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6月の詩/ 滴の詩/ 望蜀の詩/ 花瓶の詩/ 8月32日の詩 【詩作5編】



6月の詩

日記に今日の日付と天気を書いているわたしは、ここ最近くもりや雨が多いことに気がついた。
わたしの小指は窓に触れ、外はいつのまにか枯れてしまった花と、ふくらむ湿度、とける水玉、女の子の感情みたいな雨、雨、雨。
こんな日は、溺れてしまわないように、ちゃんと泳いで信号を渡れるかどうかばかりが気になってしまう。

春は生前、夏を待ちわびる君のために、晴れ渡る空を夏と約束する。
こうしてわたし達は何度でも、変わらない夏を思い出せる。




滴の詩

梅雨の時期に入り、
傘が手放せないことが多くなった
空から地上に落ちてきた雨は、
自分たちが落ちてきた暗い空を見上げ、
故郷のことをぼんやり思い出している
はじめて外側から見る空、
色とりどりの花、緑色の植物、人の気配
自分たちの内側に流れる水脈は、
雲の心音と重なっていた
しばらく経つと、
空は晴れ間が広がっていき、
地面に落ちた雨たちは天国に昇るように、
蒸発をして姿を消していった。
外を眺めていたわたしはまた、
雨に憧れている。



望蜀の詩

泳ぎを教わっている少女たちは川の中、
手をつないでくるくると回ったり、
両手で水をかけあったりして、
お腹が空いたら川の水を飲んだり、
髪をしばっているリボンをほどいて食べている。
自分のリボンだけでは足りなくても、
他の子のリボンは食べちゃいけない決まりです、
だって自分のリボンとは色が違うから。

可能性や希望って言葉には光があるから、
笑顔の人から順番に影を切り離して、
ほら、未来の言いなりになれる。
あなたも未来側の人間なんだよ、
もうあなたには影がないし、
影踏み鬼をするとき仲間外れになっていることも、
今では気づかなくなってしまったものね。



花瓶の詩

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きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野