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月ノ島中学校には発足二年目の雅楽部がある。 杉山玲子は発足当初に入部した一人だ。きっ…
夏休みが終わり九月になった。 月ノ島中学校は本日、授業参観日だ。一年二組の教室の…
田村健斗は朝からもう何度も空を見上げている。 晴れた。 天気予報では降水確率0パ…
夢も希望もありゃしません! 七夕祭りの短冊に筆ペンで書き付けられた文字だ。輪郭は震え…
月ノ島中学校一年生、貴田周は傘をさしたまま通学路でつっ立っている。たった今、女子に…
今日は、毎年恒例の月ノ島中学校のマラソン大会だ。 全校生徒が参加する。 中学校の…
月ノ島中学校は入学式、始業式と終えて、通常の授業に入った。 如月魁人は二年生の授業を終えて、一人でいつもと違う帰り道を歩いている。少し遠回りして、用水路のそばの畑をのぞきこんで、ため息をつく。 もう、四月上旬だ。土筆は見当たらない。 桜は散り始めているし、日もずいぶん長くなった。 昨日の夜、母と契約をした。土筆一本一円で買い取ってくれる。 (一円……、百本で百円か) 魁人は母と交渉をねばったけれど、土筆の買い取り値は上がらなかった。漫画を買うには五百本。途
月ノ島中学校の裏門のそばに、楕円形の花壇がある。 今、五十本ほどのチューリップは満開…
浜島瑠衣は、最寄りの駅のさびれたフェンスにもたれている。コートのポケットの中には入…
昼休み、月ノ島中学校の三年三組の教室が騒然としている。 工藤仁が背中から棚にぶつかり…
月ノ島中学校の二年生、野村マリ子は、クラスメイトに頼み事をされると断ることができな…
月ノ島中学校の一年二組の青山瑠美は、今夜も、テルテル坊主を作っている。十月中旬の体…
月ノ島中学校の三年一組の教室にクスクスと笑いが広がる。 英語の授業中、一番前の席…
「ミワ、起きてちょうだい」 瀬戸美和は、母に起こされた。枕元の目覚まし時計に目をやると、まだ朝の六時だ。 今日から夏休み。月ノ島中学校の授業のある日だって、朝七時に起きるのに。 美和は中学二年生になった。部活動に入ってない。早起きの必要はない。 「やだよ、眠たいよう……」 美和はもう一度、薄い布団の中にもぐりこんだ。布団越しに母の声が聞こえてくる。 「カズヤのラジオ体操についていってやって。昨日、頼んだでしょう?」 弟の和也は小学三年生だ。 近所の公園でやるラジオ