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流行って何だろう?自分ベーシックがいちばん落ち着くって理解するまで結局何年も費やした話。


次々襲いかかる物価高騰と目まぐるしく移り変わるファッションの流行に、頭も財布も着いていけない昨今。

流行に興味がないわけではないのだけれど、流行に乗りたい気持ちがまったくない、40代マキシマリストを静かに公言する私。

自分だけのブームが訪れた洋服に身を包んで、ひっそりとファッションを楽しんでいる。


そもそも世界のメゾンやそれらに影響された各種アパレル業界の季節ごとのムーブメントは偉大で素晴らしいと思うし、新たなファッションの在り方が生まれていくのは時代の変革の一つだと思う。

私自身、生きてる期間が長くなり、ファッション遍歴がくるくると変動すると、新しいものはいつかの古き良きものだったり、古く感じるものも初めて見た時には斬新であったことを薄々気づいているわけで。
そして、それらはまるでターンオーバーのようにそつなく繰り返しては繰り返され、緻密に洗練されてゆく。
かっこよさに拍車がかかり、それでいてカントリーな雰囲気をまた再熱させ、時代を背景に様々な生まれ変わりを続けるのだ。


この永遠と続くリフレインの中で、時代を動かす最大のメインでありターゲットである若者世代が、それを決めていく感覚がファッション業界には存在している。
もちろん、おじさんにもおばさんにも流行はあるのだろうけれども、最先端をいくファッションは若者たちの中で激しく動いている感が否めない。




私は、もうずっと
ジャケットとワイドパンツとシャツだ。
そして、
オールインワンやロングスカートだ。

ありも来たりもモノトーン屋だ。

時代が変われども、
その偏った趣向は大きく変わることはない。


オーバーサイズも好きではある。
身を泳がせるゆったりシャツも、ダボダボのパンツも、メンズライクなボックスシルエットの洋服も。
好きではある、確かに。

たまに、そういう所に
束縛されない、自由を感じる自分ベーシック。


この歳になり、何度もファッションの話を見聞きしながら、
私は実に長い間、クラシックなファッションに身を置いている。
流行に乗らない普遍さ、と
クラシックとは広義で言うところの、昔から好きなファッションという意味も含んでいる。




とても近い知り合いで洋服好きがいる。

息子だ。

彼は、独特な感覚で洋服を纏うことを楽しんでいる。
スナフキンのような大地の香りを染み込ませた風貌の時があり、
異国を旅する色香漂う危険な人間風の日があり、
イタリアのイケお爺のような気障ったらしい日があり、
シャツにデニムとサンダルをやたらこなれにこなれてスルッと何もしてないように見えてシビれる時があり。

初めて1万円くらいのパンツを購入するとか否かの時のドキドキしていたお兄ちゃんだった頃の面影はいっさいなく、洋服に着られていた時期をも潜り抜けて、まあ今や堂々としたもんだと思う。

オリジナリティ滲む、汚くてスマートでピシッとし過ぎずくたっとした洋服を案外クールに着こなしている彼。
好きなように好きなものを着てるんだ。


あれは、ある意味理想かもな。
そんなこと、
彼は到底知らないけれど。


ユニクロでもGUでも綺麗に着ることのできる年齢だし、スタイルだってそこそこ整っているのだから。
とてつもなく潔くお爺さまファッションを身につけている彼には、何だか強い信念を感じるよ。





脱線してしまったけれど、
いえ本当は脱線どころか真髄に触れてこそいるかもしれない。


息子の格好には
もう彼の生き方が沁みている。
性格を知っているおかんは、
自由で気ままで、自分のベクトルが向く方向への興味へ強烈に没頭する人間の影を、
彼の選ぶファッションに感じている。


何となくだけれども、
今の私のスタイルは
今の自分自身を表してるひとつのツール。
長く好きでいる形を変わらず好きなままの、長い付き合いの自分自身。
一途な気持ちでできている。

それは、自分自身のかたち。


ファッションは流行がすべて、の方ももちろん大勢いて、最先端のかっこよさは素敵である。

私はいつの間にか自分スタイルが決まっていて、
その好きなテイストがとても好きで。
時代遅れとかダサいとかの計測方法はなく、
好きな生地で好きな形が至福。

それが固定したのはいつだろうな。
そもそも自分という人間がベーシックでニュートラルなことに、随分と生きてから気づいたので、
大人になった頃にはそうなっていたのだと思う。


だが、ファッションは楽しい。

洋服選びに時間をかけて迷うも、
いつも同じ格好だ。
夫は笑っている。
いや、私だってわらっている。


いいのかな、こういうのが。
ジャケットとワイドパンツは安堵をくれる。
白いシャツや黒いスカートは、
どんなネイルだって合うんだもん。


たぶん、
これからさらにおばさんが深まっても
私はお気に入りの同じ服を着続けるんだろうなって思っている。



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