuneリリース当初から開発に携わっておられますが、株式会社アンテクにはどのような経緯で参画されたのでしょうか。
私がIT業界に入ったのは今から20年ほど前です。もともとは音楽活動をしていました。楽曲制作なんかもやっていたので、そこから派生してHPを作ったり、レコーディングをしたりとコンピューターを使う機会が増えていきました。
音楽だけでお金を稼ぐことは難しく、だんだんと需要の多いITが仕事の主軸になっていきました。
2000年代はプログラマーの需要が一番多かったので、私もプログラミングの仕事をメインにしていました。とは言え当時はまだ、プログラミングやデザインの垣根もない時代でした。
必然的に私の仕事もSEやプログラミングのみならず、画面成形といったデザイン関係の仕事まで広がっていきました。
15年ほどこういったIT関連の仕事をしている中で、古くから親交のあった山﨑伸也(現、株式会社アンテク代表取締役)がアンテクを創業しました。
山﨑はアンテクを創業する前にも会社を経営していました。不動産関係のチャットサービスを提供する事業会社だったのですが、まだまだこれからチャットサービスがくるという時代より少し早いタイミングだったこともあり失敗。借金だけが残ってしまいました。
得意の受託開発を軸に、アンテクという会社を創業して一からやり直すということで、これは助けなければと参画を決めました。
埼玉まですぐに会いにきたShirofuneメンバーとの出会い
―アンテクに参画後、Shirofuneとはどのようにして出会われたのでしょうか?
山﨑がアンテクの前身となる会社を経営していた時、懇意にしていた取引先の営業さんがいました。その方がShirofuneさんと親交があったことから紹介を受けました。
当時はShirofuneの原型となるAdfuneを運営されていたのですが、Shirofuneというものに作り変えたい、開発のできる会社を探している、ということでした。
実は当時の私たちはアンテクを軌道にのせるため、仕事に困っている状態でした。そんな時に救世主のように現れたのがShirofuneさんでした。
―Shirofuneのメンバーと接触した時の印象を聞かせてください。
非常にフットワークの軽い方たちだなというのが第一印象でした。
Shirofuneさんはうちを紹介されてすぐにお話がしたいと、菊池さん・竹下さん・前田さんの3名で埼玉の朝霞にある弊社にまで足を運んでくださいました。そこで実際にお会いして、非常に面白い、興味深い方々だなと思いました。
広告の自動配信システムというサービスについては正直そこまで詳しくなかったので「こんなものがあるんだな」程度の認識でした。事業内容以上に興味を引かれたのがお三方の人間性です。
この人たちと一緒に開発ができたら、面白いものができるに違いないと感じました。
とにかく、目的を達成するためなら手段を問わないんですよね。なんでも前向きにやるぞ、という姿勢を強く感じる方々でした。
お恥ずかしい話ですが、当時のアンテクは財政的に逼迫した状況にありました。それを察して支払い方法を柔軟に対応していただいたりと、とにかくうちと開発するためには手段を問わない姿勢に驚きました。
フットワークが軽く、目的からブレない。
開発を通して感化されたShirofuneのスタンス
―Shirofuneの開発はどのように進めていったのでしょうか?
Shirofuneのお三方は自分たちで開発をされています。Adfuneは3人で作られたものでした。
Shirofuneに作り変えるにあたり、UIはプロフェッショナルの菊池涼太さんが設計をされていて、フロント開発の専門家として我々が呼ばれました。
Shirofuneのサーバー側で動くシステムをお三方がプログラミングし、フロント側で動く表示系・処理系のシステムを弊社でプログラミングするという分担で進めていきました。
今までは期日を工程毎に決めて進めるウォーターフォール型のようなタイプの進め方が一般的でしたが、Shirofuneさんとはお客さんと一緒に開発していく、前例のない独特な形で進めてきました。
そもそも期日を決めてこの日までに納品をする、という通常の開発案件とは違い、いいものを作るため期日はなく、いくらでも上を目指せるような体制でプロジェクトを進めていったので、結果的にリリースは当初の予定よりかなり延びてしまったようです。
ただサービスの主体者である3人とは技術的な話をしながら進めるプロジェクトだったので、かなり進めやすかったです。
―開発を通してShirofuneメンバーの印象は変わっていきましたか?
最初の印象通りでした。とにかくフットワークが軽い。海外進出の話が出るとすぐに海外に飛んで開発ルートを探してきてしまうのです。あとは先ほどもお話したように、目的を見失わない姿勢には学ぶことがたくさんあります。
例えば開発のシーンで、この機能を実装するにはこういう開発をしないといけない、という話になった時。
そもそも目的はこれで、目的を達成できればいい、手段は何でもいいという考え方を常にされるんです。我々は開発を受託してる立場なので、形にこだわってしまう部分がどうしてもあるのですが、Shirofuneさんは形を気にせず、決して目的を見失いません。
そう言われてみればそうだな、と我に返ることが多々あり、非常に感化されています。
システム会社から事業会社へ。
Shirofuneでの学びは、いつか自分たちの事業に繋がる
―現在、Shirofuneとはどのような付き合いをしているのでしょうか。
Shirofuneを無事にリリースしたあとは、毎週の定例会議を設けて改善案を出し合い、追加の開発を進めています。こんな問題が出ているのでなんとかしないといけないとか、こんな機能を追加しようと、日々相談しながら進めています。
―Shirofuneと関わったことは稲月さん、アンテク社にとってどのような影響を及ぼしましたか?
今は受託開発をしていますが、もともと代表の山﨑は自社サービスを作りたかった人間です。体制が整ったら、いずれは自社サービス開発に舵取りをしたいという思いがあります。
Shirofuneさんと関わったことで、自社プロダクトをどう進めていくかを、かなり深く関わりながら間近で見せていただきました。この経験をアンテク社の次のステップにいかしていきたいと思っています。
また、そもそも事業をやっていく上で広告は必要不可欠です。実際に私がアンテクとは別でやっている音楽事業ではShirofuneを使って広告を出稿しています。ユーザーとしてShirofuneを使ってみることで気づくこともありますし、時に不具合を見つけることもあります(笑)。
音楽×IT×未来で、未来の音楽シーンを面白くしたい
―音楽事業とは、どのようなことをされているのですか?
アンテクの一部のメンバーも加わり、音楽×IT×未来という切り口でONTEKUという会社を運営しています。
具体的には中学生以下を対象にした軽音楽教室を運営したり、若い世代に向けた音楽配信イベントを開催しています。
才能があるばかりに孤立してしまっている未来のアーティストが繋がれる場所を作りたい。繋がりを通して未来の音楽シーンが盛り上がり面白くなるような世界を作りたいと考えています。
私がミュージシャンからITの世界に入ったように、音楽活動には今やITの技術が欠かせません。楽曲制作、編集、録音、プロモーションビデオと軽音楽をやっていくには、ITを避けて通ることはできないんです。
だからこそ、これからという未来のアーティストを、時代に合う技術で面白くしていきたい。
例えばONTEKUで運営している15歳以下の音楽イベント「GemRock Jam」はYouTubeで配信しているのですが、チャットの内容をAPIで処理し、画面に会話内容を表示させています。これはまさにプログラミングの技術と音楽を繋げているものです。
―元ミュージシャンエンジニアの稲月さんならでは、ですね。
実は私の娘が中学生ガールズバンドをやっていて、YouTubeでは結構、名の知れた存在なんです。彼女たちのような未来のアーティストをONTEKUからどんどん輩出していきたい。そのために今は畑を耕しているフェーズです。
―Shirofuneとは今後、どのような関わりあいをしていきたいですか?
Shirofuneには引き続き開発者として関わっていきたいですし、Shirofuneさんからの学びをアンテクの自社サービス開発に活かしていきたいと考えています。
実は今、アンテクではShirofuneの開発を一緒に進めてくれるエンジニアを募集しています。
Shirofuneさんとのプロジェクトはお話した通り、かなり特殊でなかなか要件を満たす人材に出会えていません。言われたものを指示通りにプログラムする人材ではなく、Shirofuneの創業メンバー3名と日常的に対話をしながら共に考え、開発を進められる人材を求めています。
プログラミングをするだけでは物足りない方、新しいサービスを作ってみたい方には非常に刺激的な環境だと思います。
新しいメンバーも探しながら、私としてはShirofuneとアンテク、そしてONTEKUの相乗効果をさらに発揮していきたいです。
<取材・文/藤井恵>
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