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創作物ーどこまで真実かは貴方が決めていいー

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小説、詩、短歌……精神の解離と統合、少女性とリアリズム、その境界線に走らせた筆の跡。
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#朗読

朗読詩「自胎動」

朗読詩「自胎動」

どくん。
今、動いた。
どくん。
今、蹴った。
私のナカの私。
新しい、私。
新しい、命。
どくん。どくん。
うずくまって、私は私の胎動を聴く。
もうすぐ、生まれる。
どくん。どくん。どくん。
血の呪縛は血をもってして解こう。
私は私と結合し、私は私を受精する。
これから私は、私の子宮から生まれ直すのだ。

朗読詩「母」

朗読詩「母」

「人間が怖い」

そう言い続けていた友人が、子供を産んだ。

「人間は怖い。でもこの子だけは可愛いの。」

そう彼女は言った。

彼女の胸の中で、赤ん坊は腹を空かせては泣き、乳を飲み、やがて眠った。
にんげん、そのもの。
私はそう思った。
こんな欲望のままに生きている、言葉も通じない生き物のどこが愛おしいのか。

私は「人間が怖い」という貴女が好きだった。

「人間は怖いわ。」

私だけが貴女の一

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