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「決着をつけよう。」と握手した話

まさか自分がこんなことをするなんて、という経験は誰にだってあるだろう。私の場合はこう。

  • 牛乳を笑うと同時に吹き出して、目の前の席の男の子に吹き掛けたこと。

  • 占いで「この恋は実りません」と言われ、その場で泣き崩れたこと。

  • 短大時代、反省文で1万文字書かされたとき、出生から反省したこと。

他にも挙げればキリがないが、ここに、

  • マッチングアプリで出会った人に、駅のホームで「次回、決着をつけよう」と握手したこと。

が、追加された。

その人と出会って、4ヶ月になる。先日の記事は実は、去年の話であり、私はもう30歳だ。

別れたあと、彼に出会い、意気投合。けれど、彼と何度会っても特に告白されることはなく、好意は感じるものの、友達関係が続いていた。

私は内心、前回の失恋の痛手からまだ立ち直ってはいなかったし、今までのザ・婚活より、純粋に楽しむことを重要視していたから、彼との関係は心地よいものだった。

タイプではなかったが、結婚するならこんな人なのかもしれないな、と思うこともあった。ただ、私が転勤職であり、彼より5つ年上という点で、先が見えなかったのもあって、誘われるまま、会っていた。

好意を感じつつ、自分の気持ちを冷静に捉えて、関係を絶つ必要があると思ったが、告白されたわけでもなし、本当の友達のようになった彼に、なんと言えばいいのかわからなかった。

だから、彼から告白された時、身構えた。

そして、2人で過ごしていきたい気持ちはあるが、将来的に職種の違いで厳しいことを話した。

彼もそれは承知の上で、考えを述べてくれた。
彼なりの精一杯の誠実な言葉だった。

私たちは、深夜の公園でその話をして、終電を逃してはなるまいと駅に小走りに向かいながらもずっとその話をした。周りから見れば、おかしな光景だったように思う。

駅にギリギリにつき、彼が「ごめん!お手洗い!」と話をぶった斬って、トイレに駆け込んだ。

私は切符を買いながら、長い告白を思い出し、吹き出してしまいそうだった。

そして、彼がトイレから戻ったタイミングで、ホームのベルが鳴った。私はそのままの勢いで、

「わたしもちゃんと考えをまとめる。だから、次回、決着をつけよう」

と、同盟国さながらの握手をした。
彼はきょとんとして、でも、うなづいてくれた。

掴んだ手を離して、駅の階段を下る。
まさかこんな意味の分からない、唐突な行動をとるなんて。と、同時にそうだなこれが自分だと感じる。

座席に着くと、胸がドキドキした。
そして、少し泣きそうだった。

次回、私は彼になんと答えるのだろうか。
握った手のひらの感触を頼りに、その答えを見つけたい。


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