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ビジネスでのSlack文章の添削

うんざりする文章を直してみる例を書いてみます。
仕事で以下の文章があなた宛てに送られてきた。という姿勢で読んでみてください。

お疲れ様です。いま、不正系の対応フローの進め方の確認を行っていると思いますが、その次の対応として、問い合わせを受けた場合のフロー整理も必要です。テスト時にどこまで対応するかはありますが、お客さんからプロフィールデータがおかしいなどの問い合わせがあった場合に調査して返答できる体制が必要です。

基本は、不正調査の流れと同じなので、いま作っている不正系の対応フローをまず完成させて、同じフローで調査系の対応も行えるのか確認をお願いします。5/24までには、不正フローもお客さんからのと合わせ対応の流れも対応できる状態を整えていただきたいです。

その後は、復旧関連も対応フローと現在の想定で問題ないかのシミュレーションが必要です。

最重要なのが購入決済系への対応、使うツールの確認と、どういったログを確認して返金可否判断するか、返金時の一連のフロー。この流れの整理をお願いします。不正フローの整理が先なのでその後、対応を進めてください。6/7までに一連の流れができているようにしていただきたいです。実際に、入信から対応まで行えるように体制を整える。です。同じように、画像やプロフィールデータの復旧についても想定されるケース別に、フローのシミュレーションを行い対応を行い、対応できる準備をお願いします。6/14までを目途に復旧対応のフローも整理をお願いします。実際にどのように対応するのが良いかは、田中さんを中心に5人でまず相談、決めた進め方で良いか?の確認に私を使ってください。またフローの作り方や何を準備しなければならないのかの確認であれば私宛に連絡をお願いします。


理解できましたか?
というか、読みましたか??

正直、脳への負荷が高すぎて飛ばした人がほとんどだと思います。
気持ち悪くなりますよね。

でも、今の日本ではこれでもコミュニケーションに問題ないとされています。日本が負ける理由の1つが理解できます。

大学受験とかで出される英語のリスニング問の文章に近いかもしれませんね。
あれはひっかけを意図的に用意しているものなので、そういう作りになっているのですが、信頼関係が重要な仕事の依頼におけるコミュニケーションで英語リスニング問をだしてはいけませんね。

これからの日本では風向きが変わっていくと思っています。そう信じたい!

私の感想としては、「酷い文章だ。明らかに仕事ができない人だ。状況がひっ迫しているわけでもないのに。」と判断できてしまう。

ビジネスとして適切な文章を書くなら、以下の様になるはず。

テスト向けに「お客さんからの問い合わせへ返答できる体制を用意」したいので、以下を進行してください。

【依頼1】
不正系の対応フローの完成。

・現在、業務を進めてくれている認識です。
・同じフローで調査も対応可能かの確認も行う。
・目標期日:5/24まで

【依頼2】
購入決済系の対応フローの完成。

・使うツールを決定する。
・どのログから返金可否を判断するかを決定する。
・目標期日:6/7まで

【依頼3】
復旧関連の対応フローのシミュレーションを実施する

・設定やプロフィールデータを復旧する対応を実施
・問い合わせの受領から実際の対応完了までの体制を整備する
・目標期日:6/14まで

【備考】
実際にどのように対応するのが良いかは、田中さんを含めた5人で会議してまとめてください。その後、私に確認を投げてください。
また、フローの作り方や準備物の確認は私に相談してください。

調整のやり方は多いが、重視したことを記載していきます。

【その1】「他人にさせる行動の種類」を明記する


まず、文章が長すぎるのに「適切な改行や区切り」がない。小学生の読書感想文の方がまだそのあたりはマシだろう。
しかし、ただ改行すれば読みやすくなるわけではない。目的と同じ意味を持つ改行が必要です。

なので、今回は「依頼」の文章で、目的は「他人に行動をさせる」ことなので、それを軸に区切ります。
実は依頼が3種類あるので「3つの依頼」と「そのほか」に区切ります。
区切りをわかりやすくするために【依頼1】や【備考】とつけます。
新聞でいうと【経済】や【テレビ情報】みたいなカテゴリに該当します。


【その2】達成すべき状態を一行の見出しで書く


区切ってカテゴリを付けたら、依頼だと読み手は聞く姿勢ができます。
その姿勢の状態にさせたら「それぞれの依頼内容」がようやく理解できるようになります。
なので、依頼文を簡潔に書きましょう。

絶対に1行です。
2行以上になるなら、それは「依頼内容を依頼する側が理解できていないから」、もしくは「依頼内容とそれに付随している補足情報との区別ができていない」からです。正してください。


【その3】補足情報は優先度を下げて書く


「達成すべき状態」と「補足情報」とを分ける方法は、陰と陽の関係です。
前者が分かれば、前者以外は全て補足情報になります。

伝えたい気持ちがあるのはわかりますが、「達成すべき状態」と「補足情報」を並列に書くのはコミュニケーションが未熟な証です。
補足情報は必須ではありません。おまけです。
おまけがあったら喜ばれますが、おまけを主として伝えられると本末転倒です。


【その4】締め切りを伝える


仕事には締め切りがあります。締め切りが無いというのは趣味か任天堂です。
つまり、締め切りを明記しないということは、仕事ではありません。そういうオジサンオバサンが多いです。仕事へたくそです。

また、締め切りは「優先度」とほぼ同じです。
締め切りが早い業務から進めていきます。

締め切りは、必ず依頼側が提示するものです。締め切りを伝えないのは失礼にあたります。迷惑かけ過ぎ。

なので、依頼も「締め切りが早い」ものから上に書いて、番号も小さくしています。
これが締め切りや優先度と無関係に並べられているのは、他人を混乱させます。その結果は依頼を出した側にあります。それでも咎めなれないのは日本くらいでしょうね。




【おまけ】

元の文章で、まずい他の点も書いておきます。

【まずい①】優先順位が分からなくなる単語が使われている。


「まず」「最重要」はどちらが優先順位が高いのかを曖昧にしています。
優先度は「締め切りが早い順」と近似です。仮に、難易度が高くて完成日時を長めにとる場合であっても、途中経過の締め切り日を細かく、かつ一番早く設定するのが適切です。
そうしておけば、途中の締め切り日に遅れている場合には調整の有無に気づけますね。

【まずい②】何度も同じような文章が出ている。


例えば、「フロー」と「流れ」は同じ意味です。明確に固有名詞として使っている状態でなければどちらか一方のみを使いましょう。
おそらく、書いた人の意図に適切な単語が他にあるのでしょうね。

▼元文
不正フローもお客さんからのと合わせ対応の流れも対応できる状態を整えていただきたいです。

▼添削
「対応業務フロー」を「不正」用と「問い合わせ」用の2つを完成させてください。

【まずい③】自分の感情が優先されて書かれている


依頼を目的としているのに、依頼ではない内容が優先して書かれているし、伝えようとしている浅ましさが理解できてしまう。
これは、責任回避を最重要としている人が取る行動です。

当然だが、仕事なので自分の感情は後です。人間なので当然感情があります。しかし、おまけとして扱いましょう。依頼を受ける側は別の考えや感情があります。

▼元文
テスト時にどこまで対応するかはありますが、お客さんからプロフィールデータがおかしいなどの問い合わせがあった場合に調査して返答できる体制が必要です

▼添削
問い合わせへ返答できる体制が必要です。
例えば、「プロフィールデータがおかしい」に対して、調査して返答できること。
しかし、現時点で「テストではどこまで対応するかは」未定義です。


おわりに

今回の駄文をより簡潔に書くことはできると思います。
汎用的な技術として誰かに伝えることを目的としました。

最近読んだ本が、自分の考えと大体同じでした。

何年も前に発売された本です。私が当時に読んでいれば、タイヤの再発明をせずに、私の文章技術もさらに向上してるかもと思わされた内容でした!


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