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東京ヴェルディvs町田ゼルビア

こんにちは。晴れてJリーグも再開です。

ヴェルディは守備時442、攻撃時343の形でセットします。攻撃でいうと、相手2トップの脇、間、背後でうまく2人のボランチが顔を出します。それにより、3+2が相手の2トップの脇なり背後なりで前を向いて、ライン間、大外、裏にパスを狙えるシーンを作ろうとしていました。立ち位置も悪くないし、狙いもはっきりしてましたが、まだまだ不完全でしたね。後ろの3+2のパス交換の最中、ボールホルダーが前を向く、運ぶ、縦パスを出す構えを見せる、という姿勢が足らず、相手の2トップや2列目のラインを釘付けにすることができていませんでした。パスの出し先の選び方も含め、後ろで土台を組み立てる際の各自の振る舞いが、もう少し自動化されないと、なかなか相手を上回るのは難しいと思います。同じことは前方の選手についても言えます。縦パスが入った後の、出し手と受け手の裏狙いのタイミングの見極め方、大外での待ち方、生まれたライン間のスペースへの顔の出し方等々。状況を把握して後出しで攻めるつもりのはずですから、ここら辺が決まればかなり勝てるんだけど、決まらなければずっとエリアの外でのパス回しが続く。この路線における成長と勝率の関係は、不幸にもこういう関係です。気になるのが、こうした課題に対する向き合い方です。永井監督はピッチサイドで本当に逐一逐一立ち位置、出し先について指示を出しており、内容は至極真っ当なものだと感じましたが、選手のからすれば、ピッチの外から見ている人と同じ順序で認識はできないので、一体選手の頭の中にどういう基準があり、どういう情報処理を求めているのかは気になるところであります。少なくとも試合で勝てるレベルまで整理されていないのは明らかだと思います。ライン間以降はワンツーなど華やかなワンタッチプレーが目立ちましたが、決まった時のお見事感がある一方、ドタバタになりがちなのも確かです。同サイドでの外、間、裏を一体的に使って、相手を見ながらコースを選び、その延長としてのサイドチェンジ。試合を見てる人のほとんどの頭の中にあるこのシナリオが、なんとか若手監督の手で現実化されることを願いたいところです。

ヴェルディの攻撃に対する町田の守備にも触れておくと、流石のクオリティでした。2トップの横移動の素早さ、2列目の適宜相手を捕まえる動き、その分空くライン間へのボランチやSHのカバー、DFラインのスライド。奪った後はググッと運んで絞らせた後に素早くサイドチェンジ。意図が共有されていたのでパスのズレも少なく、すごく怖かったです。

一方のヴェルディの守備ですが、こうした町田の攻撃に対し、特に前半の飲水タイム辺りまでは後手を踏みました。ネガトラの一発目のアタックもそうですし、442でセットした時も、1-2列目、2-3列目のライン間ががっぽり空いて、ちょっと間延びも良いところって感じでした。町田がボール保持する展開が少なかったのであまり回数は多くありませんでしたが、結構ヤバさは露呈していたと思います。試合が進むにつれネガトラ一本目のところは3バック中心に随分改善されたので、町田は可能ならボールを持った方がチャンスあった気がします。永井監督の442は昨シーズンの終盤から徐々に徐々に改善してきたところではあったので、ここはなんと持ち直して修正してほしいところです。今日こんなに保持できたのは、相手が町田である、開始早々町田が先制したってところの影響がデカそうなので。付け加えていうと、相手が持った時の守備、そしてそれが求められるのはイコール自分たちの保持時間が減る試合ということになるので、尚更攻撃の方も判断の自動化が求められます。考えながら何度もチャレンジできる機会はありません。今日ほど保持できない場合を想定すれば、攻守ともにまだまだ改善が必要です。まあそこを見越したメンバー選び等々でしょうけど。

こうして見ていくと、まだまだ課題は山積という感じですが、立ち位置がひとまずしっかり設定できていたところは、スタートラインとして十分だと思います。ただそれが各選手のどういう頭の中から出てきたものなのか、それによって、この先勝てるチームと言えるかどうかは変わります。ここに関しては、ちょっとまだネガティブな見方を個人的にはしています。永井監督のことはすごく応援したいし、ゴールの描き方は間違ってないと思います。ただ、最終的に選手にどうやって実行させるのか、もう少し選手の判断コストの調整をしなければならないと思います。丸暗記でもダメだし、必要な情報収集、情報処理を選手各自ができるなんて、人間のキャパシティを超過します。どうすれば解決できるのか、具体的なメソッドは僕にはわかりません。そういうプロフェッショナルがいれば助かるんですが。永井監督のチームは、誕生直後の1試合目から立ち位置は縛れていました。ロティーナ政権下でも、少なくとも外観としては整っていました。ならなぜ上手くいかないのか、どうも同じハードルの前で停滞している感は否めません。ただ、この自粛期間中、机上の理屈の定着できたはずですから、それがピッチで、相手を目前にしてどう実行できるか。なんかもうちょっと期待したところです。表裏の両張りみたいで情けないんですが、永井監督の描くサッカーが個人的には好きなタイプなので、昨年の秋頃からずっと、もうちょっともうちょっとのスタンスで来てしまっています。だからある意味どんな結果も決断も受け入れる準備はあるのですが、全て上手くいって全解決するナイーブな希望も捨てきれない。苦しみながらまた楽しんでいくしかないみたいです。

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