見出し画像

最近のこと|観たものについて(舞台)

インプットとアウトプットのバランスを良くしないと大ゴケするということは、流石に27年の人生の中で学んでいるつもりだ。悔しいのはそのアクセルの踏み方が極端になってしまう癖を直せていないことだ。
とりあえず今はインプットに力を入れている。好きなもの、面白そうなものを摂取してしあわせの係数を高めていきたい。

○しあわせ学級崩壊 「終息点」

配信映像で観劇。まず驚いたのが映像のクオリティで、これ絶対2000円で観てよい作品じゃないと思った。画質も勿論だけど、編集なども演出の意図が十全に伝わるように機能している。舞台作品を映像で届けるということは難しい営みだと思うけれど、映像作品としても成立させようという力強さを感じた。今後、もし現地と映像両方を観ることが出来る機会があったとしたら、間違いなく両方ともを選択する劇団になるかと思う。
作品の話。音楽と演劇の相互作用が魅力の劇団であることは観劇の前から把握していたが、実際に作品を観てみると音のリズムが作品の咀嚼するべき速度を教え導いてくれているような感覚を覚えた。まとまりごとに暗転も重なるのだが、不思議と意識の断絶を感じないのも音楽面の力なのかもしれない。
とても好みの脚本でもあった。焼け落ち残った家や足を引き摺る妹、場所に縛られている座敷童子が体現しているように作中の舞台はどん詰まりで、人物たちは未来を見ることなく過去に縛られている。姉の認知症は過去から逃れようとする意志の発露なのだろうが、最終的に逃れられず捉えられてしまう。タイトルが「終息点」であることは音的にも語義的にも秀逸であるように感じた。終わる場所でもあり、おさまる/収束する場所でもある家の物語。ちゃんと理解をできたとは言えないが、この薄暗さにずっと浸っていたいと思った。
しあわせ学級崩壊さんは以前からyoutubeでPVなどを観たりして、長い間観劇の機会を伺っていた。今回は同時に前作の「幸福な家族のための十五楽章」も購入したので、この休みに観劇したいと思う。

○コメディアス 「段差インザダーク」
こちらも配信で観劇。東京に出てから初の本公演ということだったが、変わらないコメディアスらしさを存分に発揮している。
物理現象に嘘をつかず、それらに対峙する人間の動きを楽しむという作風は観客と舞台上を直接に強くリンクさせる。舞台上にある材料を用いて自分たちならどのように段差を台車で攻略するかを考えながら、舞台上の彼らの選択を見守るという面白さ。個人的には、作中に出て来る神器をどのように扱うかという所に面白みを感じた。次は現地で観たい。

○言言「スウィング・アウト・ペアレンツ」
仙台で上質なストレートプレイを観たいとき、まず選択肢に上がるのがこちらの劇団だと思う。観客席にいる保護者達のやり取りが舞台上で繰り広げられる作品で、一種アンジャッシュ的なすれ違いや人物間の立場関係が目まぐるしく変わっていく様が面白い。
出演する役者の方々も素晴らしい方ばかりで、特に原西さんの一挙手一投足から目が離せなかった。社会通念や立場は人の在り方を否応なしに変えていくわけだが、それらを踏まえたうえでただの父親に戻れるのだろうか。コメディの中ではあるが、世間に横たわる男性性の悲しさを考えた。


最近、舞台を観ても振り返ることが出来ないでいた。今後はnoteを通じて、言葉にすることで振り返る機会を増やしていきたい。
次回は映画についての感想も書いていきたいと思う。「少年の君」についてはしっかりと触れるつもりなので、また時間を作っていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?