何故「サイバー」が「戦争」に必要なのか
「サイバー戦争」という言葉がある。あるいは最近では、「サイバー安全保障」という事が言われたりもする。
いずれにせよ、「国家」が「軍事的手段」の一つとして、「サイバー」を捉えているという前提の言葉である。
では、「サイバー」を利用した戦争は、何故行われるのか。何故、国家は戦争に「サイバー」を必要とするのか。
「サイバー」の定義
ここでの「サイバー」≒「サイバー空間」あるいは、「サイバー領域」
サイバー空間は、物理的なものと、仮想的なものが一体となって構成されている
NATOの教義:サイバー空間は、「物理」、「論理(仮想)」、「(サイバー上の)ペルソナ」の3層
「論理」層:ネットワーク上の空間やコンピューター内のデータなど
例:WEBページ(今見てるこれも)、デジタルファイル(写メとかも)
「物理」層:物理的なデバイスなど、論理層の操作・運用などに利用される
例:コンピューター、スマートフォン、ケーブル
「ペルソナ」層:論理層へのアクセス・操作などに利用される
例:メールやSNSのアカウント
国家にとってサイバーの重要性が上昇している
サイバー空間は、そこら中にある
コンピューター・スマートフォンの普及
→サイバー空間への依存度上昇、インターネットもより身近に
データのデジタル化:サイバー空間上に保存・記録
例:機密情報(軍事機密、特許技術など)
IOT化:様々なシステムがサイバー空間を通して制御・操作可能
例:スマート家電、スマートカー、重要インフラ(水道、金融、核施設、衛星)、軍事システム(ミサイル、レーダー)
⇒ハッキングされれば、多大な軍事的・経済的損失
国民生活や戦争の勝敗にも関わる
実例:「NotPetya」
2017年、ロシア→ウクライナ金融機関に対する攻撃
ヨーロッパ経済にも大打撃、その後各国サイバー政策は強化
多くの国家に、サイバー攻撃の意思がある
「100以上の国がサイバー攻撃を行える」(2017年、アメリカ国家安全保障局元副長官リチャード・レジェット)
<https://abcnews.go.com/US/russia-tops-list-100-countries-launch-cyberattacks-us/story?id=47487188>
2021 年の調査
最低85 ヶ国が民間事業者から攻撃的なサイバー技術を取得
ウイルスや攻撃ツールの購入、開発依頼等
29 ヶ国が攻撃的なサイバー行為に関与
<Eduardo Izycki, “ Cyber offensive capabilities : a glimpse on a multipolar dimension ”(December 2021), p.68.>
国家にとって、サイバー空間は「守らなくてはならないもの」であり、「攻めれば利益になるもの」である
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