嘘江戸怪談 その3
久しぶりに一から十までデッチ上げた江戸随筆風の怪談を。設定はだいたいテキトーです。
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西城藩お留守居同心頭の岩久保正衛門は、若いながら豪胆で実直な人柄で知られていたが、いまだに嫁の来手がなかった。
これは正衛門の屋敷に夜な夜な女の幽霊が現れるという噂があったからである。
このことを正衛門に問うと、
「誠でござる。夜九つの頃、髪を振り乱した女が屋敷の何処かに現れます。私や家人は昔からのことで慣れておりますが、下女などは怖がって、なかなか居つきません。困ったもの