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2022/09/29 フィン・ユールとデンマークの椅子展

椅子が好きな姉がおりまして、新居に引っ越した際に「ちょっと高い椅子」を買って楽しんでいるそうです。彼女いわく、「椅子で飲める」とのこと。

椅子で飲めるってどういうことやねんって思ってたんですけど、今日この展覧会でその意味がわかりました。椅子で飲める。

椅子を見ていて注目していたのは、椅子の脚。
先端に向かって細くなっていて地面と接する部分は絶妙に丸みがあって、そーっと静かに置きたくなるような繊細さがある。

「チャイニーズチェア」という椅子。背もたれの曲線が美しく繊細で、背筋がシャンと伸びそうである。

撮影可能エリアに展示されていた椅子、上段にあるものは目線が脚にいくので繊細な技工がよくわかり、下段はどっしりとした重厚感のあるものが並ぶ。

近くでまじまじと見るのも良かったけれど、3メートルくらい離れてずらっと並んだ作品を見ると、なぜだか感動した。
それぞれがひとつの作品として独立して輝いているのに、それが一堂に会しているのである。まるでトップスターが並び、それぞれの個性を放っているステージを見ているようなのだ。

曲線美で頭をガツンと殴られている感じ。
これが木でできているのが信じられない。

ペールトーンの中にアクセントのビビットな黄色が特徴的な、フィン・ユールの邸宅を再現した展示。この女性的とも男性的とも言えない雰囲気。


展示の最後に椅子に実際に座れるコーナーがあり、ドキドキしながら座った。あまりの座り心地の良さに椅子ってこんなに人を感動させるんだ!と驚いた。

フィン・ユールは家具に対する独自のアプローチを持っていたようですが

形を生み出す家具職人の能力は彫刻家のそれと同じである。椅子は単なる日用品ではなく、それ自体がフォルムであり、空間である。

フィン・ユール

また同時に日用品としての機能性も重要視していたと。

そこに座る人がいなければ、椅子はただの物に過ぎない。人が座ってはじめて、心地よい日用品となる。

フィン・ユール

家具に向き合い、日常に溶け込む機能性とデザイン性とのバランスを常に追求し続けてきた人だったのでしょう。

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