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共同シナリオ第一編 テーマ:闘い 2/4話目

店の名は「いんこんとろ」
カズヤはこのお店でアメリカンコーヒーしか頼んだ事がないが今日は張り切ってケーキセットにした。

はたから見ると平凡なサラリーマンの少し遅めのお昼休憩に見える。

が、カズヤは悩んでいた。スマホを見ているようだが先程から指先が動いていない。
画面には女性とのLINE会話のようだ。その時。

カランコロンカラン〜♪店の入り口音

店主「いらっしゃいませ。お空きのお席をご利用下さい」

カツカツカツ 女のヒール音 

ドクンドクン カズヤ心臓音

女「お久しぶりです」

カズヤのセリフは以下「カ」と表示。

カ「あ!、お久しぶりです。お呼びしてすみません」
女はカズヤの前に座る。
女「こちらこそお時間に遅れてすみません」
店員「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」
女「カフェラテのホットを下さい」
店員「かしこまりました」

この女性の名前はフタバ。歳は30前半、身長は高く(170㌢はありそう)、綺麗系の女性である。時間が無かったのかショートの髪を後ろでひとつにまとめただけの即席ポニーテールにしているが端正な顔つきゆえに、これから代々木公園で愛犬のトイプードルを散歩するモデルのオフにも見える

カズヤは恋をしていた。この女性に。

カズヤは分かっている、この様な女性と付き合うなんて自分には身分不相応だと。決してイケメンと呼ばれた人生なんかじゃなかった。だから意識高い系YouTuberから毎日の筋トレと朝イチのコールドシャワーで人生を変えようと半年はやっていた。しかし、半年後に同僚のタカシに自分の変化を聞くも「てか太った?」と見当はずれにも程がある返答があり、その生活は幕を閉じた。会話を2人に戻そう。

カ「いえいえ、改めて契約内容の確認を契約者の娘であるフタバさんにお伝えしようと思いまして!」

フ「そうでしたよね!両親は高齢なので保険とかそういうのは全く分かってなくて、父からはお前がカズヤさんの話を聞いて理解しとけって笑」

カ「あはは 分かりやすく説明できず、すみません。。」

フ「いえいえ!先日、ウチに初めていらっしゃった時、カズヤさんがうちの両親に保険の説明をされているのをチラッと聞こえちゃって笑
すご〜く分かりやすかったのに父なんて見当外れの質問ばかりカズヤさんにしちゃって、恥ずかしかったです。だったらもう私が理解した方が早いや!って笑」

保険営業でお宅訪問した際にフタバさんと初めて出会った。契約者であるフタバさんの両親に商品の説明をしている際にベタであるがお茶を出してくれたのがフタバさんだった。お父様がすぐにこの女性が娘であり、30になってもまだ我が家にいると内心嬉しそうに紹介してくれた。それ以外の情報は全くない。でもカズヤはその時に完全に一目惚れをした。流れでLINE交換となり、なんとか私情がバレぬ様にLINEでやりとりを重ね、今回直接会う機会を掴んだ。会うのは2回目だ。

カ「そうだったんですね笑 お父様もお母様も質問して頂いたおかげで、自分自身理解の浅さを痛感しました。」

カズヤは闘っていた。俺は顧客の娘と淡々と業務的な会話をして本日終了するのか。次会える可能性などない。愛する人としてギアを変えるか。何事にも真面目なカズヤだ、でもそんな自分をはみ出したいとも思っている。

契約内容の説明は早急に終わらせ、娘ではなくフタバさんと話がしたい。そう思った。

カ「〜これでご両親の契約内容は以上になります。」
フ「ありがとうございます!やっぱりカズヤさんの説明とても分かりやすかったです!」

ー気まずい沈黙ー

ドクンドクン!ドクドクン!!ドドド!!!!

カ「、、フタバさん!!ちょっとお話し良いですか??」

フ「(食い気味に)カズヤさん!逃げて!!!」

カ「、ん?」

2/4話目完

出席番号1番 大西

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