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「親子で植物採集」子育てエッセイ③

 夏休みの終わりごろは、残っている宿題に親子で追われるものです。2学期最初の参観日では、どこまでが子でどこからが親の力か……という力作がずらりと並べられ、目を楽しませてくれるでしょう。

 娘たちが小学5年生と4年生だった時の〝植物採集〟が、私には思い出深く「子どもと一緒に一つの事に取り組み、達成感を味わえる」絶好の機会でした。
 まず、夏休みの初めに、早水公園の〝緑の相談所〟で開かれた植物採集教室に親子で参加し、やり方を学ぶところから始まりました。そして毎朝、近くの広場で行われるラジオ体操の後に、まだ涼しいうちに……と採集のため近所を3人でうろつきました。
 

 経験のない娘たちは、植物採集の全工程がイメージできないようで、終始私が娘たちの尻をたたいて行動させる形となりました。私には中学時代、〝単子葉類オンリーの植物採集〟(実はわが家にあった唯一の植物図鑑が『単子葉類』だったという単純な動機)で、理科の先生に
「単子葉類をテーマにしたのはすばらしいけど、数が11種類では少なすぎて出品は無理ね。残念だわ。」
と言われた記憶があり、とにかく規定の40種以上(しかも2人分ずつ)というのをクリアしなくては……と私だけがあせっている感じでした。


 実家に遊びに行く時も、採集の時間を取りました。家族で海水浴に出かけても、(海なら近所とは違う種が集められる!)と道具一式を持って行きました。波間でプカプカただよって楽しんでいる夫と娘たちを横目に、完全日焼け防御の姿でスコップ片手に海水浴場のすみっこで採集活動にいそしむ私(もちろん少しは娘たちもやっています)。

 8月終わりには、娘たちを連れて市立図書館へ。植物愛好会の方々にチェックしていただきました。私たちが図鑑で一生懸命調べても分からなかった植物を、チラッと見ただけで名を教えてくださるスゴイ方々でした。この催しは毎年行われています。
 おかげで娘たちの植物採集は〝市の夏休み作品展〟に出品されることになりました。後日、次女の担任の先生から電話があり
「銀賞です! おめでとうございます。○○デパートで展示されますので、ぜひ見に行って下さい。よくがんばりましたね~。」
のお言葉に、私はつい
「はい、がんばりました!」
と受話器片手に深く頭を下げていました。親のがんばりもお見通しなのでしょう、電話の向こうで先生がほほ笑んでいらっしゃるのを感じました。


 その時の植物採集は参考用として、小学生をもつ私の妹や仕事のパート仲間に貸し出し、六年たった今も活躍しています。   

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