大好きな着付けの先生
◎自分で着物を着られるようになりたい
着物を好きになったとき、自然に出てくる感情は「自分で着られるようになりたい」だと思う。もちろん、私もそうだった。
これまで着物が着たいと思ったときは、呉服屋さんや結婚式場で着つけてもらっていたが、いかんせんお金が掛かるし、予約する手間も掛かる。
なにより、着物が好きなのに、自分で着られないのは悔しい。
◎動画で勉強してみるものの…
ということで、まずはYouTubeで着付けに関する動画を探し、手持ちの浴衣と半幅帯でチャレンジ。
しかし、どの動画を観ながらやっても安定してできるようになる気配がない。なんとなくできたようなときですら、合っているかどうか言ってくれる人はいないし、自分から見た手順と、向かってみた手順は当然左右が違う。
見事に頭がパニックになった。
さすが、母や前職場の先輩から「あんたは何をやらせてもダメ」と太鼓判を押された白豆腐である。…自分で言っていて悲しくなったので、この辺でやめよう。
◎そうだ、着付け教室に行こう
自分の特性上、YouTubeでは無理ということがわかった。次の作戦としては、「着付け教室に通おう」である。
当時の着付け教室のイメージは、呉服屋さんと同様、『安い値段で客を集め、高い呉服を売りつける。買うまで軟禁される』という恐ろしいイメージだった。
仮に、良心的に見える着付け教室があったとしても、自分の家からは遠い、平日しかやっていない等、残念な結果であった。せっかく娘の小学校受験が終わって自由になる時間ができたのに…と悔しい気持ちでいっぱいだった。
そんなとき、近所の商店街をブラブラ歩いていると、呉服屋さんの前にあった看板に目が釘付けとなった。
「前結び着付け教室はじまります」
件の呉服屋さんは、入りやすそうだったこともあり、私は花に誘われるミツバチのように呉服屋さんに足を踏み入れた。
店頭にいた優し気な男性店員に話を聞くと、値段もシステムも非常に良心的で無理なく通えそうだった。何より、前結び=前で帯を結んでくるりとひっくり返す方式なので、結びやすいとのことだった。
◎推したくなる着付けの先生
先生は呉服屋さんの店員さんではなく、外部の前結びの先生ということだったが、チャキチャキした明るい女性で、厳格さは一切なし。
初回から帯まで着付けしてもらえ、「着物を着たわたし」を経験できたおかげで、モチベーションがアップ!さらに、何度か通うことに加え、家で自主的に練習したかいがあり、帯も含め、自分で着られるようになった。
思わず先生に、「先生はすごいですね。『あんたは何をやらせてもダメ』って言われるような私を自分で着られるようにしてくれてありがとうございます」と言うと、「やだ、そんなこと言われてたの?そんなの教え方が悪いだけじゃないの?」と一刀両断。痛快だった。
母や前職場の先輩から言われて傷ついていた心が一気に癒えたような気がした。この先生に教われて本当によかったと思った瞬間だった。一生推す。
今でも、月に1回ほど教室に通っている。着付けの勘を忘れたくないという気持ちと、細かい調整や着崩れの調整等、極めればキリがないし、何より、先生に会いたいという気持ちが強い。「もう来るな」と言われるまで通う所存である。
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私が教わった前結びはこちら。
http://www.kino-wasou.co.jp/
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テクニカルライターをするかたわら、趣味の着物やオタ活をしています。